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日本シリーズ私のベスト3!【コラムその18】

11月21日、いよいよ日本シリーズが開幕します。

今年は色々ありましたが、まずはこの舞台があることを喜ばしく思います。そして医療従事者の方々のご尽力に深く感謝いたします。

 

さて、私が本格的に日本シリーズを見始めたのが1998年ですから、かれこれ20年以上になります。

今回はそんな私が印象に残った日本シリーズを3つ紹介したいと思います。日本野球最高峰の戦いなのですから、面白くないわけがありません!

 

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第3位 最強ホークスに俺流が挑む!2011年ソフトバンクvs中日

世間的には地味なシリーズということになっていますが、個人的にはこの日本シリーズは非常に面白かったと思っています。

なにせ当時のホークスは和田、摂津、ホールトン、杉内の4本柱がそろっており、森福、ファルケンボーグ、馬原のリリーフが控えていました。もちろん打線も強く、1番川崎から7番松中、8番松田まで全く隙はありません。

そして2位に17.5ゲーム差をつける圧勝劇を見せつけ、苦手としていたクライマックスシリーズも3連勝で畳みかけました。

 

一方の中日はチーム打点王が和田の54打点というめちゃくちゃな貧打でした。いくら統一球だからってひどすぎる。

しかし堅い守りと中継ぎ投手としては球界初のMVPを取った浅尾をはじめ、尋常ではないリリーフ陣でセリーグ連覇を果たしました。

 

とはいえ、どう考えても戦力的には圧倒的な差があり、先発と打線で劣る中日の不利は明らかでした。ホークスの4連勝を予想していた人も多かったように思います。

ところがどっこい、中日はシーズン通りの戦い方を貫き、1点を取り1点を守り抜く野球をソフトバンクに見せつけます。

第6戦まで、1点差ゲームが4試合、2点差ゲームが1試合というまさに中日野球を象徴するような試合を繰り広げました。

 

迎えた第7戦、山井から必死の継投で食らいつきますが、最後には力尽き3-0で負けソフトバンクが日本一に輝きました。

 


【2011年日本シリーズ第7戦】 ソフトバンク 対 中日 【ソフトB優勝】

しかしチーム打率がたったの.155だった中日を第7戦にまでもつれこませたのは、その年最終年だった落合監督の手腕であることは明らかでしょう。

 

内川のバットに落合監督がいちゃもんをつけてみたり、最後の最後に馬原が抑えから外されたり、得点が少ないシリーズにしては印象的なエピソードも結構多くあります。

地味ではありますが「勝つことが最大のファンサービス」と言い放った落合が最後の最後までその姿勢を見せつけた名シリーズだと思います。

 

第2位 セパ最多日本一同士!2008年西武vs巨人

セリーグの最多日本一を誇る巨人、パリーグの最多日本一を誇る西武が激突した2008年日本シリーズ

 

第6戦までお互い一歩も引かず、やられたらやり返すといった形でなんとどちらも連勝連敗のないまま3勝3敗で第7戦へもつれ込みます。

第7戦、西武は西口の暴投坂本のホームランで2点を失いますが、ボカチカのホームランで1点を返します。

 

巨人が2-1とリードし迎えた8回表。ここがこの日本シリーズ最大の見どころとなりました!

まず先頭バッターの片岡が越智にデッドボールを食らいます。ここでパーンと手をたたいて気合を入れる片岡が印象的です。

 

続く栗山の打席の初球、すかさず片岡は2塁へと盗塁します!

1点を取りに行くこの場面での盗塁は非常にリスキーですが、この盗塁にチームの片岡への信頼片岡の自信が見て取れます。

 

送りバントで1アウト3塁。3番の中島が放った打球はボテボテのサードゴロ。ここで迷わず片岡は本塁へ突入!

小笠原の懸命の送球も間に合わずついに同点に追いつきます。

 

これでツーアウトランナーなしとなりますが、越智も動揺したのか二つのフォアボールを与えます。

ここで打席に立つのは、ここまでシリーズ打率5割を超えるシリーズ男平尾!

ポーンとセンターへはじき返した打球は、西武ファンの夢を乗せたタイムリーヒット!


