介護士の常識非常識
介護士になると、早ければ入職して数日後(こみちの場合は2日目だったかな?)には利用者の排せつ介助に関わるでしょう。
特に男性の場合、子育て経験者でも自分以外のシモの世話に関わることが無い人もいるくらいです。
それだけに、ベッドに横たわった成人を見て、衣類を脱がせることさえも簡単なことではないでしょう。
しかも、初めて目にする光景にこみちも気分が悪くなりましたし、無意識に一歩下がってしまったほどです。
実際、この先も介護士として働けるかの試練であり、想像を絶した体験に心が折れてしまう人も珍しくありません。
こみちの場合、先輩介護士のサポートもあって、そのハードルを越えることができました。
同じオムツ交換でも、その状況で難易度が変わります。
簡単なものなら、声掛けから完了まで5分もかかりません。
今は、衣類まで汚れてしまう場合を除けば、大変な場合でも10分を超えることはないでしょう。
時間が掛かったなぁと感じた時でも7分くらいです。
もっとも、不器用なこみちでもそこまでできるようになるので、「オムツ交換は数をこなす」ことが何より大切です。
正しい手順を繰り返しイメージし、作業前に頭の中でやるべき動作を確認するだけでも、作業はスムーズになるでしょう。
今にして思えば、これから「オムツ交換をしてください」とお願いされて、確かに初めての人には緊張しますが、仕事としては嫌いな作業ではありません。
いつの間にかオムツ交換が特別なことではなく、ある意味での「常識」になってしまったからでしょう。
介護経験があれば
今回の記事を書こうと思った理由は、YouTubeで肢体不自由の方が発信した動画を見つけたからです。
こみちはバイクの免許も持っていて、また機会があればバイクに乗りたいなぁと思っています。
そんなバイクで事故にあい、頸椎を損傷したことで下半身が不自由になってしまったというケースも起こり得ます。
こみちの場合、バイクでの大きな事故はなく、でもギリギリセーフだったということは何度もあります。
楽しいツーリングの思い出もある一方で、バイクによる事故の危険性も感じます。
そして、単に事故が危ないということではなく、もしも自身や家族、友人に不幸が起きた時、介護の経験が役立つと気づきました。
数年前なら、他人の生活を支えることなど、経済的な方法こそイメージできますが、実際に側で支えることなどできませんでした。
しかし、介護の経験があると相手さえ嫌でなければ、オモツだって入浴だってサポートしてあげられます。
完璧ではないにしても、例えば介護士としてひと通りの作業が任せてもらえるようになれば、「次の可能性」も出てくると思うのです。
次の可能性として
これもYouTubeで見つけた動画から教えられました。
「介護(保険)タクシー(以下介護タクシー)」という働き方です。
施設にも時々「介護タクシー」がやって来ます。
後部にリフトが付いていて、車イスに乗ったまま車内に乗り込むことができます。
介護経験者の方ならお馴染みの車ですが、未経験の方ならそんな車もあるのかと思うでしょう。
というのも、施設内でいろいろな利用者と接していると、多くの方から聞くのが「どこかに行きたい」というものです。
以前暮らしていた町だったり、家族旅行で訪れた馴染みのホテルや旅館だったり、施設でも生活は安全面からどうしても自由が限られてしまいます。
「こみち、これからマグロを食わせてやる! タクシーを呼べ!」
などと行きつけだった寿司屋に誘ってくれる利用者がいます。
今は少し体調を崩して以前のように話をする機会も減りましたが、きっと今でも行きたいと思っていることでしょう。
利用者の中には、資金的な理由よりも、安全性の見地から外出できない人が大勢います。
泊まりの旅行は難しくても、近場で数時間の小旅行ができたら、どれだけ生きがいになることでしょう。
そう考えた時に、普通自動車二種免許があれば「介護タクシー」という選択肢も選べます。
介護タクシーという選択肢そのものは、過去の記事でも書いているかも知れません。
今回の記事では、介護士として勤務していると大変なことも多いのですが、それを乗り越えることの意義を一緒に考えたかったのです。
仕事探しというと、儲かることが優先されますが、人の役に立てるという喜びもまたこれから生きるうえで大切になってきます。
今の大変さも、慣れれば当たり前になるでしょうし、当たり前になれば次の可能性も見つけられます。
介護以外を本職としながら、時々施設や個人宅に訪れて「傾聴のボランティア」に参加することも考えたりします。
もちろん、介護の仕事を始めなければ選択肢にできなかったでしょう。
介護士として働いたことで、こみちでも人の役に立てる方法が一つ見つかりました。
そうは言っても今はコロナの影響もあるので、現状を見据えながらくるべき時に備えたいと思います。
それまでの間、施設にはこみちを来るのを待っていてくれる利用者がいるので、「今日もよろしくお願いします」と笑顔で接したいです。
存在を受け入れてもらえていることは、当たり前ではありません。
介護士である前に、こみちという人間を受け入れてくれる利用者たちに感謝したいです。