とっても便利!カッコイイ!もうコロガシ不要!ライブでイヤモニ/IEMを使ってみよう!

ライブの為に

イヤモニって耳につけてるやつ?あれ好きなアーティストも使ってて写真で見たことある!カッコイイ!

イヤモニってモニター聞きやすくなるんだよね!?よくわからないけど良く聞こえるなら使ってみようかな!

すいません、タイトルで釣りました。イヤモニってカッコイイ、モニターするの楽そうというイメージだけで導入しようとしてる人集まってくれましたか?そんな方々へ向けてイヤモニの知っていてほしいことをまとめます。

今回はイヤモニについてです。IEM=IN EAR MONITORとも呼びます。
イヤモニは近頃では身近な存在です。廉価機も増えてきて、以前まではプロ用しかなかった機材も誰でも手に入るルートと価格が整ってきました。
それにより現場でのトラブルも起こるようになったと感じているので、しっかりと使い方や使う為の心構えを解説していきます。

 

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イヤモニのメリット

イヤモニを使用するメリットはみなさんご存知の通りです。
実際に現場で導入されているのはメリットがたくさんあるからです。

  • 大音量でモニターをしなくても良い

ウェッジモニターの場合は周りも音が鳴っている中、それに負けないくらいの音量でモニターを返さなければならず、音量はどんどん大きくなる傾向にあり、モニターし辛く感じたり耳にも良くありません。対してイヤモニはカナル型のイヤホンのように耳栓状態で使用するので最小限の音量でモニターできるのです。耳にも優しいです。
大音量でモニターしなくてもよくなるので、ステージ上の音の濁りが減り、外音もクリアになります。

 

  • モニターのハウリングがなくなる

大音量で返さなくてよくなる副産物でハウりもなくなります。キーンっていう耳障りなハウり嫌ですよね。僕も嫌です。

 

  • モニターする場所に制限がない

ウェッジモニターの場合、コロガシはスピーカーなのでその鳴っている場所からしか音は聞こえません。モニターから離れたり立ち位置がずれたらモニターが聞こえなくなってしまいます。対してイヤモニならどこへ動いてもモニターが聞こえます

 

  • 同期音源があっても客席に漏れない

最近は同期音源を使用することが増えています。曲の出だしで同期と同時に演奏をしなければならない場合、クリックの合図を入れ同時に演奏開始できるようにすることがあります。ウェッジモニターだと曲が始まる前に「カッカッカッ」とクリックの音がコロガシから漏れてしまいます。ダサいですよね?イヤモニなら客席には音は漏れることなく耳だけにクリックが聞こえ演奏ができるのです。

 

  • ステージ上のスペースを確保できる

イヤモニのみでウェッジモニターを使わないと割り切ればステージ上は大きくスペースを確保できます。本来ウェッジモニターがあるところに特効機材を置けたり、演出面で様々な選択肢が生まれます。

  • カッコイイ

カッコイイですか?僕にはわかりませんが、好きなアーティストがやっているのでやりたいとかでしょうか?

などなどメリットはたくさんあります。みなさんこのような理由で導入しようと考えるでしょう。

 

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イヤモニのデメリット

もちろんデメリットもあります。

  • ワイヤレスイヤモニであれば電波が途切れる可能性あり

有線なら良いですが、ワイヤレスなら途切れる可能性は必ずあります。
現在は信頼性も高くなりしっかりと設置されて準備してテストしてあれば途切れることは少ないですが可能性としては0にはなりません。
当然、音が途切れればモニターはなくなり、イヤモニはただの耳栓となります。
ライブ本番の演奏中に突然無音になる恐怖を一度想像してみてください

 

  • モニターがよく聞こえ過ぎる

よく聞こえるんだからいいじゃん!って思いますよね。そう、メリットなんですが良く聞こえ過ぎてレコーディングの環境に近くなりミスもハッキリ聞こえるので上手に演奏しようと思っちゃいます。ライブ感が損なわれると感じる人も多いです。

 

