レビュー:トレーニングマッチ vs FC町田ゼルビア 1・2本目

2020/06/23

t f B! P L

リーグ再開まで2週間に迫ったトレーニングマッチ。
結果は90分×4本で1-0。得点はオウンゴールによる1点のみという内容。
結果はもちろん、内容的にもフラストレーションが溜まってしまった・不安になってしまった方も多いではないでしょうか。(ライブ配信を見ていた私がまさにそうでした)

しかし、待ちに待ったリーグ再開はポジティブな気分で迎えたいです。
そこで、コンディションや最後の精度といったところはリーグ開幕までに上がってくると信じ、チームとして狙いがはっきりと見えた部分にフォーカスしてレビューを書きたいと思います。結論から書くとそれは「サイドを崩すビルドアップ」です。

皆さんがこのレビューを読んで、再度トレーニングマッチを見返して頂き、ポジティブな気分でリーグ再開を迎えて頂けたら嬉しいです。
(90分×4本あるので、2回に分けて書きます)


<試合動画>
※最初にピィーという音が流れますが、元動画がそうなっていて36秒後に切り替わります...


<1本目>
メンバー:試合開始時
ザーゴが選んだ最初の11人がこちら。このメンバーがリーグ再開初戦のスタメンに最も近いのでしょうか。


2分 
この試合初めてのスンテからのビルドアップ。
町田と関川はサイドに開き、三竿はディフェンスラインの間に落ちる。(これはビルドアップのテンプレートです)スンテ→町田→三竿→関川と繋ぎ、関川からの縦パスを、名古が相手を引きつけてフリック、内田が抜け出す、という形。
審判が関川へのファール(アフターチャージ)を取りプレーが止まってしまいますが、早速右サイドの連携が見られました。関川の縦パスも速くて正確。


7分
ゴールキックからのビルドアップ。
三竿から町田へ繋ぎ、ボールを受けた町田がドリブルで前進、逆サイドの内田まで対角線のロングパス。
ボールは触っていませんが、ここでも名古が相手ディフェンダーを引きつける動きをして、内田にスペースと時間を与えています。町田は相手のプレッシャーを受けていましたが、こういうシーンで相手から遠い左足でプレーできるのが左利きのセンターバックの強みですね。


9分
ここでは関川にボールが渡った時点で、相手が町田へのパスを予測し先に動き出していました。それを感じた関川が相手の逆を取り、フリーの永戸へロングパス。
上記2・7分のプレーで、サイドに開いたセンターバックから縦パスを入れるという形が、相手への布石になっていたかもしれません。関川はワンステップでも強くて正確なボールを蹴れますね。


11分
町田から三竿へ横パスが出たところで、名古が裏へ抜け出す動きを開始。三竿から正確なロングパスが通り、最終的には名古の落としを受けたエヴェラルドのシュートで終わりました。ショートパスやサイドへの展開だけでなく、裏への一発もあるよ、と相手に守備の的を絞らせずらくする意味でも効果的なプレーだったのではないでしょうか。


15分
パスカットされてしまったシーンですが、左サイドでも、和泉が引いてきて永戸が抜け出すという、2分の右サイドでのプレーと同じ動きを見せています。ビルドアップ時のチームの約束事となっていることがわかりますね。


16分
ディフェンスラインの真ん中に落ちたボランチ(ここではレオ)から関川へと繋ぐところまではこれまでと同じ。しかし、このシーンでは、内田が縦に抜け出すのではなく足元でもらって受け、三竿に落とし、名古はこれまで同様一旦下がって受ける動き(フェイク)を入れるていますが、その後素早くターンして裏へ抜け出します。ボールを受けた三竿はダイレクトで名古にロングパスを通しました。
内田(サイドバック)が縦抜け出すパターンだけではないよ、というのを見せたシーンです。


17分①
1・2本目の最大の決定機に繋がるシーンです。
まず素晴らしかったのが関川。内田からのパスを受けると、利き足ではない左足で正確なロングキックを逆サイドの永戸へ通しました。
(なお、このシーンでも9分と同様、関川が蹴る前に相手選手が町田・レオへマークに行く動きを見せています。関川はその動きを感じてから逆を取る判断をしているのでしょうか?)


17分②
①の流れから、アラーノ→三竿→内田へと繋がったプレー。(この直後、内田がグラウンダーのクロス!エヴェラルドが触れれば1点!!!というプレー)
もちろん、内田の動き出し・三竿のパスも素晴らしいのですが、チームプレーという意味では名古の動きに触れたいです。ここでもビルドアップ時と同様、下がる動きをすることで相手のディフェンダーを引きつけ、内田にスペースと時間を与えています。


31分
このシーンも、町田にパスが入り、和泉が下がる、永戸が上がる、という定番の動き。しかし、ここでは、永戸のマークについていた相手が一瞬和泉の動きにつられ、永戸についていくのが遅れています。そこを逃さず、永戸はランニングのスピードをアップ、町田は裏へロングパス、というプレーを選択しました。


