前回のつづき。
2011年3月11日に始まった東京電力福島第一原発事故。
その約3週間後の4月2日、「彼ら」は以下の図を公開した。
この図を公開した本来の目的は、一般の人に放射線被ばくについてわかりやすく
説明するというもので、そのこと自体は私も疑っていない。
しかし、そこに乗じて「彼ら」が開き直って例の「手品」を用いたことも事実である。
この図を見ればバリウム検査(胃のX線精密検査(1回))は、0.1~1.0ミリシーベルト
の間に表現されている。
つまりここで「彼ら」は、例の「手品」を使ったのである。
それでバリウム検査1回の被ばく量約20ミリシーベルトは、
0.6ミリシーベルトにされてしまった。
この図では、計画的避難区域の基準値20ミリシーベルトどころか、
「一般公衆の年間線量限度」1ミリシーベルトもはっきり下回っているように見える。
蛇足かもしれないが、さらに「彼ら」は細かい芸を見せている。
細かい話が苦手な方は、以下の部分は読み飛ばしてください。
ーーーーーーここからーーーーーー
この図の値は対数目盛で表示されている。
しかしここで「彼ら」は、対数目盛に普通の等間隔の目盛の考え方を
用いて0.6ミリシーベルトというか0.5ミリシーベルトあたりの所に
(胃のX線精密検査(1回))の表示を行っている。
これを対数目盛でみれば、0.3ミリシーベルトぐらいに見えてしまう。
数値を示さず、記入してあるだけだから。
偽りの値0.6(0.5)ミリシーベルトを使ったばかりか、それが0.3ミリシーベルト
に見えるような工夫までこらしている。
ーーーーーーここまでーーーーーー
さて当時、この図には作成者(放射線医学総合研究所)の電話番号が記されていた。
2011年、夏ごろであっただろうか、私は電話をかけて指摘した。
「ここに記載されている胃のX線精密検査(1回)の値は、検査1回ではなく、
シャッター1回切る時の被ばく量ですよね?」
電話に出た広報担当者は、嫌そうな顔をして(実をいうと、顔は見えなかったのだが)
「そうです」と、渋々認めた。