亜鉛欠乏と不育・不妊は関係あるか?
ALPってなんぞや
不育症外来デビューをする前に、何か自分の体に流産を繰り返すような兆候はなかっただろうかと思い、ここ数年間で受けた健康診断や人間ドックの検査結果を見直してみました。
ということで流産手術後、不育症検査の予約をして診察日を待っていたときの2018年秋から書き始めた日記です。
不育症検査の話はこちら→不育症検査のタイミングと検査項目&費用
とりあえず過去の健診の結果を見返してみれば、今まで子宮頸がん以外の精密検査に引っかかったことはないものの、そういえば人間ドックで受けた血液検査の「血清アルカリフォスファターゼ(ALP)」という項目の数値が基準値よりちょっと低い。
ALPはリン酸化合物を分解する働きを持つ酵素で、基準値は115〜359U/l。
わたしは過去3年間でだいたい毎回96〜97です。
人間ドックの結果説明のとき、お医者さんにこれは大丈夫なものかと伺ったことがありました。
そこでは「100前後は全然問題ないです」とのことで、わたしも「そっかあ〜」とALPが何なのかすら知ろうともせず、その後は気にしたことがありませんでした。
しかし!!
今回自分が不育症かもしれないと疑い始めて、改めてALPについて確認してみたら
「ALPが低い場合には亜鉛欠乏、甲状腺機能低下症などの場合がある」とのこと。
ALPが低い=不育症の可能性がある、という記述はどこにもありませんが、亜鉛欠乏は生殖機能の低下を引き起こします。
亜鉛といえば男性の生殖機能と結び付けられることも多いですが、実は女性も亜鉛が足りないことで妊娠しにくくなるらしいです。
また甲状腺機能は不妊や流産に関わるのは言わずもがな。
早く不育症検査で白黒ハッキリつけたいと逸る気持ちを抑えつつ、体の回復も兼ねて亜鉛摂取を意識した生活改善をしてみることにしました。
※これは2回めの流産直後に書いている日記なので、その後の不育症検査で「甲状腺機能低下症(橋本病疑い)」に引っかかり、ALPを気にしたことが偶然にもビンゴだったことがわかります笑。
亜鉛欠乏は食生活が原因?
亜鉛は人間の骨や臓器に含まれる成分で、タンパク質の合成に関わる酵素の材料として使われます。不足すると成長障害が起こります。
しかし人間の体内では亜鉛を作り出すことができないので、食べ物などから摂取する必要があります。
wikiによると亜鉛欠乏は「栄養失調」が原因のひとつらしいですが、実はそこが解せない。
わたしはだいぶ食が良いほうで、結婚してからはできるだけ自炊して、魚とお肉、野菜のおかずを「まごわやさしい」できちんとバランスよく摂っているつもりでした。
そして亜鉛欠乏の人の特徴である「味覚障害」「食欲低下」「低身長」「皮膚炎」「脱毛」などにも当てはまることはないし(食べ物を評価するような内容の仕事もしていました。もし味覚障害があってやってたとしたらとんでもない……)、平均よりたくましい体格で肌も丈夫。自覚症状ゼロです。
過去の生活とALP値を振り返る
ここで改めて自分の生活とALPの数値を振り返ってみました。
2014年 受けていない
2015年 97
2016年 96
2017年 97
2015年:忙しくてごはんもまともに食べられず1ヶ月で体重が4kg落ちてボロボロなときの健康診断(ただ、週に1回ビタミン点滴を受けていた)。
2016年:ハズレの焼肉屋さんでひどい食あたりになって寝込んだ翌月くらいが人間ドックで、1ヶ月くらい胃腸の調子がいまいちな時期だった。
2017年:ごちそうを食べすぎて普段の体重から3kg太ってまるまるしていた。
ということで、ボロボロだった2015年もヌクヌクだった2017年もALPの数値に変化がないことから、わたしの場合は亜鉛不足と生活はあんまり関係ないのかもしれないと思いました(計測の時期は毎年ほぼ同じです)。
念のため朝晩の食事を共にしている夫の数値も見てみましたが、夫はこの3年間は平均して180〜195くらいでした。
ついでに遺伝的なものはないかと実家の両親の今年の人間ドックの数値も見せてもらったらみんな夫と同じくらい。
やっぱりわたしだけちょっと低い……。
血清亜鉛も微妙に基準値以下
さらに不育症外来初診の1週間後くらい(流産手術からは1ヶ月後)に行った漢方外来でも血液検査があり、ここでもALPと血清亜鉛もはかっていただきました。
結果はこんなかんじ。
血清亜鉛 73
微妙に基準値以下(基準値 80-130)
ALP 98
微妙〜に基準値以下(基準値 100-325)
他の検査項目では特に基準値から外れたものはありませんでした。
ところで「亜鉛欠乏症」という亜鉛不足が病気として診断されるような人には、治療のため亜鉛剤が処方されるらしいです。
ALPではなく血清亜鉛値で見る診断基準のひとつは以下のとおり。
亜鉛欠乏症─血清亜鉛値 60µg/dL未満
潜在性亜鉛欠乏─血清亜鉛値 60~80µg/dL未満
わたしの血清亜鉛値は73なので、この診断基準に照らし合わせると「潜在性亜鉛欠乏 血清亜鉛値60 ~ 80µg/dL未満」でギリギリ引っかかってはいました。積極的に治療されるほどの数値ではなさそうだけども。
30日で体質改善実験!
