『自分の道は自分で切り開け』
そんなこと言われても、アイは無理ができない性分です。
切り開くなんて力技は今まで実行したことすらなく、
抜け道を探すか、ギリギリまで粘って時間が解決してくれるのを待つか、
それぐらいしかできません。
ただ、諦めたことはないです。
ましてや自ら死を選ぼうなんて、冗談でも思わないですよ。
生涯を通して病と向き合ってきたアイに、自殺という道だけはありません。
病とは、理不尽の象徴。苦痛なく息ができるだけで、満足せよと教えてくれました。
社会に用意された様々な舞台は、自分が生きるためのエサ場に過ぎません。
エサ場の状況は刻一刻と変化するものですから、特定のエサ場に固執せず、
自分にとって不利益だと思ったら別のエサ場に移転すればいいだけです。
命賭けとか、カンベンしてくださいよ。
本人からすればオオマジメだったかもしれませんが、
他人からすればショーにすぎないんですから。
観客ごときに左右されるようではね。
ある偉大な皇帝は、こんな言葉を遺しています。
わたしのことを悪く言う人がいても憤慨してはいけない。
満足しようではないか、彼らがわれわれに剣を向けないというだけでも。