『人間の尊厳と自立』過去問

『人間の尊厳と自立』の過去問

以下の法律の自立に関する記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。(第26回介護福祉士国家試験)

1.児童福祉法では、児童養護施設における自立支援の対象を、現に入所している児童に限定している

2.社会福祉法第3条では、福祉サービスについて、身体機能の低下に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものと、明記している。

3.老人福祉法では、その目的は、すべての高齢者が、尊厳を保持し、その有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるようにすることであると、明記している。

4.障害者総合支援法では、すべての国民は、障害者等が自立した生活を営めるような地域社会の実現に協力するよう努めなければならないと、規定している。

5.ホームレス自立支援法では、ホームレスの自立のために、就業の機会の確保よりも生活保護法の適用が重要であると、規定している。

正解4

1.児童養護施設では、現に入所している児童だけでなく、退所後の児童なども自立支援の対象にしています。

2.社会福祉法3には福祉サービスの基本理念が規定されています。

福祉サービスは、個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は、福祉サービスの利用者が心身ともに健やかに育成され、又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない。

社会福祉法 3

身体機能の低下に応じ”ではなく、”その有する能力に応じ”と明記されています。

3.「尊厳の保持」は老人福祉法には明記されていません。
参考テキスト⇒『尊厳の保持』が明記されている法律

4.障害者総合支援法の3では、国民の責務が規定されています。

すべての国民は、その障害の有無にかかわらず、障害者等が自立した日常生活又は社会生活を営めるような地域社会の実現に協力するよう努めなければならない

障害者総合支援法 3

5.一般常識で切ってよい選択肢です。ホームレスの自立を支援する法律なのに生活保護の適用の方が重要と、矛盾しています。

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、適切なものを1 つ選びなさい。(第27回介護福祉士国家試験)

1.「障害者総合支援法」の基本的な理念のもと、障害者の差別の解消を具体的に実施するためのものである。

2.障害者を身体障害、知的障害および精神障害のある者に限定している。

3.行政機関に対して、障害者に対する合理的配慮を法的義務としている。

4.差別について具体的に定義し、その解消に向けた措置等を定めている。

5.この法律以前に、障害を理由とする差別や不利益な取扱いの禁止について定めた条例を制定した地方公共団体は存在しない。

正解3

基本法と名前がついている法律、例えば 教育基本法や公害対策基本法などはその分野について国の制度や政策に関する基本的な方針や原則を示していて、理念法などと言われます。

障害者施策の大きな方針は、障害者基本法が示しています。この法律は基本的な方針や原則を示すものなので、細かく、具体的なことは書かれていません。例えば、4 条には障害者を差別してはいけないということがざっくりと書かれています。じゃあ具体的にどうすんの?ということで、この 4 条を具体化するために、障害者差別解消法が作られました。つまり、障害者基本法という土台の上により具体的な障害者差別解消法などの法律を作って私たちの生活に適用させているということです。他にも例をあげると、公共的施設はバリアフリーにしましょうという条文を具体化したバリアフリー新法。障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策を具体化した障害者総合支援法などがあります。

ちなみに障害者基本法よりさらに上位に、国際条約(具体的には障害者権利条約)があって、さらにその上に日本国憲法があります。

1.障害者施策の大きな方針は、障害者基本法が示しています。障害者基本法の4 条は障害者差別禁止という条文です。この 4 条を具体化するために、障害者差別解消法ができました。障害者基本法という土台の上に、より具体的な障害者差別解消法や障害者総合支援法などの法律が作られています。

選択肢が「障害者基本法」の基本的な理念のもと、障害者の差別の解消を具体的に実施するためのものである。なら正しいです。

2.