亜鉛サプリをとる
ちょうど2018年度の人間ドックまで30日ちょいほどあったので、まずは亜鉛のサプリ14mgを毎日飲んで、あわせて亜鉛摂取を心がけた食事をとってみることにしました。
買ったのはディアナチュラの亜鉛サプリです。
ただあまり亜鉛を摂りすぎると神経障害や銅欠乏や腹痛、妊娠した場合は胎児奇形のリスクなどが増えるのでなんとも難しいところです。
亜鉛の1日の摂取量の上限は18歳以上の女性で35mgですが、推奨量は8mgです。
亜鉛摂取を意識したごはんをとる
ごはん実験はこんなかんじ。
<毎日食べるもの>
・ライ麦入りパン1枚 亜鉛0.3mg
・6Pチーズ1切れ 亜鉛0.5mg
・白米茶碗1杯 亜鉛0.9mgくらい
・納豆1パック 亜鉛0.8mgくらい
・豆腐半丁 亜鉛0.9mgくらい
・アマランサス 米1合につき大さじ1(15g)亜鉛0.87mgくらい
・海苔 1/8枚くらい(0.4g) 亜鉛0.014mg
<亜鉛の吸収を助けるための補助>
りんご 1/2個
キウイ 1個
ピーマン 2個(パプリカなら1個)
にんじん 中1本
お米は1日2回食べるとすると、このベースの食品を朝昼晩にいずれか食べるだけでだいたい4.5mgは亜鉛が摂れる計算。
しかし亜鉛は食事からの吸収率は約30%。
さらに亜鉛の吸収を阻害するものと摂取した場合その吸収率はさらに下がるので、サプリと合わせてもせいぜい1日15mgいけてたらいいな、くらい。
でも普通に生活するよりは全然摂っていることになるはず!
そして亜鉛はビタミンCやビタミンA、タンパク質と同時に摂取すると吸収がよくなるので、果物や緑黄色野菜を一緒に摂り、サプリメントは朝食後に飲みました(朝に摂るとスッキリ動けるらしい。実際そんな気もする)。
食事で亜鉛を摂るのはなかなか難しいですが、流産後の体のリズムを整えるためにもきちんと食べていきたいと思います。
ちなみにビーフジャーキーも亜鉛の含有量が豊富な食べ物みたいです。
子どもの頃から気が狂ったように食べている大好物なのですが、もしかすると体が亜鉛を求めていたのかもしれない。
そして亜鉛といえば夫の得意料理の「牡蠣レモン鍋」!
亜鉛含有量トップの牡蠣に豚バラ(タンパク質)に野菜、大根おろしとレモン(ビタミンC)をたっぷりかけていただきます。
夫婦で大好物なので旬の季節は2週間に1回は食べていますが、効率よく亜鉛を摂取できそうだしこれから毎週末はレモン鍋にしてもらおうかしら。
さあ、数値は30日間で変わるのか!!
