”血液透析” こむら返り・筋痙攣て何?
こんにちは、CE ガッチです。
いつも当ブログを読んでいただきありがとうございます。
最近は、緊急事態宣言の緩和の影響なのか少しずつ外出されている方が増えている印象があります。
1週間後の感染者数の増大がないことを祈ります。
透析室での感染管理に関しても、日々変化しています。
中規模・大規模病院になれば感染制御室等があり、その部署を中心とした管理をされますが、小規模のクリニックになると専属が難しくスタッフ皆さんで検討するようになるかと思います。
様々なものを参考にしながら。日々の対応のアップデートをしっかりしていきたいです。
そんな中ではありますが、本日は透析中頻回に遭遇するであろう「こむら返り」・「筋痙攣」に関して書きたいと思います。
先日も治療中にこむら返りを起こした患者さんがいらっしゃいました。
対応を行っていたスタッフが足を伸展させてくれていたのですが、方向が逆であった為に逆効果をもたらしていました。
「こむら返り」・「筋痙攣」とは何なのかから、ちょっとした対処法までをご紹介できればと思います。
本日もよろしくお願い致します。
透析室で勤務するようになり、施設によってはほぼ毎日といっていいほどの頻度で遭遇する合併症です。
対応する頻度が高いという事は、それほどちゃんとした対応を求められるという事になります。
また、頻度が高い場合慣例となっている対処法もあるかと思います。
本日は、おさらいという意味合いも込めてやっていきます。
こむら返り・筋痙攣とは
こむら返りとは、
「腓(こむら)=ふくらはぎ」に起こる筋痙攣の総称で、「(足が)攣(つ)る」とも言われる。特に腓腹筋(ふくらはぎ)に起こりやすいため、腓腹筋攣縮と同義とみなすこともある。
引用:こむら返り-Wikipedia
です。
筋痙攣とは、
突然起きて短時間持続する、疼痛を伴う筋または筋群の不随意収縮である。
透析中に、よく「足がつった!」と言っているあれです。
「こむら返り」は緋腹部に起こるものであり、筋痙攣の一部になります。
透析後半にかけて発生頻度が上昇します、しかしながら患者さんによっては透析終了後であったり夜間就寝中に起こることがあります。
多くの場合は自然軽快しますが、稀に筋肉痛を残すこともあるそうです。
透析治療では、切っても切れない因果がありながら詳細なメカニズムに関しては究明されておりません。
ですので、私見も交えながら考察したいと思います。
原因
それでは治療中に起こる「こむら返り」・「筋痙攣」の原因は何なのでしょうか?
主たる原因は主に2つ考えられます。
それらを一つずつ考察していきたいと思います。
循環血液量の減少(血圧低下や除水速度過多、DWがキツイなど)
治療開始時は浸透圧も高く余剰水分も多いため補えていたものが、後半にかけて低下。
後半になるにしたがい血漿再充填(プラズマ・リフィリング)が除水速度に追いつくことが出来なくなり、末梢における循環が悪化します。
これらの要素が重なり最終的には血圧が低下、結果的に筋肉の収縮運動に血流が追い付かず、こむら返りを起こします。
これが一番見かけることの多い例だと思います。
このタイプの方は、週の前半・2日空きの時に除水が多いためにおきてることが多いように思います。
また、DWがきつめに設定されている場合も過除水となり循環血液量の低下を招きます。
しかしながら、除水過多の患者さんに関してはたいてい週の後半は大丈夫なことが多いのですが、DWがきつめの方はDWに近づく度にこむら返りを引き起こしますので毎回に近い形となります。
このように、発生頻度により背景要因が異なることもあります。
もし繰り返す方がいましたら、頻度にも注目してみてください。
電解質の異常
上記のように循環血液量由来のものが大半だとは感じますが、こちらも重要な要因となります。
筋肉の収縮には電解質が重要な働きをします。
すごく大まかにですが、筋収縮は、
アセチルコリンが骨格筋上にある受容体に結合した際にNaチャネルが開く。
Naイオンが筋細胞内に流入し、脱分極が生じる。
活動電位が発生しT管系の深部まで伝藩、Caチャネルを介し筋小胞からCaイオンを放出
CaイオンがトロポニンC結合し、トロポミオシンが移動
アクチンとミオシンの相互作用が生じ収縮する
このような過程を経て行うのですが、上記にNaイオンとCaイオンが出てきていますね。
つまり、筋収縮でNaとCaはとても大切な役割を担っていますので、これらが不足してしまうと筋収縮がうまく行えなくなり筋痙攣を引き起こすと考えます。
透析患者に関して、電解質の異常は切り離せません。
Caイオンも、重曹透析液でのクエン酸によるキレートやエテルカルセチドの投与等で低下しがちですので注意しいてみてみるとよいかもしれません。
他には
他にも、L-カルニチンの低下や血清Mgの低下等も原因になると言われています。
また、筋力の低下等も影響があるとの事が言われており日本理学療法学術大会でも運動療法と筋痙攣の学会発表があったりしますので、興味のある方はみてみてください。
予防と対応
体重の増加を多くしすぎないことが挙げられます。
おおよそですが、体重増は3~5%が良いと言われています。
日本透析医学会のガイドラインでは、「中2日の体重増加は6%未満にすることが望ましい」と記載されています。
患者さんに体重の事を言うのは心苦しいですが、心を鬼にしてください。結果的には患者さんの為になります。
また、医師と相談をしてDWの状態がどうであるかを再評価してみるのも良いかもしれません。
発生した際は循環血液量の保持を行いながら筋痙攣に対し対応します。
一般的には、除水の停止や補液・10%Naやカルチコールの静注だと思います。
同時に、湯丹保や筋肉を収縮と逆に引っ張ったりして症状を和らげます。
また「芍薬甘草湯」の内服も効果がある症例もあるとの報告があり、予防的に内服されている患者さんも多い印象です。
経験上、有効な患者さんも多いと思います。ですので何か薬はないのかと言われた際には勧める様にしています。
まとめ
雑多ですが、私見も含め「こむら返り」「筋痙攣」に関して書かせていいただきました。
対応がうまくいくと、自分の自信にもなります。また、患者さんからの信頼度もアップです。
たった一つの症状に関しても様々な要因が絡み複雑化していきますので、まずはどの原因が一番近いのかを患者背景やデータをみて考察してみてください。
考えることで患者さんへの理解度も増しますので、良いことだらけです。
最後にいつも自分が参考にしている医療雑誌のリンクを貼っておきますので参考になればと思います。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
CE ガッチ
参考文献
・ 臨床透析 34巻7号 「透析医療と合併症」キュア&ケアガイドブック
ー栗原玲 CQ35 透析中の”下肢筋につり(筋硬直)”への対応・対策はどのようにおこないますか?