ショートショート作家 R・ヒラサワの〜Novelist's brain〜

小説の書き方ブログ。ショートショート作家 R・ヒラサワが自身の作品を用いて詳しく解説。新作随時公開中!

(解説から学ぶ小説書き方ブログ)今回の作品/あなろぐ、コラム/名前の付け方(前編)

あなろぐ

食品関係の零細企業に勤める主人公の女性社員。製造部での材料不足のため、顧客からの注文の商品が作れない!!

営業担当である彼女は、この危機をどう乗り切るのか?

 

rhirasawanb.hatenablog.com


【CONTENTS】

  


テーマからの発想

今回のテーマは「伝言」です。

伝言ゲームのように、人から人に言葉で伝えるようなものを連想しがちですが、メモなどによる伝え方も伝言ですし、留守番電話などもその一つになります。

 


発想からのキーワード選出

 伝言、メモ、留守番電話、メッセージ

 

POINT1:タイトル

あなろぐ


タイトルは『あなろぐ』です。

主人公が勤める会社は零細企業で、少人数のため各社員が担当以外の色んな仕事をこなさなければいけません。こういった現場での経験がある方はお分かりでしょうが、その時々によって、誰が何をするといった事を決めるのが難しい環境なんです。

 

ですから、色んな事がきちんと決まっている状況を『デジタル』と表現するなら、それに対して『アナログ』かな? と言うイメージからです。

それもカタカナではなく平仮名の『あなろぐ』そのほうがよりイメージに近く、しっくりくると思いました。

 

POINT2:書き出し

 ヤマキ商店です。いつものパック、昨日の二倍で」

 エースフード最大の取引先である『ヤマキ商店』は、こだわりの商品作りで抜群の集客力を持ち、自社製や仕入れ商品全てを完売させる事で有名だった。


以前このブログでお話ししたのですが、小説の書き出しはとても大事です。私が作品を投稿している『時空モノガタリ』サイトは、文字数制限が二千文字です。少しでも文字数を節約して、中身の濃い作品に仕上げなければいけません。

 

この書き出しで誰が何処に注文をしていて、それがどれぐらいの量なのか。そして注文主がどんな店なのかが書かれています。

出来るだけ文字数を節約して、必要な情報を盛り込むようにしましょう。

 

POINT3:ユーモア

「担当ですか? まあ、やれる人がやってお互い助け合うって形で……」

 先代の息子である二代目社長の対応は、まさに『のれんに腕押し』だった。

 

社長に限らず上司や先輩に、こういうタイプの人が時々います。

主人公は何でもキッチリと物事を決めて予定通りに行い、なおかつピードを重視するタイプです。

 

今回主人公とは全く正反対の、かなりのんびりとした社長を出す事で、主人公目線の読者に、社長に対するいら立ちのようなものを感じて欲しかった訳です。今回の狙いはそこにあります。

 

主人公は少人数の会社の中で、自分の担当外の仕事に広く関わり、顧客の注文に対応する為、社内外を動き回ります。

主人公は、あてに出来ない他の社員に対し、自分一人で戦っているような気分になり、そのあげく、周囲の人達が敵のように見えてしまっています。

 

 通常、こういう状況に陥ってしまった場合、それを相談できる相手として先輩や上司、そして最後に頼る相手は社長しか居ません。 しかし、その肝心な社長が頼りにできないとなると、主人公は完全に追い込まれてしまう訳です。

 

今回のオチに対して、落差を大きくつけるためには、主人公を極限まで追い込む必要があったので、このように書いた訳です。

 

 

創作が上手く進まない……。そんな時、『もしも……』と、あてはめるだけ!

先ずは『試し読み』をどうぞ↓↓↓

 

 

POINT4:前半のストーリー

 


自社の最大手の取引先から、今回の注文は通常の二倍でお願いしますとの連絡があり、主人公はその段取りを始める。

 

 
注文を受けた商品の準備を進めていたところ、材料が不足している事に気付く。主人公は慌てて注文通りに商品を納めようと、協力会社に出向いたりと、必死にそれを間に合わせようとする。


POINT5:展開〜オチ

 
取引先の注文は実は間違いで、別の業者と間違えてかかってきた留守番電話の伝言が原因だった。

 



主人公が対応に追われる中、あまり協力的ではないと思っていた社員たちが、実は本人が知らないところであれこれと段取りを進めており、実際には色々と協力していてくれたことに気付く。

 

普段完璧な仕事をしている取引先の社長だが、今回は伝言の入れ間違いと言う初歩的なミスを犯している事がわかり、そういう人でさえミスをするのだと気付かされる。

 今回の一件より、会社の人々の良さや自分の未熟さを改めて認識する事が出来た。

 


総合的なポイント

 テーマからのキーワードによって物語を書いていった結果、文字数は規定の二千文字よりも千文字ほど多い三千文字近くになりました。

物語のイメージを崩さず、スピード感も残しながら文字数を削っていきました。

 

場面設定など簡単に済ませられるものは、できるだけ合理的に書く必要があります。

今回は通常の作品よりも多くの人が登場しましたが、一人ずつについての話も最小限に留めながら、なおかつ主人公との関係性も伝わるよう工夫して書いた訳です。

 


コラム/名前のつけ方

 小説における、それぞれのキャラクターに対する名前の付け方ですが、私が現在『時空モノガタリ』サイトに投稿している作品は、名前を極力『姓』か『名』のみにしています。これは、単純に文字数を減らせる事と、読者の方に区別してもらいやすくする為です。


また、基本的にカタカナ表記にしており、目で見た時にそれぞれのキャラクターの区別がつきやすいようにしたり、声に出して読んだ時にできるだけ音に変化のあるものを選んでいます。

 
カタカナでの文字数は通常、三文字にしています。しかし、物語の中で何度も名前が出てくる様なストーリーの場合は、区別がつきやすいように二文字、あるいは四文字の名前の人物も加えるようにしています。

 

さらに詳しい名前の付け方については、次回名前の付け方(後編)で、お話ししたいと思います。

 

 

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