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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語648 第21帖 乙女3】源氏の若君 夕霧が元服の式を挙げた。大変華やかな祝い事であったが、源氏は考えがあり夕霧は六位の浅葱の袍《ほう》を着せた。大宮は言語道断だとお嘆きになった。

第21帖 乙女3です🪻


故太政大臣家で生まれた源氏の若君の

元服の式を上げる用意がされていて、

源氏は二条の院で行なわせたく思うのであったが、

祖母の宮が御覧になりたく思召すのがもっともで、

そうしたことはお気の毒に思われて、

やはり今までお育てになった宮の御殿でその式をした。

右大将を始め伯父君《おじぎみ》たちが

皆りっぱな顕官になっていて勢力のある人たちであったから、

母方の親戚からの祝品その他の贈り物もおびただしかった。

かねてから京じゅうの騒ぎになるほど

華美な祝い事になったのである。

 

初めから四位にしようと源氏は思ってもいたことであったし、

世間もそう見ていたが、まだきわめて小さい子を、

何事も自分の意志のとおりになる時代にそんな取り計らいをするのは、

俗人のすることであるという気がしてきたので、

源氏は長男に四位を与えることはやめて、

六位の浅葱《あさぎ》の袍《ほう》を着せてしまった。

大宮《おおみや》が言語道断のことのようにこ

れをお歎きになったことはお道理でお気の毒に思われた。

源氏は宮に御面会をしてその問題でお話をした。

🪻🎼#凛 written by #Fukagawa

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【平家物語26 第2巻 西光被斬②〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷


額に汗をみなぎらせ、真蒼《まっさお》な顔に息使いも荒く、

西八条の邸に入ってきた行綱に、

家来達も驚いて、早速、清盛の所に知らせた。

「何、行綱だと? めったに来もしない奴が、

 又何でこんな夜中にやって来たんだ? 

