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ロゼ・スパークリングは、カヴァで決まり!

ロゼ・スパークリングは、カヴァで決まり!

それにしても、カヴァを飲むたびに、
「シャンパンがついつい恋しくなってしまう」
のは、どうしたものか。やはり、シャンパンと比べると、なんとなくアカ抜けないところがある。それに、カヴァの最大の特徴といえるそのクセのなさ、あまりドライすぎないのが、ちょいと気に入らないのだろうか。

とはいっても、バランスがよく、飲み飽きしない味わいと、とってもお手ごろ価格で、ちょいと華やかなカヴァだけに、ちょいと残念な気もする。それでも、淡い麦わら色で、フルーティ。香りも高く、やわらかな口当たり。さわやかでフローラル。青りんごや、洋梨などの果実も香る、上質なスパークリングワインではある。

以前は、シャンパンのスペイン語発音であるチャンパンと呼ばれていたが、シャンパーニュ地方以外では、その名称が使えなくなったため、地下セラーに由来するカタロニア語・カヴァの名称となった。

かってカタルーニャ地方の鍾乳洞で、瓶内醗酵・熟成がおこわれていたことから、この名がつけられたようだ。1970年に、トラディショナル方式でつくられたスパークリングワインの名称として、正式に認められた。

そんなカタルーニャ地方は地中海性気候であり、豊かな太陽と、少ない降雨量が、安定した優れた品質のブドウが育つ。その古都・バルセロナの南西約40kmにあるペネデス地区は、シャンパーニュ地方とよく似た石灰岩の土壌のため、発泡性ワインの生産に適しているといわれている。



ペネデス地区は、地理的に見て、3つのゾーンに分けられる。海抜0mの沿岸部に広がる平野部は砂地であって、温暖だ。200mの中央ペネデスは、適度な温暖な低地である。より冷涼なペネデス高地は、海抜700mだ。砂地から、上に行くほど石灰質が多くなっていく。

カヴァは、土地の名前がつかない原産地呼称DOCに指定ではあるが、ちと事情が違う。それというのも、一般的には、その地域内で栽培されたブドウを使用し、生産地ごとに認証するが、カヴァは複数の地域で生産されている。

シャンパーニュのように瓶内二次醗酵によってつくられたトラディショナル方式が、メインではあるが、大型のステンレス・タンクで、二次醗酵させるグランバース方式、白ワインに直接炭酸ガスを混入させるスパークリング方式によってもつくられてもいる。もちろん、ラベルには、その方式名を記載しているはずだ。ちなみに、瓶内二次醗酵ではないスパークリング・ワインはスペインでは、「エスプモーソ」といわれている。

カヴァの法定最低熟成期間は、9ヶ月以上。レセルバと表示のあるものは3年以上、さらにグランレゼルバと表示のあるカヴァは5年以上、オリとともに熟成させる。市場に出るまでは、ほとんど2~3年はねかせているともいわれるが、カヴァは1年で飲みごろを迎える。

長期熟成させたカヴァは、まずは泡立ちがきめ細やか。それに、強い酵母の香りや、トースト香など複雑な風味で、厚みのある味わいとなる。やはりブドウの品種がシャンパーニュとは違うためか、まろやかさや、繊細さには欠ける。

豊かなボディをつくるチャレッロ(パンサ・ブランカ)、晩熟でアルコール分はやや低めだが、上質な酸味のある花のような香りのパレジャーダは、優雅さや、やわらかさを加え、リオハの白ワインの主要品種でもあるマカベオ=ヴィウラは骨格をワインにあたえ、フルーティさと、さわやかさが特徴。

このペネデス固有の3種類のブドウ品種から、その組み合わせによって、魅力的な味わいのカヴァをつくる。そのほかにも、スピラ(マルバジア・リオハーナ)種、1966年公認のシャルドネ種も使用可能。

直射日光を避け、冷暗所、冷蔵庫の野菜室、またはワインセラーなどで低温で保存。飲みごろ温度は、6~8度。料理は、何にでもよくあう。パエリア、生ハムはもちろん、クリームチーズ、白身魚のソテー、さまざまな惣菜など。

そのスペイン全生産の95%がペネデスを中心とするカタルーニャ州が占め、そのうち、国内シェアNo.1の「コドルニー社」と、もう1社、世界販売量No.1のすっきりさわやかな「コルドン・ネグロ」で有名なフレシネ社とで、カヴァの全生産量の75%を占めている。

1889年にペドロ・フェラーによって設立されたフレシネ社は、そのペネデスの中心地”La Freixeneda(ラ・フレシネーダ)”で、その広大な土地にブドウを栽培し、カヴァをつくり続けた。その結果、世界で最も愛されるスパークリングワインのブランドとなった。

