【銘柄分析】協立エアテック(5997)|空調ダンパーで首位

こんにちは。相場の養分かもねぎ(@kamonegi_kabu)です。

今回は中堅の空調機器メーカーである協立エアテック(5997)を見てみます。


目次
1.事業内容
2.財務状況
3.まとめ

1.協立エアテックの事業内容

協立エアテックは空調機器メーカーです。とはいっても、ダイキン工業や三菱電機といった大手家電メーカーのように家庭用のエアコンを扱っているわけではなく、ビル等の空調システムに使用されるニッチな機器類を主力製品としています。

協立エアテックのビル用製品、住宅用製品の比率
有価証券報告書よりかもねぎ作成
自社製品は大きく「ビル用製品」と「住宅用製品」に分かれますので、この二つについて掘り下げてみます。

(1)ビル用製品

主力製品は、空調のダクト配管に設置される「ダンパー」という機器です。

ダンパーの主な用途は、火災の発生時にダクト内を煙や炎が通らないようにする「防煙防火ダンパー」、ダクト内の風量を手動で調節する「風量調整ダンパー」等となります。
会社四季報の記載によれば、この分野では国内シェア3割を確保しているようです。

また、同じく空調ダクトに設置する「可変風量装置(VAV)」「定風量装置(CAV)」という製品も強く、国内の市場規模は28億円ほどのニッチな市場ですが、4割のシェアを保有しています。
「可変風量装置(VAV)」というのは、センサー等で風量変化を検知し、ダクト内の風量を自動で調節する機器です。
VAV(出典:協立エアテックHP)
大型ビルでは、空調が電力消費の約半分を占めると言われます。
VAVを設置すると、ビル内の温湿度に合せて自動で空調の強さを調整でき、空調搬送動力の削減を図ることができます。要は省エネ設備ということですね。

競合は東プレ(5975)や空調技研工業(非上場)で当社は後発メーカーですが、ダンパーや吹出口といった他の製品と一体で営業できることが競争優位に繋がっているようです。


ビル用製品の過去10年間の売上推移は以下の通りです。

首都圏の再開発計画に伴う需要増、東日本大震災後の省エネ意識の高まりもあって、緩やかに伸びています。
しかし今後は、大型の再開発計画がひと段落するため、市場規模が徐々に縮小することが見込まれています。
とはいえ、空調機器自体は10数年で耐用年数を迎えるため、定期的に発生する既設物件のリニューアル需要が下支えする見通しです。

(2)住宅用製品

住宅設備の主力製品の一つは「24時間換気システム」です。

近年は、マンションなど気密性の高い物件が増えており、主に建材や家具に含まれる化学物質によって「シックハウス症候群」が増えていることから、これを予防するため設置が義務付けられました。(2003年・改正建築基準法)

もう一つの主力製品は、住宅用の全館空調システムです。
特に桧家住宅(1413)が展開する「Z空調」向けが大半を占めます。

ヒノキヤグループHPより
住宅用の全館空調というのは、部屋ごとにエアコンを設置せず、家全体を冷暖房する空調システムのことです。
メリットは、トイレや廊下、浴室といったエリアも快適にできる点にありますが、初期費用の高さやランニングコストがネックになり、日本ではあまり普及していませんでした。

そんな中で、桧家住宅は2016年12月に「Z空調」を発売開始。

「Z空調」は、ダイキン工業が空調部分を、協立エアテックが換気部分を担当しています。
一般的な全館空調と比べて半分程度の価格で導入できる初期費用の安さと、壁掛けエアコンと同程度の省エネ性能がセールスポイントであり、発売からわずか2年で業界シェア首位(19%)を獲得するヒット製品となりました。

現在、桧家住宅の物件では、ほぼ100%の搭載率となっています。

2018年11月からは桧家によって全国の工務店への外販も開始され、提携工務店・ビルダー数は約1年(2019年12月時点)で280社にまで増加しました。


住宅用製品の過去10年間の売上推移は以下の通りです。

桧家住宅の「Z空調」がヒットして以降、主要なサプライヤーである協立エアテックの売上も3年で約3倍に増加しました。

2.協立エアテックの財務状況

(1)財務数値

続いて協立エアテックの過去の業績推移を確認します。
数値は各年度の有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」を拾いました。

(2)資産価値

協立エアテックのBSを見ると、流動資産から総負債を差し引いた正味流動資産価値は24億円あり、これは足元の時価総額(27億円・自社株除くベース)とほぼ同水準です。

更に、同社は投資有価証券を+3億円保有していますので、株価は換金性の高い資産価値を下回っている状況と言えそうです。

3.まとめ

最後に現時点の株価指標を確認してみます。

・予想PER  6.21倍
・実績PBR  0.41倍
・配当利回り 1.79%


コロナショックの大底からは戻していますが、当期の業績見通しがあまり良くないことや、減配予想もあって、株価は過去5年の最安値圏にあります。

指標的には成長性がまったく期待されていない水準ですが、ビル用設備ではニッチな製品で高いシェアを保有しており、住宅設備部門についても、桧家住宅の販売戸数や外販数量が伸びれば、更に増収が見込めると思います。

参考として、桧家住宅の2019年12月期の販売棟数は3,693棟ですが、同社は2022年12月期に5,300棟(+43%増)まで増やす中期計画を掲げています。

欲を言えば、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ビルや店舗等で換気設備の増設があったら嬉しいんだけどな~(妄想)


本ブログ内で銘柄分析を行った企業の一覧を作成しました。

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