  • イヤモニで大音量でモニターすると耳に悪い

ウェッジモニターより耳に優しいって書いてたじゃねーか!嘘かよ!という方ちょっと落ち着いて。あくまで適切な音量ならです。
ライブ感が物足りないからと大音量でイヤモニを聞いていたら鼓膜により近いところでガシャガシャ鳴るわけですから当然耳に悪いです。

まあ、デメリットはこんなところでしょうか。
メリットを考えれば全然受け入れられることと思います。ですのでみんな使うのですね。

 

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アマチュアが使う際のデメリット

実はこっからが本題です。長かったー。
メリットはたくさんありますが、果たしてアマチュアのバンドマンが使ったらメリットが上回るかって話をします。

まず、メリットを振り返りますが、ステージを動き回ってもモニターできるっていうのはドームやアリーナなど大きなステージや客席の中の花道や時にはトロッコに乗ったり気球みたいのに乗ってもモニターできるってところにメリットがあってメジャーなアーティストは使っているのです。3歩横にずれただけで隣のギタリストにぶつかるライブハウスで必要でしょうか?

ドーム公演なんかは音の反響も大きいです。ステージから離れればスピーカーから出た時間差も聞こえてしまいリズムが取れなくなり歌えなくなります。それをイヤモニは解決してくれますが、ライブハウスでも同じでしょうか?

そして有名アーティストはバックバンドにプロのスタジオミュージシャンなどを集めてコンサートが行われたりします。
プロのバックバンドはクリック通りに正確に演奏したりミスなく演奏することに集中します。そんな人たちには心強いアイテムですがライブハウスに出演するバンドマンも同じでしょうか?

ステージ上で噴水や火が出たりする演出が必要でその装置を置くためにウェッジモニターが設置できずイヤモニを使用していることもあるかもしれません。身近なバンド活動でも同じような環境ありますか?

プロが使っているのはそういった大きな会場で演奏するために必要だからなのです。
今一度自分のバンド活動で本当に必要なのか考えてみるといいかもしれません。

 

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PA的な観点からみるアマチュアが使う際のデメリット

これも本題。

有名アーティストのライブ、コンサートは専属のPAがついています。客席向けの音をコントロールするオペレーター、演者のモニターだけをコントロールするオペレーター。そして楽器周りを担当するテクニシャンもいます。
時には、モニターのPAもウェッジ用モニターPAエンジニアとPA卓、イヤモニ用のPAエンジニアとPA卓とさらに細分化されていたりもします。それほど慎重に扱うべきアイテムなのです
ドームやアリーナやフェス、どこでやっても同じ環境で聞こえるように専属で何箇所も回ってリハーサルやトライアンドエラーを繰り返します。
機材も簡単に買える額のものではありません。1人何十万円という機材を使っています。それと同じものをモニターオペレーターと楽器のテクニシャンも使い、アーティストと同じ音を聞いてモニターをコントロールしているのです。
そこまでしっかり準備してイヤモニはライブで使われているというのを覚えておいて下さい

うるせー!安いのも売ってるんだから使っていいだろ!って声も聞こえてきそうですね。
たしかに使ってもいいんですが、専属のPAがいるでもなく、PAもモニターと分岐してもないとトラブルが起きる可能性があるのです。安い機材は信頼性にも欠けます。
音が聞こえてこないなんてよくあることで、それでリハや本番の時間が押したりなんてことがあります。

それだけならまだいいですが、最悪はイヤモニに突然大音量が流れて耳を壊す危険性があるということです。

イヤモニが一般的になったとはいってもライブハウスクラスで当たり前になったとは言い切れません。
イヤモニの取扱いに慣れているPAさんがいればいいですが、PAオペレーターになりたてです!ってフレッシュエンジニアだとイヤモニを使ったことがないかもしれません。
そんな時でもあなたの大事な耳をその人に託せますか?