障害者身体障害知的障害精神障害発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

障害者差別解消法2条1項

3.参考テキスト⇒障害者差別解消法

4.障害者基本法の 4 条を具体化するために、障害者差別解消法ができたと書いたのですが、実際にはまだ足りていない部分も多く、障害者差別解消法には、何が障害者差別かという定義がありません。また、合理的配慮の定義もありません。今後の法改正で修正されていくものと思います。

5.北海道の差別禁止条例など、多くの都府県市町村では障害を理由とした差別を禁ずる条例が存在します。選択肢5はわからなくても、積極的に選択肢3が選べればいいかと思います。

障害児・者に対して、ノーマライゼーションの理念を実現するための方策として、最も適当なものを1つ選びなさい。(第29回介護福祉士国家試験)

1.障害の原因となる疾病の完治を目指して治療すること

2.障害種別ごとに、同じ職業に就くことができるように訓練すること

3.障害児と障害者が一緒に施設で暮らすこと               

4.普通の生活環境に近づけること

5.障害者の経済的水準を一定にすること

正解4

参考テキスト⇒ノーマライゼーションとは

ノーマライゼーションの理念は、障害を抱えている人たちを訓練して普通の生活ができるように支援するということではなく社会環境の方を障害者や社会的マイノリティが普通に暮らせる方向に整備していこうというものです。

利用者の意思を代弁することを表す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.インフォームドコンセント(informed consent)
2.ストレングス(strength)
3.パターナリズム(paternalism)
4.エンパワメント(empowerment)
5.アドボカシー(advocacy)

正解5

1.インフォームドコンセントは、医師が治療法や薬の内容について患者に十分な説明をし、患者の同意を得た上で処置を行うこと。介護の分野においては、おもに提供するサービスなどについて十分な説明を行い、利用者の同意を得ることを指します。

2.ストレングスは利用者の有する能力や、長所、つよみといったものを指し、ストレングスに着目し、その力を引き出して積極的に利用、援助することをエンパワメント・アプローチと呼びます

3.パターナリズムとは、強い立場にある者が弱い立場の者の意志に反して、弱い立場の者の利益になるという理由から、その行動に介入したり、干渉したりすることです。介護の現場での具体例を出しておくと

  • 健康を維持するためには、ご利用者が少しくらい嫌がっても3食摂取するように介助する
  • 褥瘡を作らないように、夜間寝ているところを起こして無理やりおむつ交換をする。
  • 利用者が転倒しないように、車いすから立ち上がれないようにベルトを使用する。

といったようなかんじです。
パターナリズムがすべて悪いと言うわけではありませんが、人権侵害につながる危険性を持っているので意識しなければなりません。

1960年代後半からアメリカで展開した自立生活運動に関する次の記述のうち、 適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.障害者自身の選択による自己決定の尊重を主張している。

2.障害者の自立生活は、施設や病院で実現されるとしている。

3.「ゆりかごから墓場まで」の実現に向けた制度設計を目指している。

4.障害者が機能回復を図ることを「自立」としている。

5.介護者を生活の主体者として捉えている。

正解1

アメリカで展開した自立生活運動うんぬんは気にせず、自立生活についての記述で適切なものを選べばだいじょうぶです。

1&2.障害者の自立生活とは、どこに住むか、誰と住むか、何を手伝ってもらうか等を自分自身で選択し、自分の生活をデザインすることです。

3.「ゆりかごから墓場まで」は第二次世界大戦後のイギリスにおける社会福祉政策のスローガンです。生まれてから死ぬまで、国による社会保障があるので安心してください、というキャッチフレーズのようなものです。

4.自立とは身体的な側面だけではなく、社会的経済的および精神的な側面もあります。

5.介護者ではなく障害者自身が主体者でなければなりません。

Aさん(74歳、男性)は、一人暮らしをしている。軽度の認知症があり、訪問介護を利用している。1年前から近所に住んでいる親族に預金通帳の管理を頼んでいる。最近、家事援助のためにAさん宅を訪れた訪問介護員は、Aさんから、「親族が勝手にお金を使い込んでいるらしい」と聞いた。
訪問介護員がサービス提供責任者と供に、最初に取り組むべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。(第26回本介護福祉士国家試験)

1.成年後見制度の利用を勧める。
2.民生委員に相談するように勧める。
3.親族に事実を確認する。
4.特別養護老人ホームへの入所を勧める。
5.地域包括支援センターに相談する。

正解5

1.この事例で大切なことは、Aさんと親族の人間関係の調整を図りつつ、事実を明確にすることです。現実に親族がお金を使い込んでいるかわかりません。認知症の周辺症状による妄想からきている訴えだった場合は、成年後見制度を利用しても問題は解決しません。
参考テキスト⇒成年後見制度

