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日々の恐怖 3月30日 村(5)

2020-03-30 12:08:47 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 3月30日 村(5)




 かなり小さな村のようで、狭い範囲に5~6戸程の小さい民家が斜面に並んでいる。
その殆どがツタに覆われ、壁の一部が崩れ去り、部屋の中が見えるような状態だった。
玄関に施錠はされているが、意味はなさそうだ。
 集落の中央には石段が通っていた。
井戸が何箇所かあり、蓋が閉じられている。
 記念に数枚写真を撮った。
そして比較的まともな一軒の玄関にもたれ、顔にタオルを巻き、虫よけスプレーをかけ寝る事にした。
地面に直に寝転ぶのを考えたら、それでもかなり有り難く思える。
 もうクタクタだ。
すぐに睡魔が襲って来た。

” ・・・・・?”

何か気配を感じて目が覚めた。
 俺が今居る玄関の中からの気配だ。
いや、気配ではなく音がする。

” ミシッ・・・・・・・、ミシッ・・・・・・・。”

ゆっくり何かが中を歩く音だった。
 最初はただの家鳴りかと考えたが、ゆっくりとしたリズムを刻み床を踏む音が微かに聞こえて来る。
玄関の上半分はスリガラスで中の様子は見えなかった。

” まさか人が居るのか・・・・?”

この廃墟に人が住むとは考えられなかったが、確かめようと思い寄り掛かったまま玄関に耳を当てた。

” ミシッ・・・・・・・、ミシッ・・・・・・・。”

間違いない。
この家の中を歩き回ってる者がいる。








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