その①の続き
今月3日、NHK BS世界のドキュメンタリーで、「素顔のボヘミアン・ラプソディ フレディを演じた男（原題:Freddie Mercury The Great Pretender）」が放送された。番組公式サイトにある通り、「フレディ・マーキュリーのユーモアと皮肉にあふれたインタビュー」は興味深い。番組の最後近くでの「（貴方は）天国に行くと思う」と問う聞き手に対し、フレディはこう答えている。
「いや、行きたくない。地獄がいい。面白いやつはみんな地獄行きさ」
確かにゾロアスター教の三徳である善思、善語、善行を実践、天国に行った善人は面白味のない堅物ぞろいだろう。フレディならずとも退屈で敬遠したくなる。確かマキアヴェッリも似たようなことを言っていたと思う。そんなフレディが大川隆法に霊言として、〝ヒーローの自分〟が天国に行けていないことに納得がいかない、と言うのか？
フレディの曲のひとつに Made in Heaven がある。文字通り“天の定め”を歌った作品で、邦訳付の動画もアップされている。「勘違いしないで欲しいのはこの曲はフレディがエイズにかかる前の曲である事。そしてソロ曲であった事。この歌を作曲した時のフレディはハーレム状態だったw 」という皮肉なコメントと共に、「エイズにかかる前なのに死を予期していたかのような曲ですね」という感想もあった。
ソロ曲を出した時は既に感染していたと思うが、エイズは潜伏期間の長い病であり、正式な検査をまだ受けていなかったのだ。当時は不治の病だったエイズ感染を“天の定め”として受け止め、余生を全て創作活動に捧げている。
大川によるフレディの霊言を紹介したサイトでは盛んに「ひなこ」氏が書込みしており、「フレディ本人の名誉を傷つけるだけでなく、多くのファンを傷つける」と非難している。ひなこ氏はツィッターもしていて、自称「活動もお布施も限界までしてきた幸福の科学の元熱烈リーダー会員」とのこと。
ツイートだけではひなこ氏がどれほどクイーンに入れ込んでいるのか不明だが、フレディやそのファンを最も傷付け、辱めたのは英国のメディアだった。フレディの死の直後、英国の一部メディアはここぞとばかり「堕落した同性愛嗜好者の人生」を糾弾、非難の矛先をバンドメンバーやファンにも向けた。同性愛を黙認した彼らにも道義的責任がある、ということだ。フレディの死で打ちひしがれている家族やバンドメンバー、ファンにさらなる追い打ちをかけている。
英国のメディアに比べれば、大川の戯言同然の“霊言”如き出来の悪いジョーク並だろう。私的には映画ボヘミアン・ラプソディのヒットに乗じ、LGBT啓蒙に利用している似権活動家やメディアの方を腹立たしく感じている。
'90年前後だったと思うが、JR北仙台駅近くのビルにかつて幸福の科学仙台支部があった。この宗教団体には全く関心がなかったし、いつの間にかビルから仙台支部も撤退したため、信者が得られずじまいだと思っていた。
しかし今回記事にするのでwikiに目を通したら、再び仙台支部が開設されていたことを初めて知った。先ず宮城野区に日本再建祈念館が2011年10月30日開設され、同日に仙台正心館が起工、翌年7月に開設された。仙台正心館のHPには施設内部の画像が使われているが、宗教施設というよりもカネにモノを言わせた金ぴかイベントホールの印象だった。
開設した2011年、3月11日に東日本大震災が起きている。特に海に面した宮城野区の被災は書くまでもない。震災後、続々と海外からキリスト教宣教団が被災地に来たことを河北新報で取り上げていたが、幸福の科学も震災に付け入っていたのだ。一仙台市民の私にはこれが最も怒りを覚える。人の不幸に付け入るのが宗教組織だが、震災は儲けの絶好の機会となるのだ。
先の霊言紹介サイトには、「幸福の科学は会員数が1000万人以上いるんだよな。よく信じられるな、こんなん」というコメントがあった。この会員数が正しいのかは不明だが、総じて宗教団体とは会員数を水増ししたがるものなのだ。日本人の場合は親戚や職場に信者がいると、付き合いで入会するケースも少なくない。
大川は故人となった各界著名人の霊言を語り、著書にしているそうだが、他にもかなり如何わしいものがあるようだ。2016年04月06日付ハフポスト記事名は『手塚治虫の霊言』遺族が困惑 「こんな言いぶりするわけないが...」。
大半の日本人は、「よく信じられるな、こんなん」と思うだろうが、同時に教祖の“通信”を通しての霊言を本気で信じ込む者もいる。主な研修・礼拝施設は日本全国で36もあり、それだけの数の施設を建てられる教団資産はスゴいとしか言いようがない。教団設立は1986年10月6日というが、30年でこれほど全国規模の組織になったのは不思議だ。
◆関連記事「震災を利用する者たち」
「フレディは幸せだった？」
「堕落した同性愛嗜好者の人生？」
よろしかったら、クリックお願いします 
