「腎機能障害(CKD;ステージ3以上)がある骨粗鬆症の薬物治療」のReview4本目、今度は2007Osteoporos Int(2018IF3.8)掲載の論文です。元ネタはNEJM様。読むの大変そう…

Teriparatide in postmenopausal women with osteoporosis and mild or moderate renal impairment

研究疑問  :テリパラチドの効果は腎機能によって異なるか?
研究デザイン:RCT(のサブグループ解析)
セッティング:世界17ヶ国

P1 閉経後骨粗鬆症女性 eGFR≥80ml/min 885人
P2 閉経後骨粗鬆症女性 eGFR50-79ml/min 648人
P3 閉経後骨粗鬆症女性 eGFR30-49ml/min 83人
I1 テリパラチド 40μg/D
I2 テリパラチド 20μg/D
C ブラセボ
O 主要 :新規椎体骨折(画像的)
   副次 :他の骨折/大腿骨頚部骨折発生率
      骨密度、骨代謝マーカー、身長など
安全性:有害事象など

【方法の詳細】
・包含基準の詳細
 - 既存椎体骨折あり or BMD-1SD以下
・除外基準
 - 骨代謝異常、骨粗鬆症治療歴など
・全員にCa1000mg/日とVD処方
・椎体骨折は放射線科医が(やっぱり)Genant分類
・骨密度は腰椎を毎年、大腿を3Yで測定
・代謝マーカーはPINP
・主解析は腎機能、要因、交互作用項を含めたロジスティック回帰
・割付法の詳細や解析対象集団は?投与期間は?

【結果と結論】
結果は各Pに共通してテリパラチドはPIMP・BMDを増やし、椎体骨折もその他の骨折も減少させ(いずれも交互作用のp値>0.05)、有害事象にI/C間や各P群で差はなかったなどなどの結果。Conclusionの項はなし。Bottom Line Messageは…

【批判的吟味】★★★★
表もわかりにくいし、記載も冗長でちょっと読みにくかったです。結局テリパラチドはいいよ!ということでしょうが、いまいち研究に芯がなくつかみどころがない印象。もと論文もNEJMにしてはシンプルすぎる(欲しい情報がしっかり記載されていない)し、ちょっと拍子抜け。RoB1も、

1.割付けの盲検化 Unclear
2.割付けの隠蔽化 Unclear
3.参加者/治療者の盲検化 Unclear
4. 評価者の盲検化 Low risk
5. アウトカムの追跡 Unclear
6. 選択的な報告 Unclear

と、RCTとしての質はまぁまぁで、バイアスリスクは低いとは言えません。もと・サブ論文いずれにも盲検化の詳細の記載が見当たりませんし、プロトコルにも簡単にアクセスできない。数とかやっていることはすごいですが、現代目線?ではかなり粗いです。

【コメント】
この粗さで(もと論文が)NEJMに載るのはやっぱり意外
、20年前だからか。すなわち最近研究の敷居は大分上がっているということでしょう。今後ますます臨床家から発信するのは難しくなりそうなので、EBMがどこに向かうのかちょっと不安になります。