考える機会をつくろう 低学年からはじめる成長に効く質問の使い方とは

2020/06/27

考え方

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質問で何が変わるか


サッカーでコーチングをするにあたって、必要な能力の1つに適切な質問を投げかけられるか、といった質問に関するスキルがあります。 




質問は、試合中のコーチングや練習中に行う声がけ、ミーティングなど、あらゆる場面で利用します。


子どもたちの欲求を引き出すにも、よい質問を投げかけることが重要です。なぜなら、よい質問は、子どもたち自身の中で、考え・振り返り・次に向かってどうするかを考える機会を与えるからです。
その結果、新たな欲求が生まれます。




一方で、悪い質問は、子どもたちを萎縮させ、自分を責め、考え方だけでなく、行動まで消極的にさせてしまいます。
その結果、チャレンジする意欲を失い、持っている成長の可能性を奪うことになりかねません。 


子どもたちの考えるスイッチを入れたまま終わる方法を紹介します。




質問にはどんな種類があるか



コーチングを日本に持ってきた榎本英剛氏は書籍「部下を伸ばすコーチング」の中で以下のように質問を分類しています。

ポジティブな質問

  • 拡大質問 正解が複数ある質問 開かれた質問ともいう
  • 未来質問 将来についてたずねる質問
  • 肯定質問 否定形を含まない質問 対象者の望む方向に意識を向ける質問



ネガティブな質問

  • 特定質問 特定の回答をえる質問 閉じられた質問ともいう
  • 過去質問 終わった過去についての質問
  • 否定質問 否定形を含む質問 対象者の望まない方向に意識を向ける質問

コーチングをする上で、よく使うのはポジティブな質問です。ポジティブな質問を上手に使うと、子どもたちに考えるきっかけを与えます。その結果、次の行動に繋がりやすくなります。

一方、ネガティブな質問は、事実の確認、悪い部分(否定的な部分)への絞り込み、選択など、回答して完了すること/回答を得ることを重視しています。
そのため、本人が何かに気づくことは少なく、回答することで絞り込まれるのが特徴です。


ポジティブな質問で考える機会を作る


ポジティブな質問をうまく使うためには、コーチ自身が現象に目を奪われず、目的を忘れないことです。


ボールを奪われてしまったシーンに対して

「なぜボールを奪われてしまったんだろう?」
拡大(why)・過去・否定 の質問です。


「ボールを前に運ぶにはどうすればいいだろう?」
拡大(how)・未来・肯定 の質問です。

コーチが導きたいのは、ボールを奪われない方法ではなく、ボールを前に運ぶこと、です。ボールを奪われないのは手段です。


奪われたのが、ボールポゼッションの練習であれば、
「チームが攻め続けるにはボールはどうすればいいだろう?」
拡大(how)・未来・肯定の質問です。


子どもたちの思考を目的に集中させ、目的のために何をしようか、と前向きにさせましょう。



考えて分かるなら最初から困らない


前向きに考えれば、答えはでてくるでしょうか。

出てくるときともあれば、出てこないこともあります。

身につけたこと、理解したこと、記憶にあること、ひらめいたこと、なんとなく思いついたことなど、前向きに考えれば、でてくるかもしれません。


しかし、すぐには答えがでてこないことが多いでしょう。それは考えたものがモヤっとしていて、なんと答えてよいかわからないからです。(もちろん、回答できる明瞭な人もいますが)


そんな時に、

「なんで何も言わないんだ!?」
拡大(why)・過去・否定の質問です。


「前に教えたと思うけど(覚えていないの)?」
特定・過去・否定の質問(感想)です。


思わず、こんなこと言ってませんか?
せっかく教えてやったのに、答えられないなんて困ったもんだ、とすら思っている方もいそうです。


前向きに考え始めたところで、ネガティブな質問を聞かれては、せっかく入ったスイッチが切れてしまいます。


「〇〇が、一番大変だなと思う動きは何だろう?」
「〇〇が、一番簡単にできる動きは何だろう?」
拡大(what)・未来・肯定の質問です。

思っていることを聞き出す質問です。一見詰問のようにも見えます。しかし、質問した人が知りたがっている、一緒に考えようとしているようにも見えます。



これは、考えたことを漠然と聞き出すのではなく、少し制約(条件)をつけて聞き出します。「一番大変」、「一番簡単」といったように両極端なことを聞くことで、聞かれた本人も、モヤっとした範囲の端っこで、答えやすくなります。


さらに、「〇〇が..思う」というように、 〇〇自身の思っていることを聞いています。ですので、正解を聞いているわけではありません。


ちなみに、回答が、プレーの定石、チームのプレーモデル、練習の趣旨に沿わないかもしれません。その場合、「大変」「簡単」の「中間」として、正解を教えてあげれば、よいのです。(「もっと簡単」でもよいですが、不正解のようにとられないよう注意しましょう)


正解を押し付けているように感じるかもしれません。しかし、2つの案を考える程度に、頭の中の考えるスイッチが入って終わっています。そのため、時間がたてば自然と整理されていきます。




まとめ


  1. 考えるスイッチを入れるためには、ポジティブな質問が有効
  2. ポジティブな質問を投げかけるには、「現象」ではなく「目的」から質問する
  3. ポジティブな質問に制約(条件)をつけると、答えやすい質問にできる
  4. 前向きに考えるスイッチ入った状態でその場を終えるとよい





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自己紹介

1975年生まれ。2014年からサッカーコーチ活動を開始。ボランティアでスポーツ少年団にて活動中。
息子3人サッカー選手。それぞれ、スポーツ少年団、部活、クラブチーム、サッカースクールで活動。サッカー選手の保護者の目、サッカーコーチの目で子どもたちや息子の成長を見ています。

指導者D 級ライセンス
審判4級ライセンス
スポーツ少年団認定員

関係ないけど
経済産業大臣登録 中小企業診断士
ネットワークスペシャリスト
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