中学受験にはいろんな塾があって、個々の特性や家庭環境や利便性に従って選ばれている。東海地区ではまだまだ選択肢が少ないのは残念だが。
大学受験でも選択肢はいろいろとある。大手予備校、少人数制指導、個別指導、サテライン、質問対応だけの塾もあるので、本当に様々だ。これらが状況に従って選択されるのがよい。
私自身は、小中高浪人時代、すべて河合塾千種校にいたので、おおよそ他のことは何も知らなかった。
この世界の住人になってから、大手予備校で授業をさせてもらったり、医専予備校で少人数や個別指導を受け持ったり、家庭教師をしたり、様々な経験をして、それぞれの特性を知った。
すべての学習環境には、適不適があるものだ。一つの例をあげてみたい。
今年、私が医専予備校で受け持った生徒の中に二浪の女の子がいた。一浪時点での成績はかなり厳しかった。金沢医科大学の成績開示では100/400点もなかった。合格ラインが270〜280程度であることを考えると・・・
その開示を見せてもらったときに私は一瞬たじろいだが
「すぐに合格ライン近くまではいくから、頑張っていこうよ」
私も根拠のない激励は慎むべきだとは思うが、そのときにはそう言うしかなかった。
しかし、言霊というものか。それから彼女の一年間は猛追という言葉が当てはまるものだったと思う。数字的にもどんどん伸びて、最終的には医学部合格があり得なくもないところまできた。
これで合格を掴めたならば、素晴らしいお話だが、そうはいかないよね。
彼女の話では、受験の度に合格点に達する科目も毎回あるのだが、全科目揃って取り切れる日はなかったということ。
勉強は出来るようになってから、得点力に安定的に反映されるまでに時間差ができてしまう。どうしてもリードタイムが足りなかったな。
結局彼女は医学部合格は叶わず、他学部へと進学していった。
実は彼女は、一浪のときには大手予備校、二浪でうちの医専予備校にきたのだ。
もしこれが逆だったらならば、どうだっただろうか?たぶんもっと高い確率の勝負が可能だったろう。一浪時に大手予備校で歯が立たず、立ち往生して時間を浪費してしまったのが残念でならない。
学習環境の選択がうまくいかなかったことによる結果である。人生は"或いは・・・、もしも・・・"ということはあり得ないことなんだけど、後悔のない選択はしたいものである。
いくた