1 この釣りの概要について

 毎年5月~7月頃に、主に千葉県の外房、勝浦沖では、深海魚のイシナギが産卵のために、70m前後の瀬周りに乗っこんで来ます。(状況により、ちょっと深い所も)

 この釣りは、普段は400~500m程の深海にいる超大型の根魚のイシナギをスルメイカの泳がせで釣る釣りになります。

 釣れるサイズは非常に幅広く、5キロ程のものから100キロ超の魚までとなっています。サイズは選べないものの、主に釣れるのは20キロ前後の魚が主流となっています。

釣れるサイズはバラバラですが、20キロ前後が多い、一番奥のは50キロクラス

2 この釣りの流れや釣り方の特徴について

 この釣りは、外房の勝浦の川津漁港から出港する「基吉丸(https://ameblo.jp/genzo23/)」さんが一番詳しく、多くの釣果の実績が挙がっています。神奈川の方でも釣れますが、仕立て船(チャーター船)しか扱っていない所ばかりであまり乗り合いが主流ではありません。

 外房では、大体朝3時半頃に集合して、4時に出船し、それからエサとなるスルメイカをまず釣ります。

一人分でこれだけイカがいると高確率でイシナギが釣れます。

 このエサとなるスルメイカ釣りが重要で、このイカが確保できないと、事前に各人で用意した死んだスルメイカ等を使用することになるため、釣果が望めないことも多々あります。

 外房のこのスルメイカ釣りでは、水中ランプ(常連さんのお勧めは白、私はいつも青を使用)をし、18センチのプラヅノを使用して釣ります。

 私は、外道でサバが来るのと、渋い時は直結ではイカが乗らないので、5本のブランコ仕掛けを使っています。

ブランコ仕掛けがおススメ、仕掛けは常に新品を使用すること(ケチるのはダメ)

 イカ釣り仕掛けも釣れないとイシナギ釣りが成立しないので、毎回新品の仕掛けを使います。船長も使い回しの仕掛けでは、イカが釣れないと言っています。それぐらいシビアにイカを釣らないといけません。

 このイカ釣りを2時間程やって、朝の7時頃にイシナギのポイントに向かいます。

 なお、イシナギの釣りは、10時30分までと決まっているため、実質3時間程の釣りになります。

 必要なイカの数は大体5~7ハイはあれば良いと思います。少なくとも生き餌を3ハイ確保すれば、高確率でイシナギに出会えます。

 当日釣ったスルメは死んでも、エサとして非常に効果があり、スーパーで買ったエサよりもはるかに釣れます。(イシナギが食って死んだイカもエサとして使え、それで釣果も上がっています。)

 釣り方については、仕掛けを投入後、底から3~4mの棚をキープし続けるのが大切です。

この釣りでは置き竿が基本(棚取りはマメにすること)

 ここで注意しなければならないのは、1分毎ぐらいの間隔でマメに棚を取らないと根掛かりをすることがあります。

 釣り場は緩やかな起伏がある根で高低差が大体10m程で、まめに棚を取らないと錘が根にぶつかって竿先に影響が出ているのか、それとも本命が食っているのかがわかりません。

 棚を取る時は、手に持って棚を取る必要はなく、クラッチを切って底に一旦着底させてから、3~4m上げて棚を取るというやり方になります。

 穂先にぶつかるような反応が出た場合は、すぐに巻いて棚を取り直して下さい。

 もたもたすると根掛かりします。(60号のハリスは切るのが大変危険です。)

 イシナギの当たりは最初、竿先にわずかな当たりが出てそれからしばらくしてぐいっと竿先が絞り込まれるので、それから電動巻き上げをしながら合わせを何回も入れて確実にフッキングさせます。

