【認定調査】余計な期待は失望のもと

介護
雪乃
雪乃

いつもありがとうございます。介護保険の利用をするには、まずは申請して認定調査を受けることが第一歩になります。しかしここで、認定調査とはどういうものかを理解していないと過剰な期待をしてしまうことがあります。周囲からのアドバイスも有益ですが、まずは申請を代行してくれるケアマネさんや地域包括支援センターに方としっかり相談されることをオススメします。

認定調査に過度な期待をしてしまう方

ケアマネは介護保険を利用したいがまだ介護認定を受けていない方からの相談を受け付けることがあります。

日常生活で困りごとがあって相談して来られるのですが、中には認定調査を受けても、高い介護度が見込めないような方もたくさんいらっしゃいます。介護保険で受けられるサービスについて理解されていない方も多くいます。そういった方にご説明差し上げるのもケアマネの仕事なのですが、自分は高い介護度が出るはずだと期待しておられる方には、なかなか説明が通じないことがあります。

あくまでも架空の例ですが、こんなことも起こり得ます。

80代の女性で、独居。認知症はありません。心臓にはペースメーカーを入れており、体調は不安定ながらも独居を続けています。杖をつかずに歩いてスーパーまでは買い物に行けます。日常的な着替えだったり、トイレは1人で行えています。掃除は細かいところまで行き届かないので、離れたところに済む家族が週1回大掃除をしています。本人は年齢とともに大変になってきたと不安です。

このような架空の事例です。何らかの援助があれば生活の不安は減少しそうな気はしますね。

この事例ですと、ペースメーカーを入れていても歩行はできています。着替えやトイレなど、介護の手間が発生していれば高い介護度が見込めるのですが、今のところそのような状況にはないようです。掃除は一部家族に頼っていますが、認定調査では掃除ができているかどうかを評価する項目はありません。このまま調査を受けても、要支援以上の認定をするのは期待しにくいでしょう。

こういう場合「認定調査を受けてみないと結果はわからないので、確かなことは言えませんが、要支援しか認定が出なかったり申請が却下されてしまうこともありますので」という風に説明することが多いです。

認定結果に過度な期待をしてしまうと、そうならなかった時に落胆が大きいですからね。

ここでそれを受け入れて頂ければいいのですが、受け入れることが難しい方も中にはいらっしゃいます。

「いや私はペースメーカーを入れていて障害者手帳を持っているから、要介護が出るはずだ。友達からも「あんたはペースメーカー入れてるから介護が出るよ」と言われた」と引き下がらない方もいます。

しかしそのようなことを言われても、認定調査はあくまでも普段の生活の中で、どれだけ介護の量が求められているか、その人の普段の状態の中から聞き取りをするプロセスです。

障害者手帳の区分と要介護度は必ずしも一致しません。ペースメーカーを入れて障害者手帳を持っていても、30分くらい問題なく歩き続けられる方もいらっしゃいます。そのような方であれば要介護認定を受ける必要はないでしょう。

認定調査の結果と、主治医意見書の結果を両方参照して、要介護度が決定されます。主治医はペースメーカーを埋め込んでいることを主治医意見書に記載しますが、それも参考程度にしかなりません。

具体的に生活に困りごとが出てきて、始めて介護度が上がる要因となり得ます。

例えばペースメーカーを入れるほど心臓の具合が悪く、横になっている時間が増えて筋力が低下し、家の中を歩く時にも家具に捕まらないと難しくなってきた、などの支障がないと高い介護度が見込めません。

ペースメーカーがあるから介護度が高くなるはず、というのは必ずしもそうは言い切れないのです。

ここで実際に高い介護度が出ればいいのですが、期待するだけして思った通りにならないと落胆したり思って板サービスを受けられない不満を味わうことになります。

専門家ではない人からの意見は鵜呑みは禁物

上記の架空の例では、周りからのアドバイスを鵜呑みにして過度な期待を持ってしまったというケースです。

周囲からのアドバイスは有益なこともありますが、アドバイスをしてくれる人が必ずしも詳しい知識を持っているとは限りません。鵜呑みにせず、申請を代行してくれる専門家の意見もしっかり聞く必要があると思います。

他にも同居の家族がいて家の掃除の介護保険サービスには制限があるにも関わらず、アドバイスされて介護認定を受ければお風呂やトイレの掃除のサービスを受けられると勘違いしてしまうなどの例も考えられます。

「サービスを受けられると聞いていたのに、なぜ受けられないのか」という不満が、ケアマネに向くこともあります。しかし。そういった誤解についてまで、完全には責任を負いかねます。

良かれと思ってアドバイスするにしても、本人にあまり期待を持たせるのは考えものです。

介護職という専門的立場の人も、誤解を招くアドバイスをしてしまうことがあり得ます。

例えば「嚥下障害や躁鬱病があり、うちの母は要介護1の認定が出た。病気についてちゃんと伝えれば、認定調査に書いてもらえるんだから要介護だって出る」という意見を目にしました。

しかし、そういったこともあり得るでしょうが、この表現も誤解を招きかねないと判断しました。

躁鬱病と一口に言っても、病状は様々なはずです。病名だけでは認定を左右するには足りないでしょう。末期ガンと主治医意見書に書いてあっても要支援1とか、多発性硬化症という難病でも要支援2とか、現場ではそういう認定も下りています。

そういった病気の方で軽い認定が出てしまうのは、具体的な生活の支障がまだ発生していなかったりするからです。

調査員の立場からすると、病名だけに左右されず、生活の場でどのような支障が起きているのか、調査項目の定義に当てはまるものはないか、項目の定義に当てはまるものがなくとも介護の手間となっている要素はないか、そこをまず見極めようとしています。

どういった要因で介護度が重くなったり軽くなったりするかは、必ずしも明らかでないこともあります。軽はずみな発言は慎みたいものです。

どうアドバイスするか、アドバイスをどう受け取るか

身近なお困りの方にアドバイスをする方も、本当に詳しければまだ良いのですが、最後まで責任を持ってサポートできる立場にないのであれば、過度に期待を持たせる言動は慎んだ方が良いでしょう。例え制度に詳しくとも、把握していない事情で思うような結果にならないことがありますので注意が必要です。

アドバイスを受けられる方は、そのアドバイスをしっかり聞きつつも、専門的立場の人からの意見もしっかりと聞くことです。制度は複雑です。思うような結果にならないこともあるでしょうが、ケアマネなどはそのような状況でも利用できる制度はご提案させて頂きます。

お互いによく話し合い、方法を模索できればと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。人気ブログランキングに参加していますので、この記事を気に入って頂けた方にはブログランキングの応援をして頂ければ嬉しいです。またブックマーク登録など励みになります。今後ともよろしくお願いします。


福祉・介護ランキング

コメント

タイトルとURLをコピーしました