2008 日本シリーズ 第7戦 埼玉西武ライオンズ 8回表の攻撃①

最後は抑えのグラマンが締め、4年ぶり13回目の日本一を決めました。

 

この8回表の攻撃は今でも西武ファンの語り草になっており、そのころの西武のスモールベースボールを象徴する試合でした。

 

お互いに見どころも多く、私が見る限り最高レベルの日本シリーズだったと思います。まさに王者を決めるにふさわしい激闘でした。

 

第1位 東北の奇跡!2013年楽天vs巨人

この年の楽天は、とにかく24勝0敗1セーブの成績を上げた田中将大に尽きます。

26の貯金のうち24個を田中将大が挙げたのですから、田中将大による優勝と言っても過言ではありません。優勝を決めた1セーブまで含めたら25になるわけですし…。

 

とはいえ、逆に言えば田中以外では貯金を2つしかできていないとも言えますし、下馬評では総合力で勝る巨人有利がささやかれていました。

どんなに田中がすごくても日本シリーズでは多くても3試合(しかも中3日)が限度ですし。

 

初戦はこの年15勝を挙げ新人王に輝いた則本を送りますが、村田にホームランを浴びるなど2点を取られ楽天が敗れます。

 

しかし第2戦、マウンドに上がったのは絶対的エース田中将大でした。奪われたのは寺内によるホームランの1点だけで、見事に9回完投勝利を飾ります。

 

これにより勢いに乗った楽天は、第3戦で杉内を打ち砕き5-1と快勝します。

第4戦はシーソーゲームの末巨人が取りますが、第5戦は辛島と内海の好投で投手戦になります。

2-0と楽天リードで迎えた6回、マウンドに上がったのは則本でした。

普通に考えれば第6戦則本、第7戦田中で行くのがセオリーですが、この試合を取って田中将大で決めるという星野監督の気持ちが表れていました。

 

しかし土壇場の9回、村田のタイムリーで巨人が同点に追いつきます。なおもサヨナラのチャンスとなりましたが、ここを則本が乗り切ります。

すると10回、打席に入った則本はフォアボールで出塁します。1アウト1,2塁とすると、銀二がセンター前タイムリー!

則本が生還し、その裏を則本が抑えて勝利。楽天がリーチをかけます。


日本シリーズ第5戦

後で振り返ってみますとこの第5戦こそが最大の分かれ目だったように思います。そんな大勝負が田中のいないところで繰り広げられるのですから野球は面白いものです。

 

第6戦、満を持して田中がマウンドに上がります。

しかし5回にロペスに2ランを浴びるなど精彩を欠き、打線も巨人の菅野ー山口ーマシソンのリレーの前に沈黙。4-2で敗れ、2013年唯一田中が敗北を喫する試合となりました。巨人にも意地があります。

 

天下分け目の第7戦、マウンドに上がったのは美馬と杉内。しかし坂本のエラーで失点すると、岡島にタイムリーが飛び出し、前回同様杉内をノックアウトします。

4回には元近鉄戦士の牧田にもホームランが飛び出し、3-0とリードします。

美馬が6回を投げ切ると、7回からは則本がマウンドに上がります。2回をピシャリとしめ、リードを保ちます。

 

迎えた9回、楽天ファンみんなが待ちわびる中、マウンドに上がったのは背番号18、田中将大!

この時の楽天ファンによるあとひとつの合唱は、まさに球史に残る名場面です。

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2アウト1,3塁と一打同点のピンチとなりますが、代打の矢野を空振り三振に切って取り、楽天イーグルス創設9年目初の日本一に輝きました。


2013日本シリーズ第7戦楽天優勝 田中登板~胴上げ

震災間もない2013年だったことや3・11をひっくり返した11・3に日本一を決めたことなどから劇的な日本一だったと言われますが、純粋に日本シリーズとして最高傑作と言っても過言ではなかったと思います。

なによりシーズンは頼りきりだった田中以外のピッチャーでシリーズ3勝を挙げているあたり、楽天イーグルス全員でつかんだ日本一だったと言えるでしょう。

 

番外編 ネタの宝庫 2005年ロッテvs阪神

ある意味で後年最も語り継がれる日本シリーズでしょう。

4試合の合計スコアが33-4とロッテが完膚なきまでに叩きのめしたこと、第1戦でまさかの濃霧によるコールドがあったこと(日本シリーズ初)などから、いまだに関係ないところで33-4と書き込まれ「なんでや阪神関係ないやろ!」と返されるなどネタにされ続けています。最初にネタにしたのはNHKなのですが…

 

ただ改めてスコアを見ると、意外と4試合とも中盤までは接戦だったりします。JFKと呼ばれた鉄壁の中継ぎ陣がいたはずなのにどうして…。

 

一応阪神のフォローをしておくと、2003年の福岡ダイエーホークスとの日本シリーズは第3位にいれるか迷うくらいの名日本シリーズでした。

最強100打点カルテットに挑み第7戦までもつれた大熱戦でした。なのにどうして…。

 

4.まとめ

これ以外にもロッテが史上最大の下克上を完成させた2010年や、満塁ホームランが乱れ飛んだ2004年などもありますが、今回はこの3つを選ばせていただきました。

 

日本球界の頂点を決める日本シリーズですが、2012年を最後にパリーグの優勝が続いています。もはやパリーグのクライマックスシリーズの方が厳しいと揶揄されるほど。

セリーグのチームにもそろそろ意地を見せてほしいものです。でないと日本シリーズが盛り上がりませんからね!

 

 

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