評判の良い介護施設を作るには

 現実的な意味での「良い介護施設」の条件

何よりも「ケアプラン」がしっかりしていることが必須条件です。

介護施設を考える時に、設備や介護士のスキルに意識を向けるかもしれませんが、「ケアプラン」が不明確ではスタートすら切ることができません。

そんな風に言うと、ケアマネと看護師、介護士の誰が一番重要なのかという議論に発展することがありますが、そもそも役割が異なるので、協力相手であり、ビジネスパートナーという位置づけになります。

ある利用者に対してケアマネがアセスメントした時、その方や家族がどんな未来を目指しているのかを具体的に掴む必要があります。

「幸せな未来」では、あまりに漠然としていますし、「三度の食事をしたい」では現場の介護士が目的を見つけられずに戸惑うでしょう。

では、「自由に歩きたい!」ならケアプランとして十分でしょうか。

これがリハビリ専門施設なら、まだ支援策を手探りでも補えるかもしれません。

しかし、「趣味を満喫できるくらい」では、ケアプランとしてもう一歩踏み込んだ支援策まで具体化して欲しくなります。

それほど、「ケアプラン」の出来が良くなければ、それを受け取る介護施設のサービスは過不足だらけの無駄の多いものになるでしょう。

十分に具体的なケアプランとは、実現が十分に可能であり、そこに至るまでの支援を実行できる施設に依頼されていることがポイントです。

つまり、その計画が明らかに無謀であるとか、意味や価値を持たないとか、また、支援を実行するにあたり、介護施設でもそのニーズを把握して所属する介護士が具体的に支援できることが求められます。

改めて、良い介護施設とは、ケアマネからしっかり中身のあるケアプランをもらえることが大切です。

というのも、「いい感じでよろしく」という振られ方をいつも受けていると、仕事を手早く片付けたいケアマネからは重宝されますが、利用者を預かった段階から支援に困ること確実です。

当然、現場の介護士は、今までの流れに沿って支援することになり、ある意味では何となく「介護」をしているような状況になります。

そんな介護現場では、利用者のケアプランや目標意識を介護士に伝えることもないので、介護士がケアプランを意識することもありません。

つまり、介護士が利用者のケアプランや支援目標、目的を把握していない施設は、少なくとも「良い介護施設」には含まれないでしょう。

現場で働く介護士を見れば分かる?

良い介護施設では、介護士が直線的に移動しています。

なぜなら、何をしなければいけないか。だから何をしたいのかを考えて働いているはずです。

ふらふらと施設内を歩いていたり、特定の利用者や介護士と話に夢中になったりすることはありません。

キビキビと動いているように見える介護士が多い施設ほど、良い介護施設と考えて良いのではないでしょうか。

介護施設に限らず、どこの職場にも「エース」はいます。

その人がいることで、普段以上に仕事が効率的に回る職場です。

ただ、そんなエースと、他の介護士に大きな隔たりがある時は、早めの対策が必須です。

介護現場は、介護士の質で良くも悪くもなります。

何より、利用者の表情を見えれば、介護士の質もおおよそ分かります。

利用者が一人も笑顔でなかったら、その現場は必要十分なサービスに徹している施設です。

介護士も大きなやりがいを感じているわけではなく、でも慣れた仕事なので続けられているという状況です。

地方の人手不足に悩む施設などに多いタイプでしょう。

問題は、そんな施設の評判を上げる時です。

勉強会を増やせるほど人手に余裕もありませんし、研修でレポートを課せば、それだけ介護士の負担も増加します。

また、数回の研修で一気に意識が変わるというものではありませんし、介護施設は利用者とケアプランをセットで受け取り、成果を上げるポジションでもあります。

介護保険制度の性質上、仕事に積極的だから報酬に反映されるということも稀で、介護士のモチベーションを上げるのは容易ではありません。

つまり、一度身についてしまったスタイルを変えていくには、トップから意識改革を果たし、実行する姿を示すくらいでなければ、マニュアル化で縛ってしまうような失策になりかねません。

例えばの方針「年功序列を辞めて、階級制を導入する」

階級制で求められるスキルは2つあって、一般的な介護スキルとプランニングスキル。

一般的介護スキルには、誘導や介助が含まれます。コミュニケーション能力や接遇マナーなども含まれます。

プランニングスキルでは、実際の現場を想定し、利用者を入れた状況でどんな意識づけで現場作業にあたるべきかを計画書に反映させてながら、「リーダー」として具体的な支援策を見つけ出していくもの。

ある程度、上位階級になる場合、実際に1ヶ月間、リーダーとして現場を回してもらうことも試験に入るでしょう。

段階的に階級を上げていき、報酬も勤務年数ではなく、実績重視で評価する方がいいでしょう。

「トレード制度を導入する」

ある程度階級を上げると、自身が新人介護士の親となり、その育成に責任を持たせます。

もちろん、新人が育てば自身の実績に加えられますし、育たなかった場合にはその理由を分析します。

特に指導方法に不適切なものがあると判断されれば、階級ダウンもあり得ます。

また、より未成熟なスタッフを抱えながら実績を上げることができれば、高い評価に繋がりますし、場合によっては「トレード」もあって、相互にスタッフの采配も決めることができます。