宮沢賢治について..その1
僕は宮沢賢治のことが好きだ。
でも好きゆえに知ることになると、
自然と彼の人間的な側面に目が行くことになる。
賢治はゴッホなどと同じく、生前に認められた作家ではない。
彼の人生は、挫折の繰り返しだったように思える。
僕は彼の作品、グスコーブドリの伝記が好きだ。
この作品を通して、彼の理想とするものが垣間見れる。
彼は学生時代、保阪嘉内とともに理想について語りあい、
トルストイのように農民のための理想郷を作ることに尽力すると誓い合う。
他方で化学に可能性を感じていた賢治は、その知見を活かし、
農民を飢饉から救う術を模索する。
化学が万能で全てを解き明かすものとして、人々に可能性が提示された。
賢治も化学の可能性に感化され、その想いが作品にもふんだんに注ぎ込まれている。
でも僕は、そこに賢治の傲慢さというか、人間らしさを感じずにはいられない。