【前半】女性天皇・女系天皇・女性宮家・旧宮家の皇籍復帰…ややこしいので調べ直してみた
皇紀二六七九年／令和元年皐月（さつき・五月）五日
※長くなりそうなので分割公開することにしました。
平成から令和への改元を受け、メディアやネットでは盛んに女性天皇・女系天皇・女性宮家・旧宮家の皇籍復帰などの言葉が踊っていますが、正直言って分かりづらいですよね。
そこで自分のあやふやな知識を正すためにも、ゼロから調べてみました。
さあ、ご一緒におさらいしてみましょう。
まずは言葉の意味を正しく知る
『女性』『女系』『宮家』『旧宮家』……似たような言葉が並んでいてわかりづらい上に『万世一系』という、なにやら呪文のようにも聞こえる不思議な言葉。もしかして、分かったつもりになっていませんか？ 私はそうでした。
正しい判断をするためには、これらの言葉の正しい意味を知らなければなりません。
では『万世一系』と合わせて、一つずつほぐしていきましょう。
万世一系とは
皇室は万世一系と言われます。
万世一系とは、永久に一つの系統が続くことを指し、主に皇室・皇統（天皇の血筋）について語るときに使われます。つまり日本は建国以来、ただひとつの系統のの皇室によって統治され、それ以外の権力者や外国の侵略者によって皇位を剥奪・侵害されたことが一例も無いということで、これは世界にも例のない歴史です。このことから日本が『世界最古の国家』と言われる理由がおわかりでしょう。
初出は慶応3年（1867年）10月、岩倉具視《いわくらともみ》が『王政復古議』において『皇家は連綿として万世一系礼学征伐朝廷より出で候』（原文カタカナ）と指摘したところによるとされます。
1889年（明治22年）『（旧）皇室典範』制定に当たって伊藤博文《いとうひろぶみ》は、皇位継承における万世不変の原則として、以下の3項目を挙げました。
現在の皇室典範ではこの1.と2.をあわせた形で、第一条にこう記されています。
『皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する』
このように一つの皇統によって形作られる万世一系というものは、父方の血筋を辿ると最終的に神武天皇へ行きつくことができるわけですね。
女性天皇と女系天皇は全く違うもの
ー違いをわかり易く解説ー
次は女性天皇と女系天皇についてですが、ネットにこの違いを非常にわかりやすい形で表現しているイラストがあったのでお借りしました。作者さんに感謝です。
ここからは、このイラストを使って女性天皇と女系天皇についてお話していくことにしましょう。
女性天皇とは
単純明快。生物学的に女性である天皇のことで、古くは『女帝』と呼ばれていましたが、2004年あたりから女性天皇と呼ばれるようになったそうです（伝統が薄まっていくのは寂しいですね）。
上のイラストで言えば、サザエさんかワカメちゃんが即位すれば女性天皇となります。
性別は女性でも、天皇陛下である波平さんの遺伝子を直接受け継いでいるので系譜は男系となり、皇位継承に問題ありません。ただし、あくまでもピンチヒッターやリリーフ投手的な位置づけになり、男系男子の御世継ぎが現れるまでの存在だそうです。事実上の摂政政治に近いものなのかもしれませんね。
ちなみに、過去には8人10代の女帝がいらっしゃいました。人数と代が合わないのは、皇極《こうぎょく》天皇と斉明《さいめい》天皇、孝謙《こうけん》天皇と称徳《しょうとく》天皇が同一人物だからです。
女系天皇とは
性別とは関係なく、母親のみが皇統（天皇の血統）に属する天皇を指します。
上のイラストで言えばタラちゃんが該当します。お母さんのサザエさんは天皇陛下である波平さんの遺伝子を直接受け継いでいますが、皇室外から来たお父さんのマスオさんは皇統を有しませんから、タラちゃんは男の子ですが『女系天皇』となります。
現実の世界に話を戻すと、これまで皇室は男系を保持してきたので、歴史上、女系天皇が存在したことはありません。
忘れてはならないのは、女系天皇（ここではタラちゃん）が誕生した時点でそれまでの2600年に及ぶ万世一系の歴史（磯野家の皇室）が終わり、新たな皇室（河豚田家の皇室）が始まることが確定するということです。
大事なのでもう一度書きますね。
女系天皇を認めてしまうと、今の皇室は消滅するのです。
《後半へ続きます》
