理系夫婦Y子とMの昭和から令和まで

都内で働く薬剤師Y子と、パソコン・DIY・生物などに詳しい理系の夫M。昭和30年代から今日までの実体験に最新の情報を加え、多くの方々、特に子育て・孫育て世代の皆様のお役に立つことを願いつつ発信する夫婦(めおと)ブログです。

こだわりの先に ; CDにレコード雰囲気を再現

Mです。

 新製品のお知らせメールがアイ・オー・データさんから届いた。いつもはPC周辺機器の知らせが多いのだが、今回は若干色合いが違っていて、レトロ趣味の生CDとジャケットデザイン用アプリの抱き合わせ商品だった。
 レコードデザインの CD-R「Phono-R®」という商品で、生CDが黒くて、中心付近のレーベル印刷面をあしらっている。大きさを知らなければ、見た目はレコード盤そのものの顔をしている。

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  音楽用CDと、データ用CDの二通り用意されていて、外観は同じで、5、10、30枚入りのラインナップ。右図のように、レーベル面が自分でインクジェット印刷できる白いままのものもある。

 商品名のRは、Retro、Recollection、Remember、Reminiscence、あたりから持ってきたのか? まさかRe-cycleではないだろう。

 ところで、このCDメディアは黒い。CDの記録ディスクが黒いプラスチックというのは、最近は見たことがない。実は、20年前くらいに、データの読み書きエラーを防ぐという謳い文句で、黒いプラスチックを採用したものがあった。ところが、データの読み書きをするCDドライブは、レーザー光の強度と読み取りセンサーの感受性に製品差があるため、黒CDで読み書きがうまくいくものとそうでないものが存在することが分かり、結局、その後、見かけなくなってしまった。
 黒プラスチックは、光が透過しにくいため、散乱光発生によるデータエラーは防げるものの、反射してくる光量も減るため、CDドライブの性能が高くないと読み書きがうまくいかない、ということが起こったようだ。
 Mは、当時、黒CDを多用していた。たまたま自作していたDesktop PCのCDドライブが高密度レーザーを使っていたものだったので、幸運にも問題なく使えていた。ところが、知り合いにその黒CD でデータを渡したら読めなかった、ということがあって、それ以降は通常の透明CDにしたという経験がある。黒CDが思ったほど受け入れられず、ほとんどジャンク扱いで超廉価販売(1枚数円レベル)されているのを見つけ、自分用に100枚単位で購入したことも覚えている。

 ただ、その後は、データ持ち運びツールがUSBメモリーやメモリーカードへと移り変わってしまい、書き込み済みの黒CDは、データだけ取り出されて用済みになってしまった。

 なかなかシックなメディアだったが、今では懐かしい、というだけの記憶でしかない。

 そんな黒CDが、今度はレコード盤を模すための道具として生き返ってきたのかと思うと、ちょっと感動的だ。
 この商品を開発提供しているのが昔のVerbatim(ヴァーべイタム)だと知って、実はもう一度驚いた。DVDが主流になるまでは、性能がちゃんとしていて秋葉原で安く買い求められる製品として、Verbatimはよく目にしていたし、事実購入もしていた。そんな懐かしさも手伝って、今回のお知らせは感じ入るものがあったのだ。当時買った黒CDも、もしかするとこの会社の製品だったのかもしれない。

 ただ、この商品、どれだけ売れるかな、という点では少々疑問がある。
 購入者は、たぶん50代以上の人たちだろうな、と思うが、こだわりの強い人がどれだけいるか、そこが問題だろう。

 CDにしてしまえば、音質にこだわって編集したものでない限り、今様のCD音になってしまうから、この商品を購入する方々には、是非とも記録するデータにこだわって欲しいと思う。
 記録する対象を吟味して、こだわりの音にして入れてもらいたいと思うのだ。市販CDから単純にこの商品にコピーするなんてことは、出来ればやめて欲しいものだ。
 せっかく良い雰囲気の外観を持っているのだから、昔のレコードから非圧縮でPCに取り込み、CDプレーヤーでも再生できる周波数変換だけを行って書き込む、など、こだわりの編集をしてみてもらいたい。CD1枚に入れられる曲数は少なくなってしまうが、ノイズ込みのデータでも良いから、アナログプレーヤーで再生しているような雰囲気の音入れにこだわってみて欲しいと思うのだ。

 レコードっぽい外見だけでなく、中身もレコードっぽい、というのが「粋」だろうと思う。

 とはいえ、「かたち」を気にしないMにとっては、おもしろいとは思うものの、食指を動かす対象ではないかも知れない・・・ (アイ・オー・データさん ゴメン!)