崩れゆくナショナル・キャビネット?

のコロナ禍、にWHOがパンデミック宣言をした後直ぐ、オーストラリア政府は首相、「ナショナル・キャビネット」を設立して政治の壁を越えた対策に当たってきました。 現時点のオーストラリアでは、ビクトリア州とNSW州以外では感染経路の不明な地域感染(市中感染)が長期間起きておらず、ビクトリア州が唯一、に再開したメルボルンのロックダウン以降、新規感染者数は徐々に減ってきましたが、感染経路の不明な新規感染ケースがあったりで (で15人👉DHHSのアプデ)、4つの目的以外では外出は出来ないというロックダウン状態になっています。


日本の新規感染者数 (19/Jul ~ 18/Oct)
日本の新規感染者数 (19/Jul ~ 18/Oct)

人口や海外からの入国者数も違うので直接比べるのには少し無理がありますが。。日本では1日当たりのCOVID19新規感染者数は最近でも国内事例だけでも3桁の数がありますが、オーストラリアの場合は帰国者の事例も含めて2桁又は1桁となっています。

オーストラリアでは日本とは違って積極的にPCR検査をしていて、COVID19陽性と判った場合は隔離処置も法的に強制出来るので、行政の対応としては、ワクチンや治療法が見つかるまでの間、COVID19と共存するのではなく、追跡して隔離するといった対処になっていると思います。

オーストラリアの新規感染者数 (19/Jul ~ 18/Oct)
オーストラリアの新規感染者数 ( ~ )

現時点ではオーストラリアのいくつかの州とテリトリーでは過去14日間新規感染者が0の所もあります。 でも、ビクトリア州にあるメルボルンでは数か所ではなく、数多くの地域で感染が確認されいて、オーストラリアでは唯一自由に外出が出来ないロックダウン状態にあります。


ナショナル・キャビネット

「ナショナル・キャビネット」は、オーストラリア首相、州首相 (State Premier: 6人)とテリトリー首相 (Chief Minister 2人)の他に政務長官らが加わって構成されています。 現在の首相、スコット・モリソンは自由党の党首ですが、他の首相は全員自由党議員という訳ではなく、ビクトリア州首相やQLD州首相を含めた5人の首相が労働党議員で、他の3首相が自由党議員です。 首相も含めると自由党が4人、労働党が5人という、ほぼ1:1に近い割合になっています。

オーストラリアは10のテリトリーと6つの独立した州で構成されている連邦国で、オーストラリア首相はその長(主権)という位置づけになっています (👉過去記事参照:「オーストラリア国内での政府の対応 (COVID-19)」)。 なので、緊急事態時は議会を通さずに、州とテリトリーの首相と首相がナショナル・キャビネットで協議して国としての足並みを揃えられるという役割があるみたいです。

ナショナル・キャビネットの設立当初はほぼ毎日、政治の壁を越えた協議がオンラインで行われて、各州とテリトリー政府が感染拡大防止に努めて来たみたいですが、最近になってだと、協議の回数も減り、連邦政府(自由党)とビクトリア州政府(労働党)の間でいがみ合いが始まっている様です。。


ロックダウン中のメルボルン

3月末にビクトリア州で始まった、(1)食料・必需品の調達、(2)医療や介護、 (3)運動、(4)仕事・教育(学校)の4つの理由以外での外出を規制したロックダウンから、州内での新規感染者数の減少もあって、2か月後のにやっと3段階の規制緩和のステップ1を開始しました。 でも、6月末にはの海外からの帰国者の2週間の隔離用に使われていたホテルでのずさんな衛生管理が発生源だったとかでメルボルンの一部地域感染が拡大して7月頭にはメルボルン近郊が再ロックダウンになってそれから3ヶ月が過ぎて、現在に至ります。

以前のロックダウンは「シャットダウンのステージ3」という名前で発令されましたが、今回の再ロックダウンは「シャットダウンのステージ4」で以前よりも厳しい規制になっていました。 再ロックダウンが発令された頭からまでの2ヶ月半ほどの期間は、以前のロックダウンと比べると、~夜間外出禁止令が出た他に、外出時のマスクの着用が義務化されました。 加えて、外出時の4つの理由の内3つに制限が追加されて (1)買い出しは1世帯1日1回1人まで、 (3)運動の為の外出は1日1回で最高1時間まで、 (4)一部の業種に限り許可証制になり、食品・生活必需品以外を販売するお店は閉店となり、また、買い出しと運動の外出は家から半径5km以内という制限も追加されました。

には再ロックダウンから緩和への5段階の「再開 (Reopen)」計画が発表されて、から第1ステップが始まりましたが、第2ステップに移動したの前日には想定よりも早く減少した2週間平均の感染数に合わせて再開計画の微調整も発表されました。 にも第2と第3ステップの規制の緩和を発表しましたが、内容は後程。


政治的な?

以前からオーストラリアの首相が「ビクトリア州はロックダウンの規制が厳し過ぎ」といった批判をしていましたが、最近になって、他の自由党議員からのビクトリア州の現在のロックダウンへの批判も増加してきています。

には 連邦政府の保険省長の Greg Hunt (自由党議員)が記者会見で一日当たりの新規の地域感染者数が、ロックダウンになっていないNSW州で11人、ロックダウン中のビクトリア州で7人という数字を持ち出して来て、必要以上のロックダウンはメンタル上良くないという発言をしてメディアが大きく取り上げていました。 (: 会見録📃ABC News📃SMH) 。 連邦政府 財務省長の Josh Frydenberg (自由党議員)も同じ様に経済面のマイナス要因を持ち出してロックダウンを批判していました (📃news.com.au 📃Dailymail )。