2.民生委員は家族間の問題解決のためのスペシャリストというわけではないので、Aさんの今の状況を把握している、この訪問介護事業所のほうが、スピーディに質の高い対応ができるはずです。
参考テキスト⇒民生委員

3.事実の確認は重要ですが、最初に親族に事実を確認することによって、Aさんと親族との人間関係が悪化するおそれがあります。よって最も適切な対応とは言えません。

4.Aさんは入所を希望しておらず、また入所してもAさんの抱える問題は解決しません。

5.地域包括支援センターの主な業務の一つは相談業務です。介護保険のことはもちろん、ご家族やお金、住環境など、65歳以上の方に関して、原則なんでも相談できます。また、権利擁護に詳しい社会福祉士が必ず配置されているので、対応方法を検討するために、地域包括支援センターに最初に相談することは適切です。
参考テキスト⇒地域包括支援センター

1956 年(昭和31 年)当時、肺結核(pulmonary tuberculosis)で国立療養所に入所していた朝日茂氏は、単身で無収入だったために生活扶助(月額600 円支給)と医療扶助を受けていた。長年、音信不通だった兄を福祉事務所が見つけ、兄から月1,500 円の仕送りが行われることになった。これにより福祉事務所は支給していた月額600 円の生活扶助を停止し、医療費の一部自己負担額として月900 円の負担を求めた。このことが日本国憲法第 【 A 】 条に反するものとして朝日茂氏は、1957年(昭和32 年)、厚生大臣の決定を取り消すことを求める訴訟を起こした。この訴訟で焦点となった日本国憲法第 【 A 】 条が規定する権利として、正しいものを1 つ選びなさい。また【A】に当てはまる数字を答えなさい。(第27回介護福祉士国家試験改)

1.参政権
2.自由権
3.請求権
4.生存権
5.平等権

正解4

すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本国憲法25条

25条で生存権社会権を保障しています。

Aさん(82歳、女性)はアルバイト店員の息子(56歳)と二人暮らしである。Aさんは3年前にアルツハイマー型認知症と診断された。現在、要介護2と認定されて訪問介護と通所介護を支給限度額まで利用している。Aさんは、身の回りのことに常に見守りや介助が必要であり、一人で外出して道がわからなくなり、なんども警察に保護されている。
訪問介護事業所が、アドボカシーの視点からAさんと息子を支援する場合の対応として、最も適切なものを一つ選びなさい(第28回介護福祉士国家試験)

1.自分の食事も作ってほしいという息子の要望に、対応できないと断る。

2.息子の外出時は、Aさんが部屋から出られないように施錠することを提案する。

3.Aさんと息子に相談の上、社会福祉協議会に見守りボランティアの派遣を働きかける。

4.息子に、市内に認知症家族の会があることを知らせる。

5.町内会に、回覧板でAさんと息子の状況を詳しく知らせるように働きかける。

正解3

認知症高齢者と家族に対するアドボカシー(権利擁護)に関する設問です。アドボカシーとは、対象となる個人または家族等の意志を代弁したり、その人たちの生活と権利を擁護したりする活動です

1.訪問介護は、前提として利用者本人だけを対象としたサービスなので、家族の分の食事を作ることはできません。よって対応できないことを伝える必要はありますが、その要望の実現あるいはそれに近づくための支援や情報提供を検討すべきです。なので選択肢3の方がベターです。

2.身体拘束に該当し、原則として禁止されています。

3.“道に迷って、警察に保護される”という現在かかえている問題について、勝手に支援内容を決めてしまうのではなく、Aさんと息子さんに相談の上で、解決に向けて支援内容を考えており、適切です。
↓↓↓のように見守りボランティアは募集されています。
http://www.shinjuku-shakyo.jp/business/cooperation/

4.Aさんに内緒で勝手に「認知症家族の会」のことを息子に知らせるのはアドボカシー(権利擁護)の視点に反します。相談するためには、家族の会でAさんの今の状況を伝えなければならず、これをAさんが望むかどうかがわかりません。