<2本目>
メンバー:開始時点は変更なし

メンバー:18分~
2回に分けて4人交代。
15分: 小泉in・レオ シルバout
18分:   土居in・アラーノout、広瀬in・内田out、犬飼in・関川out


22分
ビルドアップから、サイドバックではなく、サイドハーフが縦に抜け出す形。
三竿→犬飼と繋いだ後、広瀬がやや内側にポジションを取り犬飼とワンツー、名古が外側へ裏抜けする動きをして、犬飼からのパスに抜け出しました。
組み合わせが変わってもしっかり連携が取れています。


メンバー:25分~
4人交代。
上田in・エヴェラルドout、染野in・名古out、荒木in・和泉out、山本in・永戸out


28分
ディフェンスラインからパスが繋がり中盤まで進出、三竿→広瀬→小泉と繋がり、小泉のダイレクトパスから上田が抜け出しシュート、というシーン。
上田が動き出す前に小泉がパス、また上田も遅れることなく反応しており、プレーの共通認識があったと思われます。(これはチームとしてデザインされたプレーなのか?それとも上田と小泉のコンビネーションによるものなのか?)


34分①
このシーンではボランチ(小泉)がディフェンスラインの真ん中ではなく、右サイドに落ちています。犬飼→三竿→小泉→広瀬と繋がり、染野がボールを受けに下がり相手ディフェンスを引きつけた裏のスペースに上田が抜け、広瀬からの縦パスを受けました。
エヴェラルドと比較して、よりスペースを使う上田の特徴が出たプレーですね。


34分②
①の直後、上田がボールを収め、オーバーラップしてきた広瀬にパス。上田はそのまま下がってスペースを作る動きをします。空いたスペースに染野が顔を出し、広瀬とワンツー。広瀬のクロスに山本がボレーで合わせたシーンです。
ここでの注目は小泉。画面では見えない(①のシーンではまだ自陣にいる)ところから長い距離をダッシュ!この小泉の頑張りにより、中に4枚人数を揃えることが出来ています。しかも小泉自身はニアでフリーになっていました。


43分①
個人的にザーゴが理想とするサイド攻撃の形なのではないか、と感じたプレーがこちらです。
何度かビルドアップをやり直した後、三竿が相手の間を通し荒木へパス。このパスによって相手の中盤3枚の守備を無効化できており、荒木も前を向いてボールを受けられています。(荒木が前を向けているので、染野・上田・土居・広瀬も迷いなく、前へ向かって動き出しています)
荒木はドリブルで相手をひきつけた後、左サイドでフリーになっている山本へパス。


43分②
①の直後、山本がクロスを上げるシーンでは中に5枚揃っています。ニア・中央に染野と上田、ファーに広瀬、こぼれ球が狙える位置に土居と荒木。(結果は荒木のヘディングシュート)
ゴールとはなりませんでしたが、中盤センターの選手が前を向いてボールを受けられたことで、(相手を引きつけているので)サイドバックがフリーでクロスを上げる・(周りも迷いなく前に動き出しているので)中に5枚人数を揃えるという、得点の確率が高いシーンを作ることができています。


<まとめ>
まだ1・2本目だけですが、「サイドを崩すビルドアップ」に関してはチームとしての狙い・バリエーションが見えていて悪くないのではないでしょうか。(きちんと展開・崩してる回数が少なすぎる、最後のクロス・シュートの精度が低い、中央を崩す形が見えない、パススピードが遅い!前プレされた時にちゃんとビルドアップできるのか!?守備は!?コンディションは!?...などなどは一旦置いておきましょう)

サイドに開いたセンターバックがボールを持つ×サイドハーフが下げる動き×サイドバックが縦に抜ける動き、というテンプレートから今回取り上げたものだけで下記パターンが見られました。

同サイド
①センターバック→サイドハーフ→縦に抜けたサイドバック
②センターバック→(サイドハーフの動きに釣られた相手の裏を取って)縦に抜けたサイドバック
③センターバック→サイドバックの足元→動きなおして縦に抜けたサイドハーフ
④センターバック→サイドバックの足元→ボランチ→動きなおして縦に抜けたサイドハーフ
⑤センターバック→サイドバックの足元→(サイドハーフが空けた裏のスペースへ)縦に抜けたフォワード

逆サイド
⑥センターバックから逆サイドへ対角線のロングパス
⑦センターバック→サイドバックの足元→センターバック→逆サイドへ対角線のロングパス

もちろん本当はサイドを崩すにしても一度中盤センター・バイタルエリアを経由する形、2本目の43分に見られたような、後ろ4枚(センターバック2枚+ボランチ)でビルドアップ→中盤センターの選手が前を向いてボールを受ける→(相手を引きつける、周りの選手が前へ動き出す)→フリーとなったサイドバックへパス→サイドバックからクロス時に中に4-5枚人数が揃っている、ような形が理想です。

しかし、中盤センター・バイタルエリアが攻略できない時、また相手の目線をずらし攻略しやすく為、ディフェンスラインからのビルドアップでサイドを崩すという形を持っていることは価値があるのではないでしょうか。

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