毎度、当ブログへお越しいただき、ありがとうございます。
今年は桜の開花が昨年までに比べて、やや遅かったですね。うちの息子の入学式に満開の桜が色を添えました。
それでもこれが平年並みなんですから、ここ数年の気象がやっぱり異常だったんです。
今回は富士山麓にある天然記念物のサクラを見に行きました。
場所は静岡県富士宮市、背後に富士山を望める場所に、その桜樹はありました。
その名を「狩宿の下馬ザクラ」といいます。特別天然記念物に指定されています。
毎年、この時期にはサクラに関係する文化財を見に行くようにしているのですが、ここ数年は開花時期が早まり、タイミングを逃すことが多かったです。
狩宿の下馬ザクラは以前、開花前に訪ねたことがあったのですが、その時の樹の見事さから開花時期に来ることを楽しみにしていました。
今回、初めて満開時期に合わせて仕事を休めたので念願が叶い、下馬ザクラを訪ねることができました。
ただ以前、訪ねたのもだいぶ前なので、その後の災害などでずいぶん樹勢が削がれてしまったといいます。とにかく訪ねてみました。
富士山の西麓、早朝の朝霧高原はこの時期、春先というのにまだ空気が冷たくて寝ぼけた頭をクリアにしてくれます。
今回は山梨県側から富士宮市に入りました。
太陽を背にした富士山をずっと眺めながら牧草地帯を走り抜けるのは、空気の冷たさも相まってとても気持ちがいいです。
やがて白糸の滝入口の標識が現れます。白糸の滝は世界遺産の構成遺産にも選ばれています。ここはまた別の機会に紹介します。
狩宿の下馬ザクラへは滝とは反対方向へ向かいます。サクラは名木なのに、標識はかなり近くまで行かないと現れませんので注意が必要です。
ここで道さえ間違えなければ白糸の滝入口から程ない所で下馬ザクラの標識も現れます。狩宿地区の入口です。それに従って集落の生活道路へと車を進めます。
サクラのそばに駐車場もありますので、車を降りてサクラへ向かいます。100mほど歩くと、念願だったサクラの樹が見えてきました。
ただ、なんか物足りない…
「うーん、こんな小さな木だったっけ?」
やっぱり、20年以上も前に一度来ただけなので、その後の風雪は樹に大きなダメージを与えたのでしょう。
それでも見事に花をつけていました。しかもちょうど満開になったばかりのようです。
このサクラは地元の旧家、井出家の敷地にあり、井出家が代々、管理してきたそうです。
ここで紹介している写真の背後に写っている茅葺の建物が、その井出家の長屋門です。
このサクラの品種名は「アカメノシロヤマザクラ」といいます。ヤマザクラの一品種です。
一般に公園や広場に植えられているサクラとは種類が違います。
…なんか、前にもそんなことを書いた気がします…
一般によく見られるのは「ソメイヨシノ」。
だから、ソメイヨシノが花が散ってから葉が出てくるのに対して、狩宿の下馬ザクラは花と一緒に葉も出てきます。
花の形もよく見ると違います。
赤い葉芽が鼻の下に見えますね。
また、花は咲き始めにはやや赤みを帯び、やがて白くなっていきます。
満開なので、そのような花が混じり合って咲いてました。
下馬ザクラはソメイヨシノに比べて花軸が細く長く、萼の赤味が強くありません。
パッと咲いてパッと散るソメイヨシノもいいですが、少しづつ花開いて可憐な感じがするヤマザクラの花も見ものです。
ちょっと期待したのとは違い、「こんな小さな木だったっけ?」と、期待が大きかっただけに肩透かしな印象だった下馬ザクラでしたが、富士山を背景に菜の花と競演している風景はやっぱりここだけで見られる美観だと思いました。
午前中はモロに逆光なのが残念です。
それにしても、富士西麓は富士山もデカけりゃ桜の樹もデカい。次回はその境内が馬鹿デカかったお寺へ行きます。
--------
狩宿の下馬ザクラ(昭和27年3月・特別天然記念物 静岡県富士宮市狩宿)
狩宿の下馬ザクラは樹齢800年を超えるサクラの巨樹として天然記念物に指定されました。天然記念物制度の制定に尽力した植物学者・三好学(みよしまなぶ)博士は桜の研究でも有名でしたが、その三好博士の鑑定により、「アカメノシロヤマザクラ」という新品種であるとされました。花の咲き始めは淡紅色を帯び、やがて白色になることから名づけられました。
地元の旧家・井出家の敷地内にあり、建久4(1193)年に源頼朝が富士山麓で行なった巻狩りの際、馬を停めたところにあったサクラの樹ともいわれ、「下馬ザクラ」と呼ばれています。また、サクラの樹に馬を繋いだともいわれ、「駒止めのサクラ」とも呼ばれています。なお、頼朝が巻狩りの際に井出家に宿泊したともいわれているそうです。