東京モーターショー2019の出展で少しだけネットニュースにも
なっていました(株)ミツバさんの一枚歯ピニオンギヤ。

ワイパやパワーウインドなどの自動車部品ではモーターの
ウォームギヤ(らせん状の歯車)で直交する軸の斜歯歯車
(ななめに歯が刻まれた円板型の歯車)を回し、リンク機構を
動かします。
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新機構はモーターの円弧歯車で平行する軸の斜歯歯車を回して
います。
この円弧歯車というのが特殊な歯車です。
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展示品は駆動される側にダイヤルが着いていて、従来品では手で
回せないところを新機構は軽く回せます。
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ということはロスが少ないということでもあるのですが
この、駆動される側から動かせない、というのは実は重要な性能
だったりします。
動いてしまったら、パワーウインドなら通電を止めるとガラスが
自重で下がってしまいますし、ワイパなら走行中の風圧でアームが
浮き上がってしまったりビビったりします。
これをセルフロック性と言います。

ウォームギヤもねじ山をもっと緩やかにすればセルフロックしなく
なるそうですが、なめらかな動きにはならないとか。
機能の違いを考えると、この新機構の狙いが単純に高効率なのかは
疑問です。
セルフロックが不要な用途に使う必要があります。


平行軸(モータの回転軸と出力軸が平行)であることを考えると
細長いスペースに設置できるもの。
私が想像するには長細い空間に設置してユニバーサルジョイントで
自在な方向で出力軸を回すものではないでしょうか?
円弧歯車は多分歯切り盤で切削するのは難しそうですが、3Dプリンタ
とか粉末焼結ならできそうです。

私は多少聞きかじっただけの素人ですが、どんな用途を想定して
展示を作ったのか気になりますね。