そしてイヤモニに爆音が襲いかかる危険は身近にあります。
DIに送るファンタム電源を間違えて送って音が出てしまったらどうでしょう。コロガシなら「バンッ!」と音が出てみんなびっくりしてもごめんなさいねーで済みますが、イヤモニだと耳の鼓膜の手前数ミリの所でそれが鳴ります

メンバーの楽器の音量のツマミが何かにぶつかって上がっちゃったりしたらどうでしょう。おい!うるせーよ!で済んでいたところが、イヤモニだと耳の鼓膜の…(略)

と出演者のバンドマン自身に危険が及ぶこともあるかもしれないのです。

いちPAとして僕の考えを言うと、
専属のオペレーターがつく、もしくは外音と中音のPAが別れている環境で演奏するのが当たり前になるまでは、同期音源の使用など差し迫った理由がない限りワイヤレスイヤモニの使用は待つのが良いと思います。その代わりにウェッジモニターでどんな会場でやってもいつも同じように演奏できるモニター作りと演奏のスキルを身につけて下さい

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それでも自分のライブにはイヤモニが必要だという方

同期音源を使うなど今ではイヤモニをしなければ成立しないというライブもたしかにあるでしょう。
そうなったらいかにトラブルに見舞われずイヤモニを運用できるかを考えましょう。

まず、言われるまでもないかもしれませんが、必ず出演のライブハウスへはセット図の送付をし、セット図にはイヤモニを使用する旨を伝えてください。
セット図にどうやって記載したら良いのかはこちらの記事をしっかりみてくださいね。

セット図/ステージプロットの作り方
セット図ってよくわからないからなんとなく送ってるわ そんな人多いと思います。 今回はライブ出演する際に必須なセット図の作り方のポイントを紹介します。会場側が欲している情報は...

イヤモニと記載してもいってもミキサーを介して使用するのか、はたまたワイヤレスなのかで話は変わってきます。
ワイヤレスの周波数帯によってはその会場では使用できない可能性もあるのです。使用をするにも周波数の使用の調整が必要な場合もあります。

そして、今では安い機材も多くありますが、ライブハウス等で使うにはプロユースの中での機材選択をしてください。
ワイヤレス系の機材も身近になり安価でカラオケスナックなどでも揃えられるようなものも多いですが、ライブハウスで使用している音響機材はプロユースのものです。入力の端子や、入力のレベルといった機材の仕様は民生用モデルでは互換性がなく使えないものもあります。
ですので最低限のレベルの機材として

こちらの【SHURE PSM300】くらいの機材を用意しておけば万全です。
SM58などマイクでおなじみのSHUREの製品で、このあたりのイヤモニ機材であれば多くのPAは使い方も初見でわかるはずです。
おもちゃみたいな製品だと使い方もわからないことがありますが、プロの現場で使われているメーカーであれば安心です。

耳につけるモニターも最低限

これくらいのイヤホンを使用しましょう。

今ではカナル型というのもこういった耳にかけるイヤモニ形状のイヤホンも街で見かけるくらい身近なものになりました。
しかし、同じ形だからといって日常で使うリスニング用として売られているものと、ミュージシャンが演奏をする時に聞く為のイヤモニでは設計のされ方が違うのです。
ですので普段使っているのがお気に入りだからといって同じものは使わず、ライブでは必ず専用に作られたものを使いましょう。

専用に作られたものはライブで使用することを考慮し、汗などの水分に強く作られていたり、壊れても部品単位で交換ができたり、メンテナンスがしやすいように分解できたり、大音量が鳴るライブ中でも音がしっかり聞けるよう密閉度を高めていたりするのです。

現在の環境でどうしても使わなければならないのであれば、最低限の機材を揃えることも万全の状態でライブをするのには必要なことです。

イヤモニの使用に慣れているPAエンジニアがオペレーターをやり、同期も使うし動き回ったりもするとなればそれは心強い機材で便利で使わない手はありません。
しかし、カッコイイからとか好きなバンドが使ってるからといった安易な理由でイヤモニを導入するのは少し考えたほうがいいでしょう。

おわり

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