 なお、この合わせももたついているとバレる原因になりますので注意が必要です。

 特に、ウルトラ最強ラークⅡを使っていると、安全レバーがフロントにあるので、これを前当たりがあった段階で外しておかないと、合わせが遅れる原因となります。

 前のレバーが外れていてもこのラークは外れたりしないのでご安心を。

 なお、手持ちで誘いをかけると絶対に釣れないので注意が必要です。

 他の釣りサイトや雑誌等でカンパチのように誘いが重要と書いている船もありますが、これをやると間違いなく釣れないというやり方なので絶対にやらないでください。

 ドラグに関しては、最初からフルロックにする必要はなく、ややきつめに設定(糸を強い力で引いて出るぐらい(10キロ程))し、合わせの際に糸が滑って出ながらするような合わせにしないような微妙な調整が必要です。

 極端なドラグ調整をすると、高切れしたり、バラシの原因になります。

 イシナギのファイトは、最初はイシナギに走られて糸が出ていきますが、瀬ずれをすることはなかなかないので、それほど焦ってやり取りをする必要はありません。

長さはないものの、イシナギは体高があります。写真は22キロの個体

 大きな獲物でも耐えていると、船長が操船を上手くしてくれて、船底で糸が擦れるなどの不安要因を取り除いてくれます。

 電動の巻き上げをHIにしていると、負荷がかかりすぎて、ブレーカーが落ちることがあるので、8割ぐらいの巻き上げ速度にするのが大切です。

 モードは掛けるまではスピードモードで、掛けてからパワーモード(楽釣モード)にするのが良いです。

 取り込みは、大型の場合、数人で引き上げになります。20キロ程のものは船長がギャフで引き揚げてくれます。

 釣れたイシナギは船のクーラーに一旦保管され、港で自分のクーラーに入れます。

 イシナギは、肝臓にビタミンAを多く含むので、食べると中毒を起こすので食べてはいけません。(かなり危険)

3 使用するタックル等について

【竿について】

《イシナギ釣りの竿について》

 注意点として、泳がせの竿は250号を乗せてあまり曲がりすぎないものでないとダメです。ダイワ製品など錘負荷250号と書いてあるものの中には、250号を乗せると釣りにならないぐらい曲がるものがあるのでダメです。

 逆に硬すぎると、この釣りは当たりを待つときに、ロッドホルダーに固定したまま待つので、うねりがある時に仕掛けが上下しやすく、食いが悪くなることも多いです。

 そのため、泳がせ用の短い竿ではなく、1.8m程の少し長めの竿の方が、ミヨシで釣り座を構えることになった場合には、釣り易いです。

 しかしながら、長いと少しやり取りの時にリフトし辛くなるので、個人の体型にあったものを選んだ方が良いです。

 《イカ釣りの竿について》

 イカ釣りの竿ですが、錘が150~180号(200号を使用するとフォールでイカが付きづらいのであまりお勧めしない。)を使用するので、やや硬めの竿が最適です。

 1.7m程の竿で問題はないのですが、うねりが酷い時などは、私は2m近い竿を使って確実にイカをキャッチできるようにしています。

 製品としては、ヤリイカ竿で大丈夫です。

 なお、イカ専用竿以外を使うとはっきり言って釣れません。

 何度も言いますが、このイカを釣れない人は、イシナギは釣れません。

 釣れなくても他の人はイカをくれません(それぐらい釣れない、釣れても船中1ハイの時もある)ので、自分で確保しなければボウズになるのはほぼ間違いないです。

【リールについて】

 《泳がせ用のリールについて》

 リールはダイワの800(750)番サイズ以上、シマノなら6000番サイズ以上となります。ラインはPE10号を使います。

 ラインが細いと潮の影響は受けにくいですが、サイズを選べないため掛けた後が不安になります。

逆にラインが太いと潮の影響受けすぎて、釣れなくなるので、やはりPE10号が最適となります。

 リールのハンドルはお金に余裕があれば交換した方が良いですが、根に走らないのでこの釣りではそこまで必要はないのかなと思います。(純正ハンドルは短いのでファイトがやり辛くはありますが)

