ケンズタウンの鉄道模型輸入事情 その7 - 覇権争いの狭間で  -

 

 

 

本日もケンズレールロードへお越

しいただきありがとうございます。

 

「おじちゃん、えらいことに

なってきたねー (>_<) 」

 

そうなんだよ。 いよいよ北米の

鉄道模型業界も、お尻に火がつ

いているかも知れないね。

 

せんだって、アメリカ大統領が

中国製品に対する最終段階の

関税引き上げに踏み切りました。

そして、中国側もこれに徹底

抗戦する態度を明らかにした

ばかりです。

 

ご存知の通り、北米では鉄道

模型メーカーの殆んどが中国

の工場で製造を行っています。

中国の工場から直接北米以外

の客先に輸送する特別なケース

は除いて、通常、完成した製品

は船便で北米まで輸送され、メ

ーカーの倉庫等に配送されます。

いよいよ、北米鉄道模型にも

高い関税が降りかかり、原価ア

ップは待ったなしです。

 

「中国ゆーたら去年、

工場閉鎖事件があった

ばっかりやん(>_<)」

 

事件の影響を受けたメーカーに

とっては泣きっ面に蜂状態だよ。

 

この事件に関しては現在もその

影響が続いており、以下のメーカ

ーでは現在も発売の大幅遅延、

又は保留などが終息していません。

・アトラス

・インターマウンテン

・フォックスバレーモデルズ

・ウィールズオブタイム

・トレインワークス

・Nスケールエンスージアスト

・マイクロトレインズ(一部)

 

以上のメーカーでは今年に入っ

てから代替工場の確保を完了

したところも多く、未だ半数以上

のメーカーでは発売時期を公表

できる段階にありません。

ケンズタウンにてご予約をいた

だいております各種アトラス製品、

キャブフォワード(インターマウン

テン)、トラック製品(トレインワー

クス)につきましては、依然として

発売遅延状態が続いております。

皆さま方には、多大なご迷惑を

おかけいたしまして誠に申し訳

ございません。

この場をお借り致しましてお詫び

を申し上げます。

 

このような状況下での今回の関税

引き上げです。

各メーカー担当者は中国に出向き

今後の対応方法について各工場と

緊急打ち合わせをしていると思わ

れます。

 

この状況は我々にとっても決して

良い材料ではなく、価格上昇だけ

では終わらない可能性もあります。

 

「えっ、ほかになにがあんの?」

 

メーカーの経営側に立って考えて

みるとね、いろいろ価格を下げる

ための対策を考えると思うよ。

例えば当面製品化サイクルを伸ば

すとか、製品化モデル数を減らす

とかね。 特にNゲージ製品は北米

では主流ゲージではないから製品

化数削減対象になってもおかしく

ないと思うよ。 その他、製品の原

価を抑えるために部品点数を少なく

設計しなおすかもしれないし。

 

「手をかけたせいみつなモデルが

ちょっとへるかもしれへんね(-_-) 」

 

まっ、疑心暗鬼に考えた場合

だけどね。

 

このところ、対米為替レートが

大きく円高に動いています。

今回の最終関税決定前から

数パーセントの円高基調です。

ユーロ、ポンド(英)も同様の

円高推移で、その影響が全

世界に波及していることがわ

かります。

 

「ほな、お店にとっては

仕入れがやすなんの? 」

 

そう、ドル建てのお店ならドル

に対して支払う円が少なくて

すむからね。

 

「???、えーっ、ちょっと

よーわからへんわ・・・(>_<; 」

 

じゃー、例えばおじちゃんが

1ドルのものをアメリカから

輸入したとするよ。

その時の為替相場が1ドル

につき112円だったとする

でしょ(112円/$)。

するとおじちゃんは、112円

を支払ってそれを仕入れる

ことができるんだ。

今これが、現状のように円高

になったとしよう。

円が高いということは、ドルより

円の値打ちが高くなることだか

らドルに見合う円が少なくてす

む方向だよ。

 

「なんで円が”高い”てゆーてん

のに円の数字は下がって

やすなっていくん (-_-? 」

 

1ドル何円といった場合の為替

相場はね、1ドルをいくら(円)で

買えるか(=1ドルの値段)という

ことなんだよ。

円高、つまり円の価値が高い

ということはドルの価値が下がっ

て安売りになるということだから、

1ドルの円での値段がどんどん

下がる安い方向、つまり円高

になるほど数字は下がるんだよ。

で、さっきの話に戻ると、例えば

1ドルについて109円(109円

/$)の円高になった場合、それ

までは112円を支払わないと

仕入れられなかった1ドルの品を、

今は109円で安く仕入れることが

できるわけだよ。

 

「ほな、円高になるほど

おじちゃんはもうかるん

やね (^0^) 」

 

いやいや、おじちゃんの場合は

基本的に売値を、仕入れにかかっ

た費用の何倍かで決めていて定価

ではないから、もうけとしては差が

殆んどないと思うよ ・笑・

つまり、円高になるほど売値が

下がる変動価格だから、以前と

比べると最近のケンズタウンの

売値は少し下がっているものが

多いと思うけど (^-^)

時々、諸般の事情から下げられ

ない品物もあるけどね(^_^;;

 

実際に高い関税がかけられる物品

は、船便の場合、今月下旬に北米

に入港するものからということだそう

です。

もしも、各メーカーがそれに伴って

販売価格を上げた場合、円高基調

で多少下がったお店での売値は

相殺してしまうか、或いはさらに

高くなることも考えられます。

ケンズタウンでどう対応するかを

これから考えなければなりません。

 

より多くの物をより早くより遠くまで

運ぶ目的で線路は敷かれました。

かの二国にも線路はあります。

両国とも他国にまで続いています。

線路は地域同士の関係をわかり

やすく現していますね。

信頼関係ができれば線路は続き

ます。

 

「どこまでもな・・・(^^ 」

 

いったん敵対関係になれば、真っ

先に封鎖されるのが線路でしょう。

一方、海底を掘ってまで線路を

つなぐことさえあります。

航空、いや宇宙時代の今、もはや

地上の線路の長さは文明発達

の指標にはなりえないのかも知れ

ません。

けれどもある意味で原始的なその

素性は、むしろ人間の変わらぬ

原始的な本質と妙にマッチして

いるように感じられます。

 

大国同士の覇権争いは長期化

するとの予想が多いようです。

どこまでも続く線路・・・、

それは、全ての地域、国が人

として信頼関係にあることを

表す深い言葉なのかもしれま

せんね。

 

 

「♪ はーるかなまちまーでー

ぼくたちのー

たのしいたびのゆめ、

つーないでるー・・・」

 

アメリカ民謡(作曲)なんだってね(^-^)

(※作詞は日本)

 

それではみなさま、

また次回までさようなら (^0^)/