★ アオサギが飛んでゆく【PART2】 ★ | ★ 文芸で楽しく生きよう エレガントに人生を輝かそう

★ 文芸で楽しく生きよう エレガントに人生を輝かそう

~ 引き寄せ文芸  “ 世界のBUNGOたれ ” ~

 

池のほとりで
たたずむ鳥に

 

何してるのと
尋ねてみたら

 

久しぶりだな
おひかえなすって

 

  こんなところで 

再会するとは
 
ぶったまげたぜ
奇妙な縁だ

 

あれから2年

元気そうだな

 

その日暮らしの

しがないオレは

 

あいもかわらず

獲物探すも

 

残念ながら
見つけられずに

 

かれこれ十日
水を飲むだけ

 

それにしてもだ

こうして会っても

 

腹を空かして

困っているのに

 

何も食う物

くれないなんて

 

オレの気持ちを

知ろうともせず

 

やはりお前は

冷たい奴だ

 

人間なんぞ

勝手なもんだ

 

料理がまずいと

文句は言うは

 

外は暑いと

愚痴をこぼすは

 

食べられるだけで

ありがたいのに

 

エアコンかけて

涼しい顔で

 

鳥から見れば

天国のよう

 

やれ辛いだの

苦しいだのと

 

地獄のごとく

嘆くばかりで

 

オレから見れば

何をか言わんや

 

文句の一つも

言いたくなるぜ

 

オレにとっての

幸せなんて

 

今日が食えたら

それで十分

 

食うや食わずか

食うか食われる

 

食物連鎖の

厳しい世界

 

お前にゃきっと

想像できぬ

 

オレは孤独で

寂しいけれど

 

自由気ままで

気楽なもんだ

 

しかしすべてを

一人で背負う

 

病気になっても

事故に遭っても

 

世間は誰も

助けちゃくれぬ

 

生きる勇気と

従う覚悟

 

 野生で生きる

宿命なのさ

 

エサをくれない

お前などとは

 

一緒にいても

時間の無駄だ

 

オレもそろそろ

身支度をして

 

命の限り

続ける旅は

 

どこに行こうか

行けばいいのか

 

いつの間にやら
誰が呼んだか
 
さすらい生きる
旅ガラスだと
 
カラスなんかと
一緒にされては
 
屈辱以外の
何者でもない
 
それでもオレは
寡黙なまでに
 
旅を愛する
アオサギなのさ

 

今度お前と

会う時までにゃ

 

ウマイ食い物

用意しておけ

 

お前に期待を

してはいないが

 

なんだか少し

名残惜しいな

 

行かねばならぬ

生きねばならぬ

 

希望の空に

向かって飛ぶぜ

 

それではさらば

達者で暮らせ

 


〜 アオサギが飛んでゆく 〜
PART2