俺「なんか嫌いなものある?」

りえ「きゅうりかな」

俺「じゃあきゅうり専門店に行こっか」

りえ「やだー」

りえと待ち合わせてすぐの会話だった。

**

りえとは読書家向けの恋活イベントで知り合った。

当時俺は2日で1冊のペースで本を読んでいた。
自分で言うのもなんだが読書家だったと思う。

イベントの参加者女性はもっと軽めのスタンスで参加している人がほとんどだった。
よく読む本が雑誌という女もいたし、明らかに普段それほど本を読まないよねって人もいた。

(こういう読書家という枠で区切られてしまうと、それに該当するか真面目に考えてしまうところが
非定型の特徴だと思う)

りえこそ雑誌をちょろっと読む女だった。

おすすめの一冊について話をするのだが、何人かと話して明らかに気づいた。
本の話をしても、それほど盛り上がらないのだ。

だから適当にその場のノリで話した。

軽い男の仮面を擬態して。

俺は一体何を話したんだろう。
(現在の自分のことを思えば、適当にその場のノリで話すということははっきりいって苦手である。
当時は精一杯真面目な態度で、しかし内容は適当な軽い話をしていたことになる。笑)

とりあえず参加者女性みんなと連絡先を交換した。

次々と連絡先を交換していくのは昔の俺ではできないことだった。

すでに交換した女性の目を気にしてしまうから。

だが自分の中で抵抗を感じながらも頑張ったのだ。

積極的に頑張った。短時間なら俺は頑張れる。

俺は本来はそういった会では決めた人とだけしゃべろうとするものだ。
(皆がそんなに真面目に考えたり、こだわりを持っているわけではない、多くの人と連絡先を
交換するのは戦略としては最適だとは思うのだが自分は抵抗がある)

その日は会が終わった後にりえを食事に誘った。

「・・・私でいいの?」

かわいいなと思って目星をつけていたのだった。

そして、なれない運転をして、ひやひやしながらも入れる店を探した。

りえは施設内で働く看護師だった。

色々と話を聞いているうちにあまり出会いのない環境であるのが伺わえた。

だからこんなにかわいいのにパートナーがいないんだろうな。

その日は適当に話して終わり、車で送っていった。

後日、読書家イベントでゲットした連絡先に同じ内容で同時に一斉送信した。

お誘いのラインだったが返事が帰って来たのはそのうちの4名だった。

【一人目】

教員

「いいですよ!ただはじめは二人きりじゃなくて、友達も一緒でいいですか?」
→パス

【二人目】

介護職

「いいよ!」からの何度かラリーからの~

「私のどこをいいと思ったんですか?」
→パス

【三人目】

アラフォー美容系

「私には素敵すぎる人だと思うので・・・」

社交辞令により断られる。


四人目。

りえだった。

「いいよー」

**

そして待ち合わせスポットで待ち合わせる。

一度は食事を一緒にしたものの、どんな顔だったのかはっきりと覚えていない。

俺はりえを見分けられるのか?

近づいてきて会釈してきた女の子がいた。

あ、こういう顔してたんだ。

俺「なんか嫌いなものある?」

りえ「きゅうりかな」

俺「じゃあきゅうり専門店に行こっか」

りえ「やだー」

(次回へ続く)

 

 

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