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世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

4.プールサイド

2018年07月30日 | 夏の物語
 ヨシオとサトルは、夏休みという事もあり、市民プールに来ていた。
 太陽がメラメラと照らす炎天下の中、子供用プールを出たヨシオが「隣に行こうぜ!!」と言って、プールサイドを小走りに走り出した。子供用のプールは、小さいので、飛び込むときすぐ足がついて面白くなかった。
 隣に行く時、タイルが熱くなってて、二人とも「アチッアチッ。」と言っている。
 先に大人用のプールにヨシオが飛び込むと気持ちよさそうに、泳ぎはじめた。
 サトルも、静かにプールに入ると、深くて、足がつかなくて、広々して気持ちよく感じた。
 一時、水のかけあいで遊んでいると、プールの監視員が笛を吹きながらやってきて、「おい、君たち子供は隣!!」と促した。
 「ちぇっ!!少しぐらいいいじゃん。」と二人で舌打ちすると、若い監視員がまた、笛を吹いた。
 仕方なく子供用のプールで泳いでいると、キーンコーンカーンコーンと10分間の休憩時間になった。
 プールサイドに上がり、足だけプールにつけていると、また、監視員から笛を吹かれた。
 ヨシオがソフトクリームみたいな入道雲を見ながら横になり、呟くように言った。
 「今日、隣町の夏祭りだよな。ヨウコ来るかな。」
 「たぶん。来ると思うけど。」
 「浴衣なんか着てるのかな。」
 「たぶん。」
 「絶対綺麗だとおもうけどな。」とヨシオが横にあるプールの水を片手ですくって、お腹の辺りにかけた。
 二人とも、同級生のヨウコが好きだった。
 スポーツが得意なヨシオの方が少し勝ってる気がするが、サトルの方も勉強の方では、勝っている。
 10分間の休憩が終わり、二人ともドボーンと飛び込んで、端っこに行き、25メートル競走をすることになった。
 「よし、俺が勝ったら、ヨウコに告白するぞ。」ゴーグルをはめながら、ヨシオが言った。
 「それじゃ、俺が勝つしかないか。」とサトルが後に続く。
 「ヨーイ、ドーン。」と自分で言って、クロールで、ヨシオが先に行く。
 「ちょっと、フライングじゃん。」とサトルが続く。
 クロールで、先についたのは、ヨシオだった。スポーツでは負けているが、勉強では負けない。
 夏休みが終わった後の実力テストで今度は勝負だとサトルは思った。
 それから、二時間くらい泳いで、帰ることにした。
 プールの玄関を出ると、赤い夕焼け空がうっすらとしていた。出口付近の風鈴の音が風に揺られて気持ちよかった。
 それにあわせる様に暑さも和らぎ、ドーン!ドーン!パー!と音がしている方を見ると、隣町の花火が上がっていた。
 ここからじゃ、上の方しか見えない。
 「よし、どっちが先に祭り会場に着くか競争だ!!」とヨシオが言いながら、自転車に乗りみ、ペダルを踏んだ。
 「負けないぞ。」とサトルが続く。
 自転車を漕ぐたびに色とりどりの花火が大きくなってくる。浴衣を着ている人も多くなってきた。
 猛スピードで、先に祭り会場に着いたのはサトルだった。

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