思春期の強迫性障害に家族関係の不自然さがあった症例

ヨミドクターで、思春期に強迫性障害になった子供の記事が上下2回にわたり掲載されていました。

第4部 強迫性障害(上)唾をとばしたクラスの男子がきっかけで不登校になった 中1女子

第4部 強迫性障害(下)父と母の希薄な関係~娘に幼児返りの症状が

記事の中学1年生A子さんは、クラスで男の子が鼻をほじったり、唾をとばしたりするのを見たことがきっかけで不潔恐怖症になったとのこと。

私の強迫性障害も電車の中で鼻をほじる人を見たことがきっかけだったので、当時を思い出して胸がしめつけられるような気持ちになりました。

第4部 強迫性障害(上)唾をとばしたクラスの男子がきっかけで不登校になった 中1女子

身の回りの様々なことを母親に命令するのですが、やがて「返事の仕方が気に入らない」「やり方が指示通りではない」などと怒り出して、蹴ったり、たたいたり、暴れて壁に穴をあけたりといった暴力的な行動を起こすようになりました。

<中略>

いろいろ話を聞いているうちに、家の中にはピリピリした空気が漂い、両親が娘の機嫌を損ねないようにと腫れ物に触るような態度で接していることが伝わってきました。

この症例がいつの話なのかわかりませんが、もし最近だとしたら、いまだにこんな泥沼にはまってしまうのかと残念です。

いまは書籍やインターネットで調べれば、正しい対処法がわかります。

強迫性障害は、一見「こうすればいい」ように見える方法が「巻き込み」といって病気に餌を与えてしまう、周囲の対応が難しい病気です。

素人の思いつきやその場逃れの対応では、めったに正解に行き当たらないでしょう。

第4部 強迫性障害(下)父と母の希薄な関係~娘に幼児返りの症状が

娘の強迫症状に、母親がただつき合っている限り、「きれい」「汚い」の話から先に進むことはできません。A子さんが強迫症状を理由に何かを命令し、母がそれに従うことを繰り返している限り、幼児の時代に戻った状態での欲求を満足させてしまうだけになります。

これはA子さんにとって、症状が出ていることで得をする状態になっているのです。親子の関係だけではなく、思春期の健康的で前向きな発達にも大きな障害となります。

<中略>

どうやら父親は、幼い頃から母親の愛情に飢え、結婚しても自分の妻に対して不満を抱き続けてきたことで、A子さんは「娘」であるだけでなく、「母親」でもあり、そして「妻」の存在にもなっていたようです。

<中略>

結局、この家庭には、本来の親子が持っているはずの父性、母性が変質してしまっていたわけです。A子さんが発症した強迫症状は、それに対する不満であり、警告でもあったのです。

A子さんは父親から、母親が果たしていない母や妻の役割を求められている。このご家庭では父親が家庭内の炊事なども担当していて、父と娘の仲が密接です。

A子さんの強迫性障害の巻き込みも父親にぶつけられそうなものですが、彼女は母親にぶつけたのですね。

そこにA子さんの本当の欲求があったのだなあと思いました。

快方に向かってよかったです。

 

この症例では強迫性障害の原因は家族関係でしたが、強迫性障害になる原因は様々です。

特に原因が見当たらなくても発症することもありますし、発達障害の二次障害としてあらわれることもあります。

また、ストレスなど原因が明確な場合でも、原因を取り除いたからといって、すぐに治るわけではありません。

A子さんも解決までに1年近くの時間がかかったとのこと。

強迫性障害かなと思ったら強迫性障害の認知行動療法ができる病院(少ないです)を探して、適切な治療を受けて欲しいです。

病院選びの記事はこちら。
強迫性障害の病院の探しかた。認知行動療法ができる病院を選ぶ

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