血糖値スパイクを起こさずにカレーを食べたいっ![補足]

前々回の記事 『血糖値スパイクを起こさずにカレーを食べたいっ![1]』 で,

カレーの香辛料がグルカゴンの分泌も促進し,[食事からの糖質]+[グルカゴンによる肝臓からの糖放出]の合わせ技ではないか

と書きましたが,その後 ホリデー様のブログの記事;『糖尿病はグルカゴンの反乱だった』 を読んでいて,カレースパイスとグルカゴン分泌との関係がどこまで調べられているのか,少し調べてみました.

Curry博士,ややこしいです

“Curry” & “Blood Glucose”で 文献検索するとやたらたくさんヒットするのでおかしいなと思ったら,カリフォルニア大学医学部に Donald L. Curry博士という方がおられるのですね. しかも 糖尿病がご専門でした. ただし,Curry先生はカレーライスには興味がないようです.

一般にスパイスは

スパイスは,もちろん食欲を高める効果がありますが,糖尿病との関連では スパイスをふんだんに使う料理を常食していいる人には 一般に耐糖能を高める効果があるという報告が大勢でした. また短期的効果としても;

カレーはGLP-1分泌を促進する

などのように,むしろ血糖値を下げる方向であるという文献も多いです. しかし,カレーを食べると血糖値が急上昇する しらねのぞるばとしては,それでは納得できません.

トウガラシのせいかも

一方 欧州から 短いレポートですが,こういうものがありました

Capsaicin and glucose absorption and utilization in healthy human subjects

14人の健常人に,カプサイシン,つまりトウガラシの辛味成分そのものを含んだ(及び比較対象として 含まない)75gブドウ糖の糖負荷試験を受けてもらい,4時間にわたって15分ごとに 血糖値,c-ペプチド,グルカゴン量を測定した.

通常のブドウ糖試験ではなく,トウガラシ入りブドウ糖ソーダを飲んでもらったようです.カプサイシンの量はED50,つまり半数の人が『辛い』と感じる程度の量を用いたとありますから,それほど多量ではないのでしょうが,中には辛いと感じた人もいるでしょう.激辛 糖負荷試験というわけです.

(C) カタテマデザイン室 さん

この試験の結果は下記の通りでした.

  • 血糖値:カプサイシン入りは,カプサイシン無しの場合に比べて,血糖値が 30分~150分の間,有意に高かった.
  • 血中グルカゴン:カプサイシン入りは,カプサイシン無しの場合に比べて,グルカゴン濃度が 90分~180分の間,有意に高かった
  • 血中インスリン及び c-ペプチド:負荷試験開始後90分~165分にかけて上昇したが,カプサイシンの有無で差はなかった.

この結果から,著者はこう結論づけています.

カプサイシンは,消化管からの糖吸収を促進し,グルカゴン分泌も促進する.この作用は,インスリンの作用とはまったく独立したものである.

やっぱりそうでしたよ,奥さん<誰 [(C) プーカプカ様]

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