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年末年始17連休の是非が国民不在で語られるワケ

10月27日の本ブログで取り上げた、「年末年始17連休」が想像以上に政局に影響を与えている。

 

「年末年始17連休」の背景と西村大臣の浅慮ぶり
西村経済再生担当大臣が、年末年始の17連休提言を打ち上げたことで与党内がざわついている。 西村経済再生相 “年末年始の休暇延長を” 経済団体に要請 新型コロナウイルス対策をめぐり、西村経済再生担当大臣は楽天の三木谷社長らIT企業などでつ...

 

この問題は、単に二階氏のご機嫌を損ねただけでは済まなかった。

 

自民党の森山裕国対委員長は27日の記者会見で、来年1月の通常国会について「できるだけ早く予算の編成を急ぎ、国会で審議することが大事だ」と述べ、新型コロナウイルスで打撃を受けた経済の立て直しに向け早期召集が望ましいとの考えを示した。
(2020年10月27日産経新聞)

 

国対委員長に国会を「出来るだけ早く」という意思があったことが分かった。
では、それはなぜか?

 

政府が年末年始の休暇を来年1月11日まで柔軟に取れるようにしてほしいと企業などに呼び掛けたことで、年明けの衆院解散が遠のいたと見る向きもある。新型コロナウイルス対策のため国民に休みを要請しておきながら、通常国会を早期に召集し、冒頭解散に持ち込むのは国民の理解を得られないとの理屈だ。
(2020年10月28日時事通信)

 

なるほど、政権中枢には「冒頭解散」という戦略が視野に入っていたようだ。
そして、複数の幹部に不快感を示された西村氏は、党本部に言い訳にはせ参じた。

 

西村氏が慌てて党本部を訪れたのは、「1月11日まで休みとすることを含め、分散して休暇を」とする自身の23日の発言をきっかけに、与党内から「国会議員も11日まで休まざるを得ない。1月の解散は事実上なくなった」(公明党ベテラン)との声が上がったためだ。
(同上)

 

公明党も含めた与党内の議員が「冒頭解散はナシ」と構えているところに解散を打ったら、身内にも不意打ちをかますことになる。
特に公明党に対して、そんなことができるはずがない。

 

年内解散見送りの公算が大きくなる中、与党内では一番早い解散のタイミングとして、年明け早々に通常国会を召集し、2020年度第3次補正予算案処理の前後に解散する選択肢が語られていた。菅義偉首相の国会答弁を不安視しているためだが、1月上旬に召集しなければ、このシナリオの実現性は狭まる。
(同上)

 

原稿の音読しか出来ず、フリーで対応すると余計なことを言ってしまいがちなスガ首相を不安視する人は、与党幹部にも少なくないということだ。
臨時国会がまだ始まったばかりだが、予算委員会が始まり、具体的な野党議員とのディベートがテレビで放映されるようになれば、支持率下降の可能性もある。
ましてや、緊急性の低い「学術会議任命拒否」という無駄に大きなハードルを、スガ政権は自ら拵えてしまっているのだ。

 

下村政調会長も苦言を呈した。

 

自民党の下村政務調査会長は28日午前、・・「西村大臣から来年1月11日までの連続休暇の取得を呼びかけるような発信がなされ、われわれもフォローが非常に大変だった」・・「事前に党とも調整し、正しい発信をしないと混乱を招く。西村大臣には十分、配慮してもらいたい」と苦言を呈しました。
(2020年10月28日NHK)

 

そもそもこの案件は、西村大臣が神道政治連盟からの陳情を受けて発信したものである。
下村博文氏は、西村氏同様に、神道政治連盟とは強いつながりのある政治家の一人である。
その彼が苦言を呈すというのだから、17連休案が与党の描いている政局にとって、いかに不都合であるかということが分かる。

 

西村大臣は28日になって、これがそれほど強いお願いではないとトーンを変えてみたり、お願いしたのは「連休」ではなく「分散」などと表現を変えたりして火消しに回っているが、実はそれはそう簡単ではない。
それは、次の記事からよく分かる。

 

とはいえ、1月11日までの分散休暇の呼び掛けは専門家でつくる新型コロナ分科会の提言がベース首相は先の自民党総裁選の際、衆院解散の判断に当たっても「専門家の話をうかがう」などと繰り返してきた経緯がある。自民党幹部の一人は「首相の解散権は事実上縛られる」と語った。
(2020年10月28日時事通信)

 

西村大臣が自身の言葉の火消しをするのは、ある程度は可能かもしれない。
ところが、西村氏は念入りにも、この提言を裏付けるために分科会に強い表現の提言をさせている。
「させている」というのは、あくまで私の想像で証拠のない話なのだが、ブログの前記事で経緯を追ってもらえれば、今回の分科会の提言が西村氏の指示によって強い表現が使われているであろうことは、容易に想像できる。
今一度、分科会の提言内容を見てみよう。

 

 

分科会に仕込みの提言をさせることで、17連休提案が陳情によるものではなく、一般的なコロナ対策であることを裏付けたわけだが、その仕込み故に簡単に撤回できなくなっているというジレンマに陥っている。
アンチ自民にとっては、なんとも面白い展開になっているのが今回の騒動だ。

 

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