フィリピン人のお財布事情 | 米国公認会計士のフィリピン税金や法律のあれこれ

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こんにちは、米国公認会計士の橋本です。

 

日本ではそろそろ冬の到来が迫ってくる時期だと思いますが、フィリピンでは全く季節感なく今でも夏日が強くオフィスにはエアコンが必要で、外出時には暑さと日差しが体力を奪っていきます。

 

今日は、フィリピン人の御財布事情と言いますか、収入などを少しだけ書きたいと思います。

 

 皆さんはひと月にどのくらいの収入がありますか?

人によりさまざまでしょうけど、日本にいればおおよそ月に10万円~35万円が一般的だと思います。その収入の大半が会社や勤め先から払われる給料というのが一般的だと思います。

 

 フィリピンでも一般的には企業に勤めて、そこから支払われる賃金が主な収入となっている方が多いでしょう。 フィリピンに来た方であれば、こんなことを思ったことはありませんか? 例えば宿泊しているホテルや買い物に行くショッピングモールで働く人たちは一カ月にいくらくらい給料をもらっているのかと思ったことはないでしょうか。私がフィリピンに来た頃は、フィリピン人の一般的な職種で一カ月にいくらくらい給料をもらえるのだろうと疑問に思ったものです。銀行の窓口係の人やホテルのフロント係の人にそれとなく聞いて回ったこともありました。

 

 しかし聞いてみるとあまりの安さにびっくりしてしまうことがあり、その給料でよく生活できているなと不思議に思うことがあります。

 

 フィリピンの一日の最低賃金は首都圏で約530ペソ(1200円)くらいですが、働き始めの頃は大半が最低賃金で働くことが多いと思います。

 それをひと月の給与に置き換えるといくらになるでしょうか?

 

  週5日勤務の場合:1200(円/日)×5(日)×4(週間)=24,000円

 

  週6日勤務の場合:1200(円/日)×6(日)×4(週間)=28,800円

 

  だいたいこんな感じの給与形態です。 一カ月に万円ないくらいの給料しかもらっていないのです。

キャリアや経験を積んでくると昇給や昇進もありますが、最初はこんな金額しかありません。

 

 

 質問ですが、彼ら一般的なフィリピン人に対してどのような商品やサービスを提供すれば買ってもらえるでしょうか?

 

 これに対して明確にお答えできる方であれば、おそらくフィリピンでビジネスをした場合に成功することができるでしょう。

 

 彼らの所得水準が低すぎて商品やサービスの品質や使い心地を検討する余地がないことがお判りかと思います。

例えしっかりとした企業に勤めていたとしても彼らの所得はこんなにも低く、しかも扶養家族が必ずいるため彼ら自身が自由に使えるお金などほとんどないのです。

 

 しかしそれでも収入のある人たちはまだ良いほうで、仕事に就けない人も大勢います。彼らはたとえ若くても働けることができたとしても働き先を見つけられずに誰かに養ってもらっています。

 

 

 昔、ある本で読んだことがある内容ですが、

「アフリカに自分の会社の靴を売りに行ったとき、アフリカ人は皆裸足でした」という話があります。皆さんもお聞きになられたことがあるかもしれません。

 

 一人はこう言います。「みんな裸足で靴を履く習慣がないから絶対売れないよ」

 

 もう一人は反対のことを言います。「みんな履いていないなら絶対に買ってもらえるよ」

 

  確かに靴というものを知らない人に対して、売るというのは非常に難しいと思います。それはどちらも思っていることだと思いますが、それをあきらめてしまうのか、もしくはそれを知ってもらって買ってもらうまで諦めないのかは、それぞれ置かれた状況により判断することだと思います。どちらが正しいのかは

 

 同じようにお金のない人に商品やサービスを売るのは難しいと思います。 しかし支払うお金以上にその商品やサービスに価値を見出したとしたら人はどうやってでもそれを購入するかもしれません。 それによってお客様が得られる満足は何なのか。 品質や使い心地以外のさらに実用性の高い満足を得られるとすれば、受け入れられるかもしれません。 しかし気を付けなければいけないのは裸足のアフリカ人は靴というものを知りません。それの良さを知ってもらうには忍耐と時間が必要です。 もしその売れない期間を乗り越える資金や時間がない場合には撤退も正しい選択なのかもしれません。

 

 ビジネスでの正解は一つではないはずです。

ビジネスは人と時間とお金のバランスが取れているところで成立します。もし続けることでそのバランスが崩れるようなことがあればたとえ将来性があったとしてもビジネスとしては失敗でしょう。

 

 私も東南アジアでのビジネスの難しさを実感しつつ、何とか今まで生きてこられました。

そうやって外国の洗礼を受けながらも、たくましく生きていける日本人が多く出てこられることを願っています。

 

 それでは今日はこの辺で失礼いたします。