マルチリンガル医師のよもやま話

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日本商業用捕鯨再開 ~捕鯨は本当に必要か?~

2019年7月1日に日本国内での商業捕鯨が再開されました。世界各国で日本を非難する動きがあります。

僕自身はクジラは食べたことがありません。親の世代は給食で出ていたそうです。

なぜ世界の反対を受けてまでも捕鯨を再開したのでしょうか?

 

 

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日本での捕鯨の歴史

縄文時代の遺跡から、イルカやクジラを捕まえていたことがわかっています。また弥生時代の遺跡からも捕鯨図が見つかっています。こんなにも昔からヒトはクジラを捕まえていたのですね。

奈良時代の万葉集に「いさなとり」という言葉が出てきますが、これも捕鯨を表しているのではないかと言われているそうです。

江戸時代以降ではクジラの肉は食用に、クジラの油は燃料に使われていました。いずれにしてもここまでは網を使った日本の伝統的な手法で捕鯨がされていました。

 

開国とアメリカ式捕鯨

ペリー来航後、日本は開国し、アメリカ式捕鯨を導入しました。これは簡単に言うと捕鯨銃を用いてクジラを捕まえる方法です。しかしなが捕鯨銃の使い方への知識不足などで失敗に終わっています。

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捕鯨3円切手

明治に入って、漁港周辺だけでは資源が足りなくなったため、遠洋漁業に出ることとなりました。このときに導入されたのがノルウェー式捕鯨でした。捕鯨砲を装備した動力式捕鯨船により、沖合に出ての捕鯨を行いました。

昭和に入り、資源の乏しい日本は鯨油を売って外貨を稼ぐことを始めました。南極海にまで足を伸ばしてシロナガスクジラを取りました。

 

第二次世界大戦以降

第二次世界大戦時、捕鯨船はすべて軍事用に転用されました。そのためこのときは捕鯨はストップしていました。

戦後、食料・資源の少ない日本はマッカーサー元帥の勧めもあり捕鯨を再開しました。

鯨肉を食料とし、鯨油を売って外貨を稼ぐことにしました。そして1950年代終盤には世界最大の捕鯨国になりました。

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1946年 国際捕鯨取締条約

世界捕鯨委員会(IWC)への加盟

戦後、世界ではクジラ資源を守るために国際捕鯨委員会(IWC)が設立され、日本は1951年に加盟しました。

1950年代にアフリカや中東で大油田が発掘され、石油の時代が到来しました。そうすると鯨油の需要は一気に落ち込みました。

1970年代後半には日本は捕鯨の規模をかなり縮小しました。

1982年にIWCが捕鯨停止決議を採択すると日本もその後、南氷洋・太平洋での商業用捕鯨をやめました。(商業捕鯨モラトリアム

 

法の抜け穴?調査捕鯨

商業捕鯨が中止された後も、南極海と北西太平洋での調査捕鯨は許可されていました。そのよくわからない ”調査捕鯨枠” を利用して日本は年間300頭近くのクロミンクジラを捕獲しまくっていました。

そうこうしているうちに日本国内でも鯨肉への需要は減っていました。牛肉や豚肉・鶏肉に新鮮な魚類と、他にたくさんの選択肢があるのであえてクジラを食べる必要もないからです。それでも調査捕鯨は続いていました。

 

2014年の国際司法裁判所では

日本の南極海での調査捕鯨は実質上 商業捕鯨である 

と判決を下しています。

 

しかし、この後も日本は、2014年こそおとなしくしていましたが、2015年からまた300頭以上のクロミンククジラの調査捕鯨を継続しています。

 

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イルカ漁

大型鯨類の商業捕獲は禁止されていましたが、イルカを含む小型鯨類の商業捕獲は禁止の対象ではありませんでした。

あれ、気づきました??

そうなんです、実はイルカとクジラは生物学的には同じ扱いなんです。一応、3m(4mとも)以上はクジラ、それ以下はイルカとしています。岩手県や和歌山県では今もイルカ漁がされています。

 

IWCの脱退

捕鯨国と反捕鯨国の対立は激しく、商業用捕鯨が許可される見込みはない!

こう判断した日本は2019年6月30日をもってIWCを脱退しました。

これにより、IWCからの捕獲制限を受けなくなりました。

かといって好き勝手な場所で捕鯨をしまくったら国際社会から大大ブーイングを食らうであろうことから、日本は領海と日本の排他的経済水域内に限って大型鯨類の商業用捕鯨を再開しました。

一応、100年間商業捕鯨を継続しても鯨の資源量に影響を与えない保守的な捕獲数を設定しているそうですが・・・

日本はあくまでも「捕鯨は日本文化の1つである」を押し通しています。

 

ある指摘があります。あくまで一見解ですよ!(笑)

B●Cという某・有名海外のニュースで話してるのを聞いたレベルです。捕鯨を行っている地域から選出された国会議員は地元票のために捕鯨を守り続けているのではないかと・・・

 

まとめ

日本での捕鯨は古く、縄文時代・弥生時代からあったとされる。

明治時代の近代化以降、遠洋に出ての捕鯨も始めた。

鯨油での外貨稼ぎと、鯨肉の食用目的に捕鯨を行った。

太平洋戦争後は、鯨肉は日本人の貴重な食料源であった。

石油の普及で鯨油の需要は低下した。

豊かになった日本では食用の鯨肉自体の需要も減っている。

 

<私見>

反捕鯨国から強く反対される中、「日本文化の1つ」として商業用捕鯨を再開する必要は本当にあったのか。結局、僕自身は答えが見つかりませんでした。

ただし、今は食べ物の種類も豊富で鯨を食べる必要もなく、需要も減っている中で意固地になって続ける必要があるのかは?です。

みなさんはどうお考えでしょうか?