5.Aさんと息子さんに伝えておらず、アドボカシー(権利擁護)だけでなく、個人情報保護の観点からも不適切です。

Aさん(78歳、女性)は介護老人福祉施設で生活している。脳血管障害による左片麻痺で、杖を使って歩行し、自力で移動していた。Aさんは、廊下や食堂でいつも職員やほかの利用者に声をかけ、誰にでも気遣う人だった。ある日、食堂のいすに足が触れて転倒して、ねんざの痛みで歩くことができなくなり、車いすでの移動になった。捻挫は1週間ほどで完治したが、Aさんは徐々に口数も少なくなり、「歩くことが不安だ。周りに迷惑をかけてしまう」と言い、何に対しても消極的な様子がみられた。
Aさんに対する介護福祉士の関りとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
(第29回介護福祉士国家試験)

1.Aさんは口数が少ない様子なので、できるだけ話しかけないように心がける。

2.Aさんの自立を考えて、再び歩くことができるように何度も声をかける。

3.仲の良い利用者に、頑張って歩くように励ましてもらう。

4.Aさんの担当の介護福祉士職に、再び歩くように説得してもらう。

5.食堂のテーブルやいすの配置を見直して、一緒に歩いてみようと働きかける。

正解5

大切なポイントは、Aさんは誰にでも気遣いする人で、周りに迷惑をかけたくないと思っていること、歩くことへの不安があること、です。

介護職の対応としてはAさんの意志を尊重しつつ、不安をとりのぞき、Aさん自身が「歩いてみようかな」と思えるようにすることです。

選択肢5は転倒の原因となった食堂の環境を見直し、転倒しそうになっても一緒に歩いているので大丈夫、と最もAさんの不安を軽減しています。選択肢2、3は転倒した原因について考えられておらず、Aさんの不安は軽減されません。さらに選択肢3の場合は“周りに迷惑をかけたくない”と考えているAさんの支援には不適当です。

選択肢4は“説得”の内容が不明です。

Aさん(65歳、男性、要介護2)は、昨年、アルツハイマー型認知症と診断された。妻は既に亡くなり、娘のBさん(35歳)は遠方に嫁いでいる。Aさんは、現在、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)で生活している。Aさんは介護福祉職に対して、「Bは頭もいいし、かわいいし、きっと妻に似たんだな」とよく話していた。
Bさんが面会に来た時、「誰だい。ご親切にありがとうございます」というAさんの声と、「私はあなたの娘のBよ、忘れちゃったの」「お父さん、しっかりしてよ」と怒鳴る Bさんの声が部屋から聞こえた。
介護福祉職がAさんへのアドボカシーの視点からBさんに行う対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第30回介護福祉士国家試験)

1.Aさんへの行動は間違っていると話す。

2.Bさんに対するAさんの思いを話す。

3.Aさんの成年後見制度の利用を勧める。

4.Aさんとはしばらく面会しないように話す。

5.Bさんの思いをAさんに伝えると話す。

正解2

弱い立場にある人の権利、利益を擁護して代弁することです。認知症などで、自分の意思を伝えられない利用者の望みを、日々のかかわりの中から見つけ出して代弁することは介護職の役割です。

アドボカシー


1&4.Aさんは介護福祉職に対して、「Bは頭もいいし、かわいいし、きっと妻に似たんだな」とよく話していたとあります。介護福祉職が普段のAさんの思いを代弁しながら、アルツハイマー型認知症の症状の特徴や必要とされる対応についてアドバイスしていくことが求められます。

2.Bさんに対するAさんの思いを話すことは、自らの思いを表明できないAさんを代弁する対応といえます。

3.成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などにより、判断能力が十分でない人の生活と財産を守るために、家庭裁判所により成年後見人等を選任し、法律的に支援する制度です。
Aさんの判断能力の程度は、事例からは読み取れず、また、Aさんと Bさんが成年後見制度の利用を希望しているかも不明です。安易に利用を勧めるのではなく、Aさんの希望や家庭状況などを踏まえながら情報提供していくのが適切です。