長期化するロックダウンに害があるのは正しいと思うのですが、そこを単に問題視するだけでなく、どうしたら確実に再開するかだという解決策が重要な点だと思うのですが、そこら辺は自由党の議員の批判にはあまり出て来ないので。。。


Chadsone感染クラスター

ビクトリア州では先月末にチャドストン(Chadstone)というショッピングセンターの肉屋での感染クラスターが発生しましたが (📃9news 📃news.com.au )、この肉屋で感染者したスタッフの一人と同じ家に住むトラック運転手が1人が、仕事でメルボルンの212km北にあるベナラ(Benalla)に行く途中、メルボルンの北60kmにあるキルモアー(Kilmore)のカフェに立ち寄った際、店内で飲食した事で感染クラスターを引き起こしたそうです (📃The Guardian 📃7news )。 この運転手はロックダウン中のメルボルンに住んでいますが、仕事でロックダウンになっていない地域に行く許可があったそうですが、カフェなどの店内での飲食は禁止されていたにも拘らず、店内で飲食をした事で感染に繋がったみたいです。

又、その運転手がベナラを訪れた日から2週間近く経ったにベナラの約60km西にあるシェパトン(Shepparton)で3人の感染が確認されたのですが、その運転手はになって、実はシェパトンにも行っていたと感染経路調査団に説明したそうで、次の日からシェパトンでPCR検査の集団検査が始まったそうです (📃ABC News 📃SMH )。

この運転手がベナラに出向いた時はまだ症状が出る前の段階だった様で、カフェの店内で飲食した事に関して、本人は感染しているとは知らなかったと説明しているみたいですが、それでも結果的には感染を広めているので、ワクチンや治療法が無い現時点ではまだ「自分は大丈夫」というのが致命傷なのかとは思います。。 というか、感染経路調査の難しさが感じられます。


CovidVictoria』というビクトリア政府の Department of Health and Human Services (DHHS)が発表するCOVID19感染者の情報を行政地域ごとにまとめた地図があったので、メルボルン近郊のスクショを次に:

CovidVictoria (18/Oct/2020 午後4時20分付け)

付けの情報となっていますが、行政地域ごとの感染者の数(計137人)が表示されています。 因みに、地図の中央にあるピンクの丸で囲われた13がある場所がメルボルンの中心部となります。

行政によって確認されたCOVID19感染者数なので、感染者は現時点では入院か自宅隔離になっているはずですが、広い地域にまばらに散らばっているので、メルボルン近郊だとどこで新に感染者が発見されてもおかしくない様な気もします。。 因みに、ビクトリア州全体で137人の感染者がいるみたいですが、130人が👆の地図内の表示されるメルボルン近郊に集中していて、残りはキルモアーとシェパトンのある行政地域の7人となっています。


規制緩和とステップ3

ビクトリア州首相がの会見で、「規制の緩和 (Easing of restrictions at and )」を発表して、現時点の第2ステップと次の第3ステップの規制を少し緩和させた上で、第3ステップへの移行の期限を遅くても2週間先のと言及しました。

第2ステップの緩和はからで:

  • 買い物・運動の範囲規制を半径5kmから25kmに変更。
  • 屋外での集まりを最高5人から10人に変更。 但し、
  • テニスコート、ゴルフ場といった、屋外のスポーツ施設の再開 (公共の更衣室やトイレは使用禁止)
  • 屋外プールの使用に最高30人までの制限を追加。授業で使う場合は例外、でも1校までの制限
  • スケーター・パークの再開
  • 床屋・美容室の再開
  • 屋外での不動産オークションの再開、スタップ以外の一般参加者は最高10人まで (以前はオンライン参加のみ)
  • 最高5人までの屋外での作業の再開 (家の修理、洗車、など)

(一部省略) といった内容になっています。

第2ステップの緩和ついては、主に飲食店の定員設定の変更で、今までは、屋外の席で1店舗当たり最高10人(1客当たり2m2の密度制限あり)だったのが、屋内では最高20人まで(1客当たり4m2の密度制限)、屋外では最高50人で(1客当たり2m2の密度制限)となりました。 因みに、第2ステップでは外出に関しては4つの理由の規制が無くなるので第2ステップへの移行はロックダウンの終了という意味になります。


政治

州首相は会見で、「新規感染者数の減少状況次第では早めに第2ステップに移行出来る可能性も」と発言しているので、ロックダウンの終わりの日付を提示して、どうにかもう少しの間、ロックダウンを乗り切ろうという意味合いがあるのだと思うのですが、中にはそれでは十分ではないと思う政治家もいる様です。

特に、ビクトリア州の自由党(野党)の党首Michael O'Brienは最近メディアに出て来ては「ロックダウンが長い長い」と訴えています。

個人的には、現時点で突然ロックダウンを終わらせても何が起こるのかは判らないので段階的に規制の緩和をしていくのが正解だとは思うのですが。。 感じからすると、ロックダウンで与党、労働党の支持率が強い中、ロックダウンに我慢出来ない有権者の票を集めようという頭だと思うのですが、もしも、自由党がビクトリア州で政権を握っていたらロックダウンを早めに終わらせているのかは疑問です。

このままロックダウンが無事に終るとまた労働党vs自由党のくだらない小競り合いがまた始まるのでしょうか。。 ナショナル・キャビネットで首相と首相が対等に協議していた時はビクトリア州の自由党議員はおとなしく静かにしていたのですがね。。


追記 ()

に5週間ぶりのナショナルキャビネットのミーティングがあったそうで、その後の首相の会見で (の首相の会見) 記者の質問に対して「各州の首相の決定を尊重する」と発言していました 。 ミーティングでどの様な会話があったかはしれませんが、会見の内容からするとこれまでのビクトリア州のシャットダウンへの批判はしなくなった模様です😇😇。

頻繁にミーティングがあれば円滑に物事が進みそうな。。(?)



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