逆に数値が大きくなりすぎたらどうしよう、どきどき。
そして30日後の実験結果は……!
ここから1ヶ月半後の2018年12月末に追記したもの。
すでに不育症検査の結果も知って、人間ドックも受けています。
30日間、亜鉛摂取を心がけ生活改善して挑んだ2018年の人間ドックの結果は……
ALP 84!!!
史上最低に下がってるじゃないの笑!!!
ちなみにこのときも人間ドックの結果説明のお医者さんに「ALP低いですが大丈夫ですか」と聞いたところ、「病気が隠れているような所見じゃないし問題ないですよ〜」で終わりでした。
不育症のサイン?
わたしのALP値や血清亜鉛値については、人間ドックのお医者さんも、漢方外来のお医者さんも、みんな揃って口にしたのは「これくらいだと、時間によっても値に変動があるし全然心配いりませんよ」ということでした。
不育症外来でも「流産の原因に心当たりは?」という質問があったとき、「そういえばALPが低い」と言ってみたのですがお医者さんの反応は「うーん?」とあまり関係ないふうでした。採血前の食事の時間などにも左右されやすい値のようです。
でも、不育症検査で甲状腺機能低下症がわかった今考えると、ALP低値は
「甲状腺機能が低下していたサインだったのかもしれない」ということ。
これから妊娠を考えている人、なんだか原因不明で疲れやすい気がする人、流産してしまった人、もし人間ドックなどでALPや亜鉛の値が「ビミョーーに基準値以下」ならば、不育症検査はせずとも内科などに行って甲状腺機能の検査をお願いしてみると、「こいつのせいか」とスッキリすることもあるかもしれません。
もちろん必要以上に心配することはないと思いますが、わたしの場合はこんなこともあったよ、ということで。
亜鉛との今後のお付き合い
そういえば最初に飲んでいたのはディアナチュラの亜鉛(14mg)でしたが、たまに服用後に胃痛があって、2本目に入った頃からは毎回胃が動かなくなって吐き気や胃痛がするようになってしまいました。
わたしのほかにもamazonのレビューで同じことを書いている人が1人だけいましたが、消化器症状は亜鉛剤投与のよくある副作用らしいです。
そしてこの記事を流産後に書き始めてから数ヶ月経ち、甲状腺の投薬治療をしながら妊娠中期となった2019年現在。
亜鉛不足はつわりがひどくなるらしいので、つわりに苦しんだ妊娠初期こそ亜鉛を補いたかったのですが、さすがに吐き気を催すサプリは飲めなくて処分しました。残念。
つわりが終わってからは、チュアブルタイプの亜鉛(2粒で4mg)を毎日食べています。
気休めかもしれませんがグレープ味のラムネみたいでそれなりにおいしく、もっと食べたいと言うほどおいしくはない笑。
グミタイプの亜鉛サプリだとマカが入っているので、食べやすい亜鉛サプリはこれが一番かも。
そろそろ1瓶食べきりますが、こちらだと吐き気や腹痛はないので2本めを買って続けようと思います。ディアナチュラはわたしには強かったのかもしれません。
亜鉛はお腹の赤ちゃんの成長にも必要なミネラルなので、なんとか届いているといいのですが。
産後も授乳の際に亜鉛が足りないと赤ちゃんが亜鉛不足を起こしてしまうらしいので、場合によっては「潜在性亜鉛欠乏だから!」と言ってお医者さんに診てもらおうかなあと思っています。
もちろん引き続きできるだけ食べ物から摂取できるようにも心がけています。
さて今回ALPや亜鉛欠乏について、参考に読んだのはこちらの資料です。
▼亜鉛欠乏症の診療指針2018 - 日本臨床栄養学会
http://jscn.gr.jp/pdf/aen2018.pdf
亜鉛含有量の多い食品の表などもあって便利です。
そういえば今は薬を飲んでいるおかげで甲状腺のほうは数値が安定しているのですが、この場合ALPはどうなっているんだろう。気になる。
自分で採血検査できたらこまめに記録つけるのになあ〜笑。
つづく。
▼次回は不育症の検査結果待ち中に行った漢方外来での話です。
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▼夫の観察や夫婦のなれそめなどを書いているまんが絵日記ブログはこちら(メインブログです)