5.Bさんの思いをAさんに伝えると話すことは、介護福祉職がAさんへのアドボカシーの視点からBさんに行う対応とはいえません。

Aさん(82歳、女性、要介護2)は夫を7年前に看取り、その後は一人暮らしをしている。夜中にトイレに行った時に転倒し、大腿骨頸部を骨折して3か月入院した。自宅に手すりをつけ、段差をなくす住宅改修をした後、退院した。何かにつかまれば、いすからの立ち上がりや歩行ができる。人と関わるのは苦手なため自宅での生活が中心である。遠方に一人息子が住んでおり、月に1度は様子を見に帰ってくる。週3回、訪問介護(ホームヘルプサービス)の買物代行や部屋の掃除などの生活援助を利用している。Aさんはできるだけ自分のことは自分で行い、このまま自宅での生活を継続したいと希望している。訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問したときに、Aさんは一人暮らしを続けることが不安であると告げた。
Aさんに対する訪問介護員(ホームヘルパー)の応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.「訪問介護(ホームヘルプサービス)を毎日利用したらどうですか」

2.「一人暮らしは大変なので息子さんと同居したらどうですか」

3.「また転ぶかもしれないと思っているのですか」

4.「グループホームに入居することを考えたらどうですか」

5.「手すりをつけたし、段差もなくしたので転びませんよ」

正解3

1&5.まずはAさんの不安を受け止め、話しを聴くことが第一です。何が不安なのかわからなければ、適切な提案はできません。同様の理由で、選択肢5も不適切です。

2.息子は遠方に住んでおり、双方の意向もわからない状況で、安易な同居の提案は適切ではありません。

3.介護職としての最初の応答は基本的に受容です。選択肢3は「感情の反射」に通じており、適切です。
参考テキスト⇒感情の反射

4.Aさんはできるだけ自分のことは自分で行い、このまま自宅での生活を継続したいと希望しているので、適切ではありません。

Aさん(78歳、女性、要介護3)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。72歳から人工透析を受けている。透析を始めた頃から死を意識するようになり、延命治療を選択する意思決定の計画書を作成していた。しかし、最近では、最期の時を自宅で静かに過ごしたいと思い、以前の計画のままでよいか気持ちに迷いが出てきたので、訪問介護(ホームヘルプサービス)のサービス提供責任者に相談した。
サービス提供責任者の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。(第32回介護福祉士国家試験)

1.「この計画書は、医療職が作成するものですよ」

2.「一度作成した計画書は、個人の意向で変更するのは難しいですよ」

3.「意思確認のための話し合いは、何度でもできますよ」

4.「そんなに心配なら、特別養護老人ホームに入所できますよ」

5.「この計画書は、在宅ではなく病院での治療を想定したものですよ」

正解3

1.計画書は利用者本人やご家族の意向、生活環境や病歴などを考慮して事業所が作成します。

2.本人の意思が最優先なので、本人の意向が変われば、当然計画書も変更する必要があります。

3.本人の意向が変われば、何度でも変更すべきものであります。そして、そのことをきちんと伝えれば、本人も落ちついて考えることができます。

4.”最期の時を自宅で静かに過ごしたい”とあり、本人の意向に沿っていないので不適切です。

5.病院での治療を想定したものではなく、できるだけ治療を受けたい、延命治療はせずに自宅で過ごしたい、というように本人の意思を示すものです。

『夜と霧』や『死と愛』の著作があるフランクル(Frankl,V.)が提唱した価値の説明として、適切なものを1つ選びなさい。(第31回介護福祉士国家試験)

1.公民権運動により差別を解消すること。

2.生命が制限される状況において、いかなる態度をとるかということ。

3.最低生活水準を保障すること。

4.ライフサイクル(lifecycle)を通じたノーマルな発達的経験をすること。

5.アパルトヘイト(人種隔離政策)を撤廃すること。

正解2

この設問を読んで、「何これ?」と思った人も多いんじゃないかと思います。次の試験につながるような問題ではないので、カットしようかとも思ったんですが、こういう問題もあるというのを見てもらうために取り上げておきました

この手の問題は、適当に選択肢を選んで次の問題へいってもよいんですが、選択肢をながめると、わりと”それっぽい”のがあります。選択肢2~と『死と愛』という本のタイトルがなんとなく合っている・・という程度で、選んでしまっていいです。実際に正解は2ですが、間違っても問題ありません。他の問題で時間を使いましょう。

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