《イカ釣り用のリールについて》

 ダイワなら300番から500番、シマノなら2000~3000番サイズが良いです。

 テンションコントロールができる機能が付いているシマノの方が若干ですが、向いていると思います。

 道糸はPE3~4号を使用します。渋い時はPE3号でやりますが、それほど道糸の太さは気にしなくてもいいです。

《ロッドホルダーについて》

 ロッドホルダーは、頑丈な物が必要になります。

 特に、固定用の足が一つの物(アジや真鯛のコマセ釣りで使うようなもの)では強度的に弱く、イシナギの本当たりで破損したり、クランプが外れたりする可能性があります。

 おススメとしては、ラークのウルトラ最強ラークⅡですが、これは基本的にウィンチ用になるので、それに準ずるような強度のあるロッドホルダーを使用することが大切です。

 シマノのロッドホルダーを使用すると、クランプの強度がないので、破損する可能性があります。(他の釣りで経験済み)

《タックルの一例》

 下記で私が使用しているタックルについて紹介しています。

  【泳がせタックル】

 〇 竿:剛樹 スタンディングディープ 195S(状況によりスタンディングバイトMR170を使用)

 〇 リール:シマノ 19ビーストマスター6000(19シーボーグ800MJS)

 〇 道糸:PE10号500m、リーダー:ナイロン60号

 〇 ハリス60号、幹糸60号、親鈎:石鯛鈎20号、孫針:泳がせ鈎30号

 〇 錘250号

  【イカ釣り】

(メインタックル)

 〇 竿:剛樹 スクイッドロゴス155H

 〇 リール:ダイワ 16シーボーグ300MJ

 〇 道糸:PE3号 400M

 〇 プラスッテ18センチ、ブランコ仕掛け、5本針使用

 〇 錘150号~180号

(時化ている時など)

 〇 竿:剛樹 スクイッドロゴス190M

 〇 リール:ダイワ 19シーボーグ500MJ

 〇 道糸:PE4号 500M

 〇 プラスッテ18センチ、ブランコ仕掛け、5本針使用

 〇 錘150号~180号

4 仕掛けについて

市販の仕掛けもありますが、太すぎたり、針がダメなものを使っていたりするので、基本的には船で船長の仕掛けを購入する方が良いです。(市販品の方が値段がかなり高いし、釣れないので)

基吉丸船長の仕掛け、親針の作り方が特殊です。

 一応、仕様を書きます。

なお、作り方がかなり特殊なので(細部知りたい人は、リンク先を見て下さい。

リンク→ https://tyokinbako9901.jp/archives/1070

 幹糸60号を2.5m、ハリスは60号を3m、捨て糸は14号を10センチ、針は親針が石鯛鈎20号、孫針が泳がせ30号です。

 クエ鈎やムツ鈎等のネムリ針を使うと合わせを入れる釣りなので、フッキングせずバレることが多いそうです。

 また、市販品は、鈎が大きく、かつハリスが80~100号と極端に太く、潮の影響やエサのイカが弱りやすいです。

 当然ながら、仕掛けはスリーブを使っての結節になります。

 錘は250号を使用します。根掛かりが多い釣りなので、最低3つは必要です。

 錘の形状は、スカリーが一番潮の影響などを受けにくいと感じています。(スカリーは潮の影響を受けにくいので、竿先にいらない情報が入らないため)

5 まとめ 

イシナギ用の道具とイカ釣り用の道具の2つを揃えないといけないので結構な出費となりますが、レンタルタックルもあり、気軽に挑戦ができます。

 しかしながら、サイズが選べない釣りで、非常に危険な釣りであることだけはしっかりと認識してください。(糸が太いのでそう簡単に切れないので、根掛かり等で大怪我をする可能性もあります。)

 釣れている時は、初挑戦でも釣れるので、ブログ等でタイミングを見て挑戦する方が良いです。

 ただし、前日までの釣果で釣れないからと言ってキャンセルをするのはマナー違反です。

 この釣れる時は簡単に釣れるので、メモリアルフィッシュを釣ることができるので、おススメの釣りの一つです。

運が良ければフォークリフトで吊るすサイズも釣れます。

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