子どもたちの成長には、子どもたち自身の欲求が必要
サッカーがうまくなりたい、こんなプレーをしたい、子供自身の欲求はどのように生まれるのでしょうか。
子ども達自身が、欲求を持つことで、成長にもよい影響を与えます。欲求がなければ、成長もない、といってもいいでしょう。
ここでは、サッカーをとおした 成長にむけて、子供自身の欲求を中心に整理します。
- 子どもたちの欲求には、どのようなものがあるのでしょうか。
- すぐに、こんなプレーをしたい なんて欲求が生まれるのでしょうか。
- どうすれば、欲求を引き出せるのでしょうか。
そんな欲求には5段階あると、心理学者のマズローは言っています。
5段階の欲求とは
シンプルにいうと、以下の2点
- 人間の欲求は、生物として基本的なものから、人間的な高次な欲求まである
- 基本的なもの満たされて、はじめて高次な欲求がでてくる
ではどんな欲求があるかというと
- 食欲や睡眠欲といった生理的欲求
- 危害を加えられないという安全欲求
- 自分の存在が受け入れられるという社会的欲求
- 他人から認められる承認欲求1、自らを認めること(自尊心)への承認欲求2
- 自分の目標やなりたい姿を目指す自己実現の欲求
子どもたちの成長に必要な欲求にむけて
上記の1~6を、しっかりと与えてあげる必要があります。
特に1~3は、子どもたちの外部から与え、受け止めてもらう必要があります。どれも子どもたちの欲求をしっかり満たして、高次な欲求が得られるよう、サポートしましょう。
基準はサポートしたかではなく、子どもたちの欲求が満たされるか、です。サポートする人はそれを忘れてはいけません。
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生理的欲求(1番目)
身体的に苦しむことが無いよう、よく観察しながらコーチングしましょう。
子どもたちの様子に注意し、生理的な欲求に対して無理をさせないようにします。
必要な水分補給、適切なタイミング・量の休憩など、しっかり提供しましょう。
ケガをしてしまった場合にも、痛がっている様子や状況を判断して、無理な練習やプレイはさせず休ませます。
安全欲求(2番目)
のびのびとプレイできる安全な場を提供しましょう。
これは練習用具の安全などといった練習環境、プレイ環境があります。プレイ範囲を区切ったり、練習場への通路を確保したり危険が無いように環境整備します。
環境整備でも同じですが、本人が安全・安心と感じることができるか、です。
本人が理由もよくわからないまま危害を加えられたりといったことは、あってはいけません。これには、暴力が当てはまります。(暴力の撲滅活動は、サッカーに限らず、どのスポーツでも同じでしょう)
また、試合に負けたらシゴキ練習、それも論外ですね。
決まった子がいつも厳しく怒られるといったこともあります。(実際に理由があるのかもしれませんが、)これは本人や周囲に脅威をあたえています。いつも仲間が怒られる場を安全・安心とは思わないでしょう。
その他、仲間がケガや熱中症などになり、「自分もなってしまうかも」といった脅威も取り除いてあげる必要があります。周りがバタバタ倒れている中、自分も練習を続けさせられたら、それは安全ではないですね。
社会的欲求(3番目)
チームの一員として活動できる場を提供しましょう。
チームや練習、ピッチの外でも、存在を認めてあげましょう。仲間の中で自分の居場所が必要です。
客観的に準備できることがあります。同じユニフォームを着る、同じような用具を持つ、ひとりひとりの分担をもつ、整列して話を聞くなど、日本人には比較的得意な分野かと思います。
練習中も、選手の人数をしっかり把握し、人数にあった練習メニューや試合の準備をしましょう。一部だけが外れることがないようにします。
一方、目の届かないとのころで、子どもたち同士の社会もできあがってきます。いつもどおりの子どもたちのグループなのか、孤独になっていないか、注意しましょう。仲間との関わりが発生するよう、サポートしましょう。
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承認欲求(4番目)
承認欲求は2段階あります。
1つ目は、自分以外の人に認められて、よかった・うれしいといった、基本的な反応の欲求です。
2つ目は、同じように認められて、自分の価値を認められたといった、自分自身を大切に思う気持ちへの欲求です。
承認欲求1
「(ほめられて)よかった/うれしい」と思えるようコーチングしましょう。
自分以外の人に認められる欲求があります。
練習や試合でできたこと、本人の頑張りなど、本人の欲求が満たされるように、本人にしっかり声がけしましょう。また、試合での表彰や個人への表彰など、機会を設け、よいところを見つけて、認めていきましょう。
「ナイス プレイ!」
「ナイス アイデア」 「おもしろいね」
「(親指たてて)いいよ!」
「よくチャレンジした」 「大丈夫」
「次も見せて」 「かっこいいよ」
「判断してたね」
などなど
素直に、認めてもらえた と思える声がけをしていきましょう。
承認欲求2
自分の活動は間違っていない、自分は必要とされていると思えるようコーチングしましょう。
自分を大切に思える、自分を肯定できる気持ちまで高められた状態への欲求です。
自尊心を育みましょう。そのため、「(褒められて)よかった/うれしい」から「私が必要なんだ/私のいる場所はここなんだ」とわかってもらえるようにサポートしましょう。サポートは周囲からですが、本人の中で、自分を認められるようになります。
本人の努力を受け入れる声がけ
「○○やろうとしたね、わかるよ」
「練習の成果でてたね」
全体の中で価値があったことを伝える
「○○のあのプレーから雰囲気変わったね」
「(選手交代で)○○のプレーに期待してるぞ」
「(選手交代で)最後まで走りきって、いい試合になったよ」
自己実現(5番目)
なりたい姿を考え、それに向けた目標設定できるようサポートしましょう。
もちろん、大きな夢があってそれに向かって頑張るといったことも理想です。
しかし、もっと小さなこと、逆足の苦手意識を無くしたい、そのために左右のリフティングを10回以上 なんて目標でもよいと思います。
最初は、もっとかっこいい=逆足でもプレーできる自分 といったイメージを教えてあげてもいいでしょう。大事なことは、与えられた/設定された目標ではなく、自分で設定することです。
そのためには、例示してみたり、(本人が努力していたことを)気づかせてあげたりすることが必要です。
くれぐれも、話をしているうちに、「〜〜すべきだ」と目標を与えてしまわないよう気をつけましょう。
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まとめ
- 成長するためには、子どもたち自身の欲求が必要
- 欲求は、5段階
- どれも子どもたちの外側から働きかけることが可能
- 低次の欲求(生理的・安全・社会的欲求)は、満たせるように直接的にサポートできる
- 高次の欲求(承認欲求・自己実現)は、様子を観察しながら声がけなどをとおして、欲求が満たされるよう間接的にサポートできる