一方、1872年、現在国の記念物として指定されているワイナリーのあるコドルニー社のドン・ホセ・ラベントスによって、スペインでの初のシャンパーニュと同じトラディショナル方式でカヴァをつくった草分けとなった。シャルドネ種メインの「アナ・デ・コドルニー」は、スペイン国内でのベストセラーである。

そして、その残りを、およそ270社あまりの中小メーカーが争っているという。そのほとんどが家族経営だ。2006年、その内75社が集まり、さらなる品質向上のため、カヴァ・ワイナリー協会を設立した。それは、農薬、化学肥料などを使わないのはもちろん、収穫は手摘みでおこなうという。

そのなかでも、イチオシはロベルト・ホタ・ムールのカヴァ・エスペシアル・ブリュット。有名な3つ星レストラン「エル・ブジ」で、ハウススパークリングとしてふるまわれている一品だ。1987年、アルト・ペネデスで60年間カヴァを生産していたオリバー家を買収。多額の投資によって、世界最先端の醸造設備からつくりだすカヴァは、世界的にも評価が高い。

グラスの底から立ちのぼるキメ細やかな泡は、まるで高級なシャンパーニュのようだ。それもそのはず、2年もの間、じっくりと熟成させてつくられている。それだから、キメ細やかな泡立ちや、絶妙な味わいのバランス、そしてふんわりとした舌触りを楽しめる。手間を惜しまず、長い時間をかけて丁寧につくられているからこそだ。使用品種は、チャレッロ種をメインにマカベオほか。

もう一つ、ロジャー・グラートという銘柄だ。アルト・ペネデス地方、サント・エステヴェ・セスロヴィレスにある名門のカヴァ生産者。ちょいとにわかに信じられないが、わが国では、ドンペリ・ロゼに勝ったということで、とても話題になった。その創業は、1882年と古い。

セラーのあるサント・エステヴェ・セスロヴィレスは、ペネデスの特徴的な品種であるチャレッロ種のブドウが多く生産され、長い熟成タイプのカヴァに使用されている。特別なカヴァであるグラン・キュヴェに限っては、とりわけ厳選された最高のブドウからつくられている。

シャンパーニュ醸造法に厳格に従い、長期熟成から生まれる泡立ちや香り、芳醇な味わいは、繊細かつ甘美。ブリュットからロゼまで、4種類をつくっているが、すべてビンテージという凝りよう。

※)CAVA【カヴァ】は、ブリュット・ナチュレ~デュルセ(スイート)まで、糖分の含有量によって分類される。シャンパンに比べると、糖分の含有量が少ない。というのも、スペインは日照時間が長いため、糖分を加えなくても自然な甘みを楽しめるBRUT NATURE[ブリュット・ナチュレ]が可能。とりわけ、つくり手はブリュット・ナチュレにこだわる。

ブリュット・ナチュレ、エクストラ・ブリュット、ブリュット、エクストラ・セコ(ドライ)、セコ(ドライ)、セミ・セコ(ドライ)、そしてデュルセ(スイート)の7タイプ。



♪ モーツァルト: 弦楽四重奏曲《ハイドン・セット》

エリをただして、聴くべし。モーツァルトにしてはめずらしく、練りに練って、4年もの歳月を費やした労作であり、古今の弦楽四重奏曲の傑作として親しまれている。1785年完成。と、書いてはみたが、実のところあまり聴いてはいない。ある種の息苦しさがたまらないのかも? ここには、あの天性のエンタテイナーのモーツアルトはいない。

「私は誠実な人間として神に誓って申し上げます。あなたの息子さんは、私が個人的に知っている、あるいは名前だけ知っている作曲家のなかで最大の作曲家です。彼は審美眼があり、作曲にも深い造詣を持っています」
と、献呈されたハイドン。1785年、モーツァルトは、ハイドンを自宅に招き、ハイドンセットを演奏したという。その時、父レオポルトが第1ヴァイオリンを、ハイドンが第2ヴァイオリンを、モーツァルトがヴィオラを演奏したという。

「第14番」と「第15番」が歌謡的な旋律など、かつ若々しい生動感にあふれている。いうまでもなく、ほかの曲もすばらしい。

第1章冒頭の第1主題が狩りの情景を連想させるとして名前がつけられた「第17番」、そして第1楽章・序奏で大胆な不協和音がもちられている「第19番」など、全6曲一曲づつ性格もちがい、それぞれの充実した構成力は、さすがにモーツァルトである。美しく、バランスのよい模範的な演奏。アルバン・ベルクSQの旧版で聴く。

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