花月園観光、逝く (中編)上場廃止決定までの経緯

 花月園観光の上場廃止決定は9月何日に事実上分かっていた?

 

改めて東証上場廃止基準を読んでみるとこう書いてあります。

日本取引所グループHP

https://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/から抜粋

 

「時価総額」基準

「10億円未満である場合において、9か月(所定の書面を3か月以内に提出しない場合は3か月)以内に10億円以上とならないとき、又は、上場株式数に2を乗じて得た数値未満である場合において、3か月以内に当該数値以上とならないとき  」

 

注5)「時価総額」とは、月間平均時価総額(東京証券取引所の売買立会における日々の最終価格に、その日の上場株式数を乗じて得た額の平均)又は月末時価総額(月末日における東京証券取引所の売買立会における最終価格(最終価格がない場合は直近の最終価格)に当該末日における上場株式数を乗じて得た額)をいう(詳細については「時価総額基準」の項を参照)。

https://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/05.html

本則市場(市場第一部・第二部)の上場廃止基準本則市場(市場第一部・第二部)の上場廃止基準(有価証券上場規程第601条第1項第4号a) 時価総額が10億円未満である場合において、9か月以内に10億円以上とならないとき」

https://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/05.html

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上場廃止基準 日本取引所グループ 「時価総額基準(上場廃止)の日程例」より

このように、上場廃止の前段階であらかじめ9ヶ月間の猶予期間が設けられています。

 花月園観光の場合、上の図で言いますと8月を12月に置き換えて下さい。花月園観光は2018年12月末の時点でこの基準に抵触しました。

 

上場廃止に係る猶予期間入り

この時点で2019年9月30日がリミットとして設定されたのです。ここまでに、

⑴ 月中平均時価総額が10億円以上

⑵ 月末の時価総額が10億円

の2項目をクリアする事が必要になりました。

 

花月園観光の株式数は増資、減資を行って株数が変動しない限り1,766,600株なので、計算すると10億円÷1,766,000株=「567円」がクリアしなくてはならないハードルになります。

そして2019年の1月から8月末まで株価はこのように動きました。

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ヤフーファイナンス 株価チャート(1年)

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 ご覧の通り8月末までで ハードルを上回ったのは5月の月中平均のみでした。そして9月最終月に命運は持ち越されたのです。

 

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⑴の基準をクリアするために必要なのは「月中平均が567円以上」ですので9月10日の時点でストップ高になってもクリアできない状態に陥っています。

⑵の基準をクリアするために必要なのは「終値で567円以上」ですので9月18日の時点でストップ高になってもクリアできません。

つまり9月10日の時点で、上場維持はすでに絶望的といえる状況だったのです。

 

10月31日の売買最終日に向けてすでにババ抜きのような日計り商いが開始されていますけど、値幅制限が80円ってとんでもないボラティリティが期待できるんですよね。デイトレなら格好の対象になりませんか?

 

他山の石

ところで、現時点で花月園観光のように猶予期間入りしている銘柄はあるのでしょうか?

 結構ありますね。2019年10月4日時点では以下の15銘柄が猶予期間入りに指定されています。

①曙ブレーキ(7238、東1)

②メディシノバ(4875、JQS)

③デ・ウエスタン・セラピテクス(4576、JQG)

④小僧寿し(9973、JQS)

⑤倉元(5216、JQS)

⑥小島鉄工所(6112、東2)

⑦千代田化工建設(6366、東2)

⑧中村超硬(6166、マ)

⑨フルッタフルッタ(2586、マ)

⑩松尾電機(6969、東2)

⑪さいか屋(8254、東2)

⑫カネヨウ(3209、東2)

⑬リード(6982、東2)

⑭光陽社(7946、東2)

⑮文教堂(9978、JQS)

 

後編ではそれぞれの状況を解説していきます。

 (後編へ続く )