南蛮渡来の絵具、ファレホなる、ライトのスチールを紫電に塗るめり。いざ参らん。
(輸入品のValejoのLight Steelを紫電に塗りましょう。さあ始めましょう)
されば例によって馬手の平らかなる尻えの翼で様子を見てのち、ゆるりと筆を進めゆく所存なり。(ではいつもの様に右側の水平尾翼で様子を見てからゆっくりと筆で塗っていこうと思います)
まずは一太刀、筆塗りの段。何やら面妖なる筆乱れが残りありしかども、いたずらに筆返しなどは禁物との心得あり、しからば今ひとたびの水干待たなむ。(まず最初の筆塗り、少し変な筆ムラがありますが、焦ってむやみに筆を返したりするのはいけないことだとの教訓もありますので、いったん乾燥を待ちましょう)
ふたたびめの筆は初太刀に矩ね手に交わりたる如くいたす。やはらかき筆の穂先を絵具にて存分に潤わせ、かつまた瓶口にてよくしごきて余分の滴りをしっかと払へば過ち少なからん。
(二回めは最初と直角になるようにします。柔らかい筆の先を絵の具をたっぷりと含ませてから、瓶の口でよくしごいて落とせば失敗は少ないでしょう)
三度び目の段。さらにこたびは大空を飛翔せる益荒男の心意気をや伝えむとて機軸にあはせて筆を運ぶべし。塵、あくたの気の流れに沿はしむはこれなむ裏技とや呼ぶべき。三度び目で充分隠れ蔽したりと了見いたせばこれにて止む。(3回め、今回はパイロットになった気分で、機体の軸線に沿って平行に筆を運びましょう。気流による汚れでこれは裏技と言うべきものです。3回めで下地の隠蔽に納得できればそこで止めます)
二夜ほど水干ませてから糊付き黄巻紙にて覆い貼りをなす。ただちに貼り重ねれば運の悪きものは巻紙もろともに色こそ剥がれてなほ残りけれ。あな口惜し。あるいはまた運の悪きものは風呂より出んとしてきんたまを詰め割りてしぬるものもあり。しかるのちに銀に白を混ぜ込めて塗り、補助なる翼の羽布張りを現し表わさむ。
(48時間ほど乾燥させてからマスキングテープで覆います。塗装直後に貼り重ねると運が悪いとマスキングテープと一緒に塗装が剥がれてとても残念なことになります--中略--その後シルバーにホワイトを混ぜて塗装しエルロンの羽布張り表現とします)
さらにては、めりとかりを与えむとて一筋の黒を垂らしたる銀を塗り重ねけり。
(その上にメリハリを与えるためにごく少量のブラックを加えたシルバーを重ねました)
かく相成る。下なる面にてはさほど際立たざれども、それが吉。和をもって貴しと為す。
(この様になります。下面であまり目立ちにくいですが、その方が良いでしょう。調和こそを最高の状態とすべきです)
しかれども、さやかに日の光を受けたればその差、明明白白たり。仔細に眺むれば多少のそつなどそこかしこにありしも、な憂ひたまひそ。みやこびと筆塗りと知ろしめさば、いささかも悪し様にのべたまわらざらん。
(とは言っても、微かな陽光を浴びればコントラストははっきりします。細かく見れば下手なところも随所にありますが、心配しない様に。筆塗りとお知りになったならば、この道の達人であってもあまり文句はおっしゃらないでしょう)