叔母夫婦が帰ってから、父の状態はさらに悪くなる。

兄妹が帰ってしまったから、寂しいのかもしれない。父にどんな具合なの?と聴いてみると、この家の周りに不審者らしき人物がいるようだという。あまりにしつこくいうので、私が家の周辺を懐中電灯を照らしながら、ゆっくりと見渡していくが、誰もいない。当然だろう! 霊能者でもない限り、家の周辺に不審者がいるなんてわかるはずはない。

 

 

父にそのことを伝えると、私が騙されているとかなんとか訳のわからないことをぶつぶつと言っている。一緒に真面目に考えていたら、こっちまで気が変になりそうだ。

 

 

父の相手をしていたが、私もさすがに疲れが溜まってきた。少し、父の横で休ませてもらおう! そう思う間もなく、一気に眠ってしまった。

しばらくすると、私を呼ぶ祖父と母の声が聴こえてきたので、慌てて目を覚まして、1階に降りると父が玄関にいた。外に出ようとしていたのだろうか?

 

 

私は急いで父を2階に連れていき布団に寝せて、その上に私は乗って寝るという型にした。私が乗っかっていれば、簡単には脱出できないだろうから。

 

 

父は「警察に包囲されているから、出頭しなければならない」と真面目に真剣に私に訴えてくる。

 

 

父に「どんな罪を犯したのですか?」と尋ねると「この間、入院した病院で睡眠薬と嘘を言われて麻薬を注射されました」

がーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!

 

父に「テレビの観すぎか?私のことを言っているんじゃない?」というと

私のことではないと強く否定した。「証拠はあるのですか?あの病院が麻薬を注射したという?」 父は黙ってしまう・・・・。

「でも、麻薬を注射されたことは間違いない!」と証拠はないのに父は執念深く言い続けるのだ。

 

 

もう、こんな問答していても意味はない! 疲れるだけだ。明日、明後日になれば、病院だから、それまで頑張ろう。私が倒れるわけにはいかない!