「ナポリで花開いたサッリ監督のサッカーは、チェルシーで再現出来るのだろうか?」インターナショナル・チャンピオンズカップ
- 2018.08.10
- イングランド・プレミアリーグ
ナポリで超攻撃的ハイプレスサッカーを構築、昨期のチャンピオンズリーグではベスト16に進出し、対戦したレアルをあと一歩まで追い詰めた手腕を評価され、コンテ監督の首を飛ばしたチェルシーに三顧の礼で迎えられたサッリ監督。
プレシーズンマッチとしては最後の試合となるインターナショナル・チャンピオンズカップの第3節リヨン戦で、どんな内容を見せてくれるのかに注目して試合を見てみた。
チェルシーのフォーメーションはナポリと同様に4-3-3で、3トップがアブラハム、ウィリアン、モーゼス、インサイドハーフがロフタスチーク、バカヨコ、アンカーがドリンクウォーターという並び。GKはレアルへの移籍が決まったクルトワの代わりにブルカが入り、アザールら主力の多くはベンチスタート。
試合自