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今日のご遺体

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このブログが映画になりました!
2018年3月24日公開

映画「おみおくり」公式サイト


原作(原案)になった「このブログの本」はこちらです。
『今日のご遺体 女納棺師という仕事』
永井結子著(祥伝社黄金文庫 600円)




★故人の好物シリーズ「ろうそく」★
2014年03月31日
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カテゴリ:レア話
 
遺産分割、整理の話し合いは相続人同士でいつするのが適当なのか?

私の中では49日が適当だと思っていたのだが…。

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相続権の放棄とは…
被相続人が死亡して3ヶ月経過していても
【自己が相続人になったことを知ったときから起算する】
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長女曰く
「父親の銀行口座を凍結・解約するため」との返答

故人の口座は
金融機関側に「本人死亡」の情報が入ると口座がストップ
引き出すには相続人全員の委任状が必要
葬儀で急ぐ事は
「故人の口座から必要な金額引き出すこと」だろう
なぜなら最近のご老人は自分の葬儀代ぐらい貯金している。

逆にすぐ解約するとマズイ理由は
・故人の口座から引き落とし(光熱費・通信費)の有無
・振り込み(年金・その他)の有無

を考慮する必要がある。

そうそう一般の人の訃報の情報が金融機関に流れることはない。
実家は地方なので、どんな人でも地元新聞の「地域の訃報欄」に掲載される。
「隠密に葬儀をしたい」母としては速攻新聞掲載を止めた。

知り合いの葬儀屋さんは
「遺産関係の手続きは死後すぐやるとか聞かないし相談もされないな…」と。

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2月9日出発当日

関東は寝雪が残りながらも「やっと行ける」と安堵し空港行きバスを待つが
なかなか暮らせど来ない。
バスに乗れば45分で空港に着くのに道路は渋滞している様子…
やっと来た運転手に「これに乗ったら空港まで2時間かかります!!」

私たち夫婦同様「ギャッーーーー!!」って
キャリーを引きずりゼーゼー言いながら他の何組かの人と共に
駅に走って行き、なんとか飛行機に間に合う事ができた。

グッタリしつつ北海道到着
駅まで迎えに来た次女も「やっと来てホッとした~」と歓迎しつつ
長女に対する注意事項をうながしてきた。



父死亡の夜(2月7日)枕経を上げに坊さんと父方親戚が来た→『えっ?親戚に知らせたの??』

長女曰く「私はアタマ良いのに家族全員オカシイ私だけこの家の人間じゃない!」

2月10日に葬儀屋さんに来てもらい洗女と打ち合わせさせる。
長女曰く「洗女は東京のやり方持ち出す気でいるから、説明してもらう」と…。


次女は

「私は今まで聞き流してきたから洗女もそうした方が良い」
「ママが長女VS洗女でバトり神経ヤラれて憔悴して倒れそう」
「葬儀屋さんもわざわざ呼んで手間取らせるのが申し訳ないから呼ばないで欲しい」

との事だった。

忠告はありがたいが我慢する気が無かった
が、飛行機騒ぎでグッタリ疲れたので勘弁して欲しかった。

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帰宅すると、長女と旦那(義兄1)とその次男そして母がいた。
「げっ、なんでいるんだ?」とスルーし
まずは父に会わなければいけない。

2Fの仏間はタンス3組ある6畳
棺を取り囲むように【白布】が天井から床まで吊るされてボロを隠していた。

それにしてもやけに狭い!と思ったら
タンスの前にパイプベットがあり
それも白布で隠して棺を安置してあった。

「仏間だからこの部屋にしたのか?」
それにしては仏壇の扉は49日まで閉めるものだが全開OPEN
んーこれが北海道流?それともウチの宗派?がこうなのか?

仏間は導師と家族2人しか入れなく
「狭小で通夜かぁ…」
と他の人は茶の間で壁を向いて通夜を迎えた様子だ。


棺は一番安い【桐八】
私も一人でかつぐ事のでき
ネジもなくでカラーボックスより簡単に作れる。

今は棺や骨壷もネットで売っていて、それを持ちこむ人はあまりいないのが現実だが
Amazonで桐八が2万しないから送料入れても大分お得だ。

「パパに欲しいな…」と生前思っていたが
まだ健康な時だったし、管理が悪いとカビとか生えそうだから買わず終いだった。
購入したら自分ん家の棺なのだから
『棺カスタムしたらダメなのかな~』と思っていた。

話がそれるが…
痛車とか痛スノボーがあるから【痛棺】はダメなのだろうか?
棺前面に二次元嫁を描き、嫁の抱き枕と共に
「嫁(2次)と一緒にあの世に逝きたい」と願う人もいるのではないだろうか?

死という断絶や終焉の時、そのような趣味の物を持ちだしたら
「悪ふざけ」と捕らわれるのかもしれないが
今や結婚もしない車も買わないけど
アニメやアイドルには価値を見出し親近感を感じ
「俺たちが育てた!」
と本気で好きな人々は選挙権を百万単位で買う人だ。
凝り性の彼らは葬儀で嫁と共に逝けるのなら
その演出にメチャクチャ凝るのではないだろうか?

アイドルは肖像権があるし、大島優子も棺になるのは良い気がしないだろうが
秋元康やヒャダインがヤルと言えばAKB葬儀社とかスグ出来そうだ。
(あ、でも高くなりそうっ!)

