六語で感謝を
米国には Six Words Memoir (6語のメモワール)という作文形態がある。米国が誇るアーネスト・ヘミングウェイが、バーで6語で小説を書いてみろという挑戦を受けたことがその始まりだと言われているが、現在では小学校の授業に取り入れる教師がいるほど人気のある作文だ。
その名の通り6個の単語を使ってメモワール(回顧録)を書いてみるというもので、ポエムに近いが、基本的にフィクションではなく自分自身の体験や思いを語るものだ。ちょっと日本の川柳に近い。
New York Times が今日、読者から募集した感謝祭に寄せる Six Words Memoir を掲載した。テーマは「2020年に感謝していること」である。その中から印象的なものを、拙い日本語訳と共にここに記載したい。
そこには、パンデミックを生きる米国の普通の人々の姿が見えてくる。
The crinkling eye above the mask.
マスクの上の笑い皺を寄せている目The backyard haircuts are getting better.
だんだん上手になっていく裏庭床屋Miss family, but safer for them.
家族に会えなくて寂しいけど、でもそのほうが彼らはもっと安全だからSaved a lot of lipstick money.
節約されたたくさんの口紅購入費More homemade pasta, no more jeans.
手作りパスタをいっぱい、ジーンズはもう履かない (履けないかな笑)No shame in elastic-waist pants.
ウェストがゴムのズボンも恥ずかしくないしBraless at home? No one cares.
家でノーブラ、誰も気にしないしMom, 87, rocking pretty, pandemic ponytail.
87歳の母、パンデミックのポーニーテールが揺れててかわいいNo better excuse to avoid in-laws.
これより上手い義理の実家に行かなくてすむ言い訳はないSunny mornings, a window facing east.
晴れた朝の東向きの窓My bicycle, the trail, each morning.
バイク(自転車)で毎朝トレールを走るWindows have never been so important.
窓がこんなに重要だったことはない5329 games of solitaire, won 5286.
ソリティアを5329戦やって5286勝!Throwing the football with my sons.
息子とフットボールを投げ合うI am thankful to be thankful.
感謝できることに感謝するNever been social; now I’m good.
もともと社交的じゃない、今いい感じI am bored, but not dead.
退屈だよ、でも死んでないAmbulance took him. He came home.
救急車が彼を連れて行った。でも、彼は帰ってきたI held my dying husband’s hand.
死んでいく夫の手を握れたことHeld my son as he died.
息子が死んだ時に抱きしめることができたことHealthcare workers. Healthcare workers. Healthcare workers.
医療従事者、医療従事者、医療従事者
Thankful for learning, in my pajamas.
パジャマで授業にでれること!High school, even in a pandemic.
パンデミックでもハイスクールがあることに感謝Survived first semester of online university.
大学のオンライン授業で最初の学期を生き残れたよAmericans waited in line to vote.
米国人が投票のために長い行列を待ち続けたことThanks for voting, Americans. — Immigrant scientist.
アメリカンよ、投票してくれてありがとう、移民の科学者よりThe women who came before me.
私の前に戦った女性たち (米国初の女性副大統領に選出されたカマラハリスのスピーチから)Aunt’s Jell-O salad not gonna happen.
叔母の Jell-O サラダを食べなくてすむことSolitary Thanksgiving means no turkey. LOBSTER.
寂しいサンクスギビングは七面鳥なし。代わりにロブスター!
Empty calendar means frequent dinners together.
予定がが入ってないカレンダーは、家族一緒にディナーを食べられることが多いってことThere’s really more kindness than hate.
憎しみよりも親切のほうが、本当はより多く存在しているということ
ハッピーサンクスギビング!