終わりなき独身生活

アーティストの夜は孤独に気づかれないよう黙って通り過ぎるのが礼儀だが

やり過ごすことができない自由を選びながら、不自由な人間たちが誘い水をまき 

容赦なく俺を道連れにする

AM 1時22分

非通知 誰じゃ?

「ハロー ミスターガリバー元気ですか?」 

彼女は独身生活が長く、防犯用に買った男の靴にはカビが 

下着泥棒よけに男性用トランクスは、今や自分が履いて眠っている

その人との出会いは、まだ彼女が、とあるデザイン制作会社のアシスタントをやっていた頃

センス才能に溢れ、出世も早く、何年か後には CD ジャケットのデザインも手掛けてもらうようになった

彼女は、俺のミュージシャン仲間を紹介し お付き合いをしていたので
よく飲みにも行ったりした

だが、仕事優先主義ですぐに別れてしまう

失恋と言っては呼び出され ベロベロになるまで付き合わされた

そんな彼女も、今ではニューヨークで会社を持ち
BIG Star の CD ジャケットや 雑誌の表紙を作ったりと 一流デザイナー

アメリカではローラと呼ばれている

日本で俺がつけたあだ名は、たぬき顔のぽっちゃりだったから「ぽこぽん」と呼んでいた

ぽこぽんに、「結婚相手はできたか?」と尋ねた

「私 一週間持たない」と

「お前はセミか!」と突っ込んでやった

「帰国したら飲みに連れてってください」と言われ 体の状態を説明した
「ミルクなら OK だよ」と

今度は逆に突っ込まれました 

「乾杯はミルク インディ500か!」と

アメリカっぽいツッコミ 彼女も50手前 壁にぶち当たっているのだろう

仕事では、今ややるべきことをいち早く理解し 素早く自分の才能を吐き出せる女性だが

男のことになるとまるでダメ 彼女の男に関して最大の敵は、冷静な判断力

道に迷うぐらいなら潔く仕事に逃げる

相談にのりようがない

俺が昔彼女に言っていた「俺には子供はいないから、いつでも子供にはなれる」との逃げ言葉を 今では彼女が引き継いでいるみたいだ

今回は見事に振られたらしい

「もう結婚できない人と付き合うのはやめろ」と説教をしました

すると彼女は「私はやめろと言われると余計やりたくなるの アメリカでも、禁酒法の最中お酒が一番売れたと同じ 隠されると見つけたくなるし、触るなと言われると触りたくなる」

俺は、あーめんどくせえ女だと思い 思わず「お前セントラルパークで脳みそを天日干しして 悪いところ焼き焦がし出直せ」 

ピッ

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