勝手に映画紹介！？

 

ＷＯＷＯＷの韓国サスペンス特集でエアチェックしておいた「ザ・ネゴシエーション」を鑑賞…「交渉人」「ネゴシエーター」「ホステージ」などハリウッド映画でも佳作、傑作が多い“交渉人もの”。直前の事件で交渉に失敗し、職を辞すことも考えていた交渉人の女警部補が、犯人側の要求により、政治絡みで進行中の人質事件に携わるといった感じの内容。交渉人役の主人公が女性キャラだったりするのは…日本の米倉亮子のヤツとか、五十嵐貴久原作の遠野麻衣子シリーズなんかも思い出すか？拝借したＡｍａｚｏｎの画像は配信版のものをチョイス。

 

ソウルの良才洞で人質事件が発生…非番だったソウル市警危機交渉班の交渉人ハ・チェユン警部補も現場に急行、犯人との交渉を始めるが…その最中に特殊部隊の強行突入が行われ、結果的に人質を死なせてしまった。後日、自責の念に駆られたハ警部補は辞職するつもりだったが…急にソウル支庁長からの呼び出しを受ける。実は、ミン・テグという人物がタイで人質事件を起こし、交渉役にハ警部補を指名したのだ。事件の詳細が伏せられたまま、画面越しにミンとの交渉をする羽目になるハ警部補…ミンは情報になかった新たな人質をとっており…。

 

全体の構成としては、最初に列記したような…“交渉人”ものの定番要素を寄せ集めたような印象ではある。冒頭、合コンを途中で抜け出し、酒の匂いを漂わせた主人公が事件現場へとやって来る。一見、ガサツそうな女に見えたが、これでなかなか実力もある敏腕交渉人だった。合コンの勝負服から、現場でグレーのＴシャツに着替えるんだけど、襟の周りに小さな穴が見えて、なんか着古した感が出てるのが、ちょっとリアルでした。でまぁ、強引に犯人が籠城している屋敷内にズカズカと入っていきまして、交渉もうまく進んでいたんだけど…まさかの展開。

 

明らかにバカ上司の判断ミスで強行突入が行われ…人質を死なせてしまうと。ハリウッド映画なんかだと、ここは主人公の交渉力を見せつけるために、成功例を描いたりすることが多いと思うけど、失敗から始まるあたりが韓国映画らしいな。主人公の初登場シーンのインパクト、個性があり過ぎる同僚（相棒のオッサンが大地康雄似の薄らハゲ）や上司など、どちらかというとコメディよりのようにも見えた作品が、一気にシリアスモードになった。この一件で主人公は仕事を辞めようとするんだけど…新たな事件が起きてしまい、無理やり現場復帰させられる。

 

いきなり、警察幹部や政府関係者が詰めている指令所みたいなところに連れてこられた主人公は、どういった事件が進行しているかも知らされないまま、犯人との交渉を進めろと無茶ぶりされる。そして…モニター越しに現れた犯人というのが、これまた尊大なヤツで、主人公に対しなめくさった態度で接してくる。とりあえず主人公は、相手から掛けてきた電話を問答無用に切るとか（また相手が掛けてくると読んでる）、相手に対して敬語を使って喋るとか…セオリー通りの交渉方法で対応しながら、相手の出方であったり、身内の隠し事を探り出そうという作戦。

 

なんだけど…ただでさえ状況が理解できてないところに持ってきて、犯人側は新たな人質というカードをさっそく切ってくる。そしてその人質というのが…主人公にも関係する人物だった。割と悪知恵が働き、狡猾な犯人…情報不足ということもあり、交渉人である主人公の方が明らかに劣勢という感じだが…。後半で明かされる“ある大きな仕掛け”なんかは、それこそ“交渉人もの”のお約束通りという感じで、驚きも少なく、予想できた部分なのだが、実は単なるプロローグに見えた“冒頭の交渉失敗”という事実が、しっかりと後の伏線になっていたあたりは巧い。

 

大地康雄似の薄らハゲが棚ボタで犯人に迫る手がかりを見つけるくだりは、ちょっと「羊たちの沈黙」のクラリスっぽかった。いつの間にか極悪非道に見えた犯人に感情移入してしまったり、もっと外道なグズ人間たちが出てきて、そいつらが吠え面をかく姿に爽快感があったりするのも事実。ミリタリーの要素や、アクション的な見せ場もあり怒涛のクライマックスまで緊張感と盛り上がりが持続するんだけど…最後は綺麗にまとまり過ぎかな？という物足りなさも。あのクズ連中には、もっと力業の制裁があった方が、韓国映画らしいブラックさが味わえたのでは？

 

 

監督：イ・ジョンソク

出演：ソン・イェジン　ヒョンビン　キム・サンホ　チャン・ヨンナム　チャン・グァン　チョ・ヨンジン　イ・ムンシク

 

 

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ザ・ネゴシエーション

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