陰陽師、乱歩趣味、七三一部隊、千里眼事件、人工臓器……
京極堂シリーズとしてこの物語がどうまとまるのか?
しろあです。
ということでこの『魍魎の匣』に下敷きにされているネタを分析し紹介してきました。
ひとつひとつがテーマとして独立し、それをもとにストーリーを生むことができる素材です。
はじめにお話しした通り、それらの素材を下手に組み合わせると
物語の整合性が損なわれ失敗します。
ですから非常に難しい仕事なのですが、
京極夏彦はみごとにそれをやってのけ、自身のオリジナルの作品として昇華しています。
昇華している、というのは「もうりょうのはこ、ああ、あの作品は千里眼事件の話しよね」と
要約されるものではないということ。これでは千里眼事件に乗っかった、普通の作家さんの作品。
「『魍魎の匣』、ああ、唯一無二の作品だよね」
というそれ自体が強烈な個性をもってその作品自身とかいいようがない、
どちらかというとオリジナルに近いレベルになっちゃってる作品です。
よくまぁそれをたった13話にまとめたなぁとアニメ版の脚本家、ストーリーボードを担当した方に敬服します。
物語を無理無理詰め込んだ感じもなく、分かりやすい、視聴者おいてけぼり感がありませんでした。
……きっと原作はおいてきぼり感が凄いと思うんですが(汗)。
アニメの要素としてキャラクターデザインをCLAMPが担当している、という点も見逃せません。
CLAMPについては以前も書いた気がしますけど、ただの漫画家さんじゃなくて、
漫画家集団なんですよね。チーム組織です。
個人的には「xxxHolic」が好きですね。というか、これしかちゃんとは見てないけど。
作品の世界観をしっかり理解してデザインできる人たちだからでしょうね、カッコよすぎる京極堂も悪くありませんでした。
ただ、作家の関口くんは「銀玉」の新八にしか見えませんでした。 ← 調べてみて下さい。ほんと、そっくり。
ここでは『魍魎の匣』の骨子とも言える下敷きにしているネタに関して露わにしてきました。
これはかなりのネタばれ情報です。だって、読みながらそういう ”下敷き” に気付き、「おう」と驚くものですからね。
でもこの作品に関しては逆に ”予備知識” として知っておいた方が深く楽しむことにつながると思います。
相当なネタばれにも関わらず、このブログを読んだ人は
『魍魎の匣』がどんなストーリーであるか、全然わかってないでしょ?
ストーリーはほぼ語ってませんからね。
そんなことが成立するくらい、この作品は広く深いのです。
小説で、アニメで。知らない方は是非この作品の ”正体” を体験して欲しいと思います。