隣のトイレ:Nちゃんのお母さん
隣のトイレ:30代女性の体験談
祖母が亡くなり、一週間ほど経った日の事です。
母と二人で近所のスーパーに買い物に行きました。
急にトイレに行きたくなった私は、スーパーのトイレへと向かいました。
するとすぐに誰かが入ってきて、隣の個室に入る音が聞こえました。
小さいスーパーで、めったに人が入ることのないトイレだったので、
「お母さんも行きたくなったのかな?」程度に思っていました。
しばらくして水を流す音が聞こえ、扉が開く音と足音を残して、
その人は去っていきました。
トイレから出ると、母は近くにあるソファーに座って待っていました。
「母さんもトイレ入ったの?」と聞くと、「入っていない」との答え。
「じゃあ、誰か他の人が来たのか。」と言うと、「誰も来ていない」と。
でも間違いなく、誰かが隣に入った気配は感じていました。
シングルマザーとして私を育ててくれた母。
おばあちゃんはよく、私たちの事を心配してくれていました。
もしかしたらおばあちゃんが、私たちの事を心配して
見に来てくれていたのでしょうか。
Nちゃんのお母さん:40代女性の体験談
わたしが小学校高学年の時の話です。
当時、仲良しの女の子Nちゃんのお母さんが体調を崩して
ずっと入院をしていました。
Nちゃんのお母さんとうちの母も仲が良かったこともあって、
母はいつもお見舞いに行ったり、その女の子のために夕ご飯を作りに行ったり
していました。
わたしは数回しかNちゃんのお母さんに会ったことはありませんでしたが、
とても優しくしてくれて可愛がってくれました。
ある日ひとりで留守番中に、廊下の方から名前を呼ばれた気がして、
見に行ってみましたがやはり誰もいません。
不思議に思っていると母から電話がありました。
Nちゃんのお母さんが亡くなったよ、と。その時間はまさしくわたしが
廊下から名前を呼ばれた時間でした。
怖くはなかったけど、優しい声はきっとNちゃんのお母さんだったと思っています。