任務? (22)

  蒼穹のファフナーシリーズからの流れであるが、竜宮島の成り立ち同様興味深いのは、島民が、フェストゥムに対抗するアルヴィス構成員としての第一種任務と、日本の平和な文化を残す第二種任務を持つという設定である。これは、少子高齢化が加速度的に進む日本社会にとって、あながち関係がないとは言えない要素を含んでいる。

  健康寿命の進展により、60代、70代場合によっては80代であっても、一昔前の同年代と仕事との関わり方が変化してきている(簡潔に言えば、以前は引退であったのが、今では現役に近い状態の人が多くいると言うことであろうか)。であるとしても、人口は着実に減少していくので、この傾向が続くならば、将来、特定の仕事や役割を持つ人員が不足する事態が生じる可能性がある。

  そこで、冒頭の記事が関係してくるわけである。そのような事態を受けて、現実世界でも、社会の人員は、普通に、複数の仕事或いは役割をこなすことになる可能性がある。ファフナーシリーズ的に言えば、第一種任務、人型ロボティックス開発者、第二種任務、舞台俳優とか、第一種任務、自衛隊潜水艦のソナー担当、第二種任務、釣堀屋の親父とか、いうようにである。

  このような就労や役割の重複化には、人口減少という問題だけではなく、科学技術の発展も密接に関係してくると思われる。将来、電脳化が進み、クラウドにある膨大な情報を一瞬にして検索し、目的の情報をタグ付けして脳内にメモリーしたり、視覚野において、直接VRを再現できるような技術を実装するようになると、現在ある特定の職種は、より一般化し取得しやすくなる可能性がある。例えば、医師の資格は運転免許のようなものになるかもしれない。

  運転免許とは言うまでもなく、大型、中型、普通、大型特殊、大型自動二輪などに細分化された自動車や二輪に対して、それぞれの実技と筆記試験の合格を持って付与され、運転が許可される資格であるが、

  将来、現在ある医師は、場合によっては看護師や薬剤師も加えて、「医療師」というような資格となり、例えば外科1、外科2、内科1、内科2、看護、情報…などと言う項目に再編され、ネットを介して集積した治療知識や情報の妥当性や、VRや発展型ダ・ヴィンチシステム、人型ロボット等を用いた実技によって、考査され付与される資格になる、可能性があるということである。

  科学技術の発展が、作業用AIロボットの大幅導入による基礎労働の補完をもたらすと同時に、職種の特殊性の低減や資格の一般化を引き起こし、仕事や役割の重複化を推進するという考えである。