 とにかくおそいから、わしは逢わん、

 盛国《もりくに》、お前が、言伝てを聞いてこい」

清盛は傍らの主馬判官《しゅめのはんがん》盛国にいった。

暫くして盛国が戻ってきて、

「何か、直《じ》きじき、お話したいとか」

「直きじきだと? 一体何だろう?」

 さすがに清盛も、行綱の唯ならぬ様子に、

何事か起ったのかと、不安になってきて、

自分で渡殿《わたどの》の中門まで出てきた。

「この夜更けに、一体、何の用で、わしに逢いたいのじゃ?」

「実は、昼のうちは人目につきやすく、

 中々その折もございませんで、

 夜中お騒せしてまことに心苦しいのですが、

 このところ、後白河院の御所で、兵具《ひょうぐ》を整え、

 軍兵《ぐんぴょう》を召集しているご様子はご存じでございますか?」

「ああ、あれか」

清盛は、人騒せな男だと思いながらのんびり答えた。

「あれは、何、叡山攻めの仕度じゃよ」

「それがそうでないのでございますよ」

行綱は、身近く清盛の側に寄ると小声で囁いた。

「実は、平家ご一門に関る事でございまして、

 れっきとした謀叛《むほん》の準備なので」

「えっ?」

 清盛も一瞬、さっと顔色を変えた。

今の今まで、

のんびりと行綱と話をしていた清盛とは人が違った様だった。

目がきっと坐り、眉がぴりぴりと動いた。

体が小きざみに震えて、今にも行綱にとびかかりそうである。

「院はご存知なのであろうか」

「もちろんでございますとも、第一、軍兵の召集は、

 院宣《いんぜん》ということでお集めになりましたもので、

 ご存知にならぬ筈はございません。

 いつぞや、鹿ヶ谷の山荘で、院もお出での席、

 こんな事もあったのでございますよ」

と陰謀の始めから終りまでを、

ある事ない事まぜこぜてしゃべりたてた。

清盛はまなじりをぴくぴくさせながら、

それでも最後まで聞いていたが、

「うん、わかった、ご苦労だった」

というが早いか、自ら、大声で、

侍達を呼び集めに奥に入っていった。

「既に火は放たれた」

火つけ役の行綱は、

任を果した安らかさと同時に

良心の呵責《かしゃく》も加わって、

別に追手などいるわけもないのに、はかまのもも立ちを高くとると、

そのまま外へ逃げ出し、家に帰ると、ひっそり小さくなっていた。

 清盛は、一族郎党をその夜の内に、

ひそかに西八条の邸に召集した。

寝耳に水の謀叛の知らせに、

人々はまだ、半分、耳を疑ってはいたが、

とにかく清盛のお召しなので、

右大将宗盛、知盛らの諸将も甲冑《かっちゅう》に弓矢という、

完全武装で集ってきた。

その数はおよそ六、七千騎であった。

🪷🎼#荊の庭 written by #稿屋 隆

 

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【平家物語26 第2巻 西光被斬①〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷


山門の衆徒が、前座主《ざす》の流罪を妨害して、

山へ連れ戻した知らせは、後白河法皇をひどく怒らせた。

「山門の大衆どもは、勅命を何と心得えて、

 このように言語道断のことをするのだろうか?」

側に侍《はべ》っていた西光法師も、

前座主帰山の知らせに何か手をうたなくてはと、

考えていた矢先だから、ここぞとばかり、一ひざ進めると、

「山門の奴らの横暴な振舞は今に始った事ではございませぬが、

 此度は又以ての他の狼藉《ろうぜき》振り、

 これは余程、厳重な処分をいたさねば、

 後々までも禍恨は絶たれぬものと思います」

したり顔に申し上げた。

とにかく讒臣《ざんしん》は国を乱すということわざがあるが、

西光らもその良い例で、何かと、

自分の都合のよいように法皇の心を引き廻していたともいえる。

 

こんなうわさが山門にまで伝わってきて、

中には、

新大納言成親に命じて既に山攻めの仕度が始ったなどという者もあり、

そうなってくると、

「勅命にはそむきたくない」

「いや勅命よりも座主が大事」

という二派に意見が別れて山門の中で、

仲間割れも起りそうな状態である。

妙光坊にある明雲前座主は、気がかりで仕方がない。

一度勅命を拒否した以上、今度はどんな目にあうのかと、

夜もおちおち眠れぬ始末なのである。

 

ところで話は変って、内外多事の情勢で、

この所、例の陰謀運動も、はかばかしくはかどらない。

とにかく平家は、びくともしない程不動の位置を保っているし、

六波羅の守りは固い。

一寸やそっとの謀叛《むほん》では、

さゆるぎもしそうもない現状に、

いち早く気づいたのは、鹿ヶ谷《ししがたに》の定連の一人、

多田|蔵人《くらんど》行綱である。

彼はかつて、新大納言成親から、

「貴方一人が頼みです。もしこの事に荷担下さるなら、

 恩賞は思いのまま、これはまあとっておいて下さいよ」

と弓袋《ゆぶくろ》の料にと白布五十端を送られた事があった。

貰ったものは、

遠慮なく、家人に使わせて、着服してしまったものの、

元来が気の小さい男だから、どうも不安で仕方がないのである。

大納言や西光は、

まるで簡単に平氏を滅すことができるようなことをいうけれど、

それも、あの人里離れた鹿ヶ谷でこそ、安々と通る陰謀であって、

実際、これが表に現われた時に、そううまくいくかどうか、

何よりも、先ず自分の命が危いのではないか。

彼らは、他人の命の事などさして気にもとめていないが、

自分にとっては大切な生命、

そうやすやすと殺されるのは真平《まっぴら》だ。

——そこまで考えてくるうちに行綱の胸の中には、

どうしても、この事を清盛に話してしまわなくてはという考えが、

次第次第に広がっていくのを押える事ができなくなってきた。

「返り忠をすれば、命は助かる、いやそれだけが、

 自分の命を助ける唯一の道だ」

そこまで考えると、もう居ても立ってもいられない気持だ。

今夜中に話してしまわなければ、

明日になれば又どんなことになるかも知れない。

とにかく早い方がいい。

行綱は、馬の仕度をさせると、

夜更けの京の街を、西八条めがけて走り続けた。

🪷🎼#巨大獅子 written by #マニーラ

 

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