ライン出力楽器でライブをする際の注意点 〜出力レベル設定編〜

キーボード

音の出力?あまり詳しくないからだいたいこれくらいかなーって感じでしか設定してませんでした…

おそらく多くのアマチュアプレーヤーはそこまで出力レベルを細かく設定せずに、”これくらい”といった感覚で決めているんじゃないかと思います。それでもライブはできますが、これからバンドアンサンブルのバランスを追求していくなら出力のコントロールもしっかりできると更に良くなるはずです。

前回に引き続きライン出力楽器を使用する際の注意点を説明していきます。今回はライン楽器や楽器の音をまとめるミキサーからの最終段の出力のレベルコントロールをしっかり決めましょうという内容です。
前回の内容も合わせてご覧ください!

ライン出力楽器でライブをする際の注意点 〜曲・音色ごとのレベルバランス編〜
私、キーボードでライブしたことあります!けど、音量のバランスなんて気にしたことなかったかも… 今回はキーボードに限らずライン出力する楽器での音量の振り幅について解説していきたいと...
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PAはこんな時困っている

今回の説明をしようと思ったのは常日頃から困ることが多いからです。それはどういった時か解説していきます。

1.出力が大きすぎる場合

ライン出力の音をPAがもらい、それをPAミキサーで確認すると大きすぎる出力の時があります。時に、もらった時点で音がクリップして歪んでいる状態もあります。
歪んでいる状態というのは音がバリバリと割れたりダイナミクスがなくなってしまいます。使い物にならない音になってしまいます。

音をもらった時点で歪んでいるということは少ないのですが、よくあるのが音をもらった時は適正なレベルだったが、曲中だと強いタッチだったりエフェクトを使用したり、複数の楽器をミキサーで同時に出力したりすることによって出力が上がりクリップしてしまうパターンです。
例えば、PAはリハーサルで音をもらった時にバンドで鳴らしたらちょうどいい音量に調整します。ちょうどいいままならいいのですが曲中にエフェクトを踏んだら他の楽器を押しのけるくらいの音量になったり、本番でテンション上がってタッチが強くなりそこだけうるさくなったり、最悪音が歪んでしまったらアンサンブルが崩れてしまうんです。
その為にPAはコンプレッサーなどを使い最悪の事態を避けるようにするのですが、最悪を避けるより最悪にならないようにするのが懸命ですよね。
前回の曲ごとのバランスを作るのと考え方は共通しています。

2.リハーサルと本番で出力のレベルが変わっている

こちらのライブリハーサルの記事を読んでいただければ詳しく解説しています。

バンドリハーサル完全攻略ガイド
リハーサルって何すればいいかイマイチわかんないよな。テキトーに曲やってモニターもらって終わりって感じ? こういった方も多いのではないでしょうか。リハーサルがどんな目的で進行してい...

リハーサルが終わったら必ずアンプやエフェクターの設定をメモリーしましょう。
それと同じようにライン出力楽器も出力のレベルを必ずリハーサル終了時にメモをして本番も同じ設定で復帰して下さい。
ミキサーのツマミだったり、キーボードのアウトプットレベルのツマミやフェーダーは機材の上にシールドや小物を乗せただけで動いてしまいます。
他にもEQやエフェクトやシンセの設定など全てリハーサル時と同じ状態にして本番に望んで下さい。そうしなければリハーサルの意味は無くなり、中音も外音もバランスは崩壊します。
リハーサルと違う設定になり、本番だけキーボード爆音になり中音は他の楽器が聞こえなくなりギターやベースもアンプも上げ、さらにステージ内が爆音に包まれドラマーは目一杯叩かないと自分の音がわからないという状態になったら今日のライブは終わりです。ジ・エンド。

3.本番でテンションが上がって出力を上げてしまう

1つ目に例にしたように本番中のテンションでタッチが上がることもありますが、それとは別に本番になったらお客さんが入りリハーサルの時より楽器の音が聞きにくくなってしまいアウトプットの出力を上げてしまうというパターンです。
唐突に出力が上がるのでPAは驚きます。トラブルかと思うこともあります。
モニターしたいが為に出力を上げるとお客さんが聞いている外音も上がりバランスは崩壊します。終わりです。ジ・エンド。

PAが困るというのはリハーサルで行ってない予期せぬことが起きているということであり、もちろんサウンドに影響が出ないように努力をしますが、それでも影響が出ることもありますしその対処をする間はミックスに集中できない可能性もあります。
つまり、しっかりと出力の設定を決められなかったり、本番のテンションでのブレはそのライブのサウンドに影響するということなんです。
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それぞれの解決策

解決策はとっても簡単です。
①の出力が大きすぎるこのパターンですが、まず第一にミキサーであればアウトプットのレベルインジケーターを確認してください。

この図ですとメーターのCLと書いてあるところ、赤いランプがついたらクリップ、すなわち音が歪んでしまうということです。信号でもパトランプでも同じように赤は警告色なんですよ。
その手前+6って書いてるとこが黄色ですね。その下は緑。信号と一緒ですがな。
たまに黄色つくくらいなら問題ありませんが緑の範囲におさめてねってことですわ。
簡単でしょう?

私がPAする際はリハーサルでミュージシャンにそのライン出力がライブ中に1番大きくなる音をもらっています。MAXがわかれば急に音が大きくなることはないのです。小さければ心置きなく上げられます。
ですので、ミュージシャン側へのアドバイスは、リハーサルでPAとのサウンドチェックの時に最大出力をチェックしておく。その時に楽器側でレベルオーバーしないかをチェックしてください。
そしてその時点で歪んでいないかを確認するということです。
その上で出力のレベルはPAさんと相談して、小さすぎないか大きすぎないか決めてみると良いでしょう。
リハーサル時に「こっちはアウトプットのレベルは0dB前後で出してまーす。」なんて説明したらPAもステージ上でどれくらいで出力されてるのかもわかり”コイツやるな…!”となりますので挑戦してはいかがでしょう。

②の解決策もとっても簡単。
ただただしっかりアウトプットのレベルやその他の設定をしっかりメモリーすること。以外とアンプ以外はメモらない人多いですが、ツマミというツマミは全てリハーサルと同じ状態にしてください。面倒でもそれをやることが良いライブをする近道です。
テクニックや基礎練習をシコシコやるわけじゃなく、ただ設定をしっかり戻すだけで他のバンドと差をつけられるとしたらかなりお得かと思いますがどうでしょう?

そして③の解決策です。
リハーサルでは外音のまわり込みを聞いていてモニターできていたものが、本番でお客さんが入るとそのまわり込みがなくなりモニターが足らなくなるということはよくあります。
じゃあとアウトプットレベルを上げたら崩壊が起こるので。そんな時はモニターを上げてもらうようにPAへ指示してくれればいいです。
大声を出さなくても大丈夫です。上げてもらいたい楽器を指さして「上げて」と指を上に向けてジェスチャーすればOKです。
本番の演奏中でお客さんも見てるのにそんなジェスチャーするの恥ずかしいっ///って思うかもしれませんが、大物ミュージシャンでもモニターを上げたり下げたりしたい時は本番でもやってますので平気ですよ。むしろスマートにできるのがアーティストとしてカッコイイと思います。
本番にいきなり出力を上げて崩壊するより、その経験を活かして次はリハーサルでは本番を見越して少し大きめにしておこうと応用できるようになることがバンドの成長に繋がります。

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ライブをするごとにレベルアップできるよう

今まで漠然とライン楽器の出力設定を決めていたかもしれませんが、その設定や振れ幅でもサウンドやバランスへの影響があることがわかってもらえたでしょうか。
まず、PAさんとしっかりディスカッションできれば不安は減ると思います。そして、改善点が見つかったら次のライブにはそれを踏まえてバージョンアップしどんどん良いライブができるようになることを願っています!

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