いくら大金を手に入れても幸福にはなれない理由
宝くじで1億円が当たったら何をしようか?
旅行して、車を買って、ローンを返済して、いくら貯金して、ということを誰もが1度は考えたことがあるんではないでしょうか。
想像するだけで夢が膨らみますね。
もっともわたしは宝くじを購入しないので、その夢が叶うことはありませんが。笑
宝くじの高額当選者の幸福度
大金を手に入れると多くの欲しいものを手に入れ、多くのしたいことをすることができ、多くの欲求を満たすことができます。
そういう状況を幸福だと思うかもしれません。
しかし、それを覆す調査結果があります。
昔、アメリカの社会心理学者フィリップ・ブリックマンが宝くじの高額当選者の幸福度を調べました。
その結果、宝くじの当選直後はみんな以前より幸福度が高くなったと答えましたが、その1年後には宝くじ当選前の幸福度と変わらないと答えました。
宝くじで大金を手に入れたにもかかわらず、わずか1年後にはその生活が日常となってしまい幸福を感じなくなってしまったのです。
学生時代の経験
宝くじでではなく、もっとスケールは小さいのですが、わたしは学生時代に400㏄のバイクが欲しくて欲しくてたまりませんでした。
バイクがあれば夢のような日々を送れると思っていました。
親には反対されたので、勝手にアルバイトを始め、そのバイト代で中型二輪の免許を取り、欲しかったバイクを手に入れました。
バイクを手に入れた直後は毎日が刺激的で楽しいと感じました。
しかし、その感覚は長続きしませんでした。
いつの間にかそれが普通になり、バイクに乗ることや所有していること自体に喜びを感じることはありませんでした。
そしてしばらくすると、車があれば夢のような日々が送れると思うようになりましたが、車の免許を手に入れて車に乗るようになっても結局はバイクの時と同じことの繰り返しでした。
ヘドニック・トレッドミル現象
こういった幸福度が元に戻ってしまうことを、ヘドニック・トレッドミル現象と呼ばれています。
ヘドニックとは快楽のことで、トレッドミルとはランニングマシーンのことです。
ランニングマシーンでいくら走っても同じ場所にいるだけで、見える景色は変わりません。
そして、ランニングマシーンにはゴールがないように、幸福感や快楽にも終わりがありません。
わたしたちは物やお金で一時的な喜びを得られたとしても、それは長続きしません。
しばらくすればそれに慣れてしまい、さらに上の物を求める性質があります。
それ自体は悪いことではありませんが、欲求の赴くままに行動しても幸せには慣れないことが分かります。
足るを知る
老子は「知足者富」ということを説いています。
足るを知る者は富むとは、すでにあるものに感謝する人は豊かになるという意味です。
ここで言う「豊か」とは、物質面というよりかは精神面のことを指しているので、「幸福」に置きかえることができます。
無いものばかりに目を向けるのではなく、足るを知り、すでに与えられているものや普段当たり前と思ってしまうことに感謝して生活していきたいですね。