冠婚葬祭はオプションという演出で売り上げを上げる業界である。
それに、アニメやアイドル好きの坊さんなんか間違いなくいると思う
痛棺を見て「故人の嫁も良いけど、ウチの嫁の方がもっといい」と
読経を上げるかもしれない。
冠婚葬祭業界は、消費できる購買層を自由度が低いだけで取り逃しているのではないだろうか?



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「パパ~来たよ~」と桐八の窓を開け父にご対面。

納棺師として気になったのが、棺の窓のアクリル版に砂ほこりが付きっぱなしだった件。
棺は倉庫でダンボールに折りたたまれた状態で保管されており
納棺する前に、ババババーっと組み立て持参する。
桐八はリーズナブルで回転率の良い棺も若干の砂ぼこりや木屑の汚れは必ず付いている。
窓を開けた時にアクリル板の中と外の両面を拭くのは当たり前の作業なのだが
「これも北海道流なのか…」と黙って拭き取って置いた。

当の父は確かに小汚く、髭もボーボーだし片目と口が開き歯も鼻毛も見える…。
でも【良い遺体】でした。

死後3日目、納棺されていた父
死んだ初日につけたドライアイスは溶けてなくなっていたが、臭くもないし変色もない。
闘病中の「病み疲れ」はあってもそれはメイクや処置でキレイに出来る類。


この仕事を通じて、父の遺体を見てやっと実感できたのが
「ご遺体は3、4日目が一番良い顔」
だと言える!と確信しました。

死に際の苦しみの表情も死後変化による筋肉の弛緩で表情がゆるみ穏やかに見える

父を見てグッと胸が熱くなったのは
「眉間に全然しわが無くて、父は苦悩を感じていない」そう思えたから…。
「楽になれたんだ、ヨカッタ。」
そう安堵出来た事がとてもありがたく、父に対して感謝の気持ちで泣けたのです。

色んなご遺体に接すると、頭の地肌からマッサージしても
眉間のしわが取れない故人様もいて、故人の表情は見る者の気持ちを左右します。
「人生の歴史」は技術だけでは改善できないのです


父は眠剤でとにかくいつも寝ていた人。
ベットから落ちてからは歩けないのでオムツをして
少々床ずれが気になりだした頃に亡くなった。

介護してきた母や姉たちは、思い通りに食べたり酒を止めない父に
憤りや不毛を感じていた時期もあったが
我をつき通した死に方により
結果、脂肪が無く栄養素がない父は即身仏さながらに
穏やかな良い遺体になれたのですから、不思議なモノだ


次女曰く
「何かしてあげたらナムナム~って手を合わせてね。だんだん仏に近づいてたよ。」と




延命治療の是非を論じる書籍が沢山ある。

もちろん「死にたくない・死なせたくない」そう強く願う人には
延命治療は大変意味のあるものでそれを否定はしない。

何かの本で
『「120歳まで生きたい」と言っている人がいたのでボクは随分この人は欲張りだなぁと思った…』
と、書いている本がありそれになんとなく共感できるのは
そこには本人の欲の様なモノを感じたからだ。

人生は苦楽どちらの中にいるのが良い悪いではなく
苦しくとも「人間らしい心と感情」で学びがある状態が大切なのだと思う。

父自身は生きることを放棄する様な終末だったが
家族にお礼なんか言ったことない人なのに人に感謝できる人になっていた。

私の中にある「誰かに認められたい」という気持ちは
人に「感謝される」「褒められる」事で感じ取れ
それが「生きる糧・生きがい」になる
だが、感謝してくれる人・褒めてくれる人がいるからこそそれが成り立ち
逆に「生き場所」を与えてもらえているに他ならない。

感謝の感情は心を整えると思う。
小さな事で人に感謝できたり、日常にありがたいと思えたら
「生きてるだけで丸儲け」になり
寿命という命の長さにこだわらなくて良いのではないだろうか?


父は本当は何を思っていたのかはわからない。
でも、私たち家族はそこから感じる事や学ぶ事が沢山あった。
死してさらに感謝を感じられた。
親が子に最後に与えられるものは「死を教える」ことだと思う。

次女はしきりに
「パパはちょうど良い時期に死んだんだと思う、きっと今がベストだと思って死んだんだと思う」
と言う。
こんな状態を治めるつもりで言ってくれているのかもしれないが
仏に近づいた父は、喜怒哀楽など「人間らしい心」は通り越してしまったから
もう人でいる必要が無くなったのかもしれない。




父のような自然に生きる力が消える亡くなり方なら
「遺体が傷むから」という常套句は本来使えない。
腐るというより乾燥し「シオれて行く」という状態。
延命治療が無い明治・大正時代なんかは
こんな亡くなり方は普通だろうし、ドライアイスなど本当に無用だっただろう。

葬儀は忙しく、時間が足りなくて終わってから心残りが1つ2つ出てくるモノだ。
それに、だんだん良くなる表情の故人を
すぐに火葬するのはもったいないと実感した。


それに
もしご自分で亡くなった家族の処置やメイクができるなら?
(もちろん納棺師に頼んでも良いでしょうが)
5,6日はイケるだろうから葬儀は焦らなくても大丈夫と私はそう思う





父への焼香が終わったら、いよいよ「長女と対決」だ
憂鬱な気持ちで棺の窓を閉めた

続く





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最終更新日  2014年03月31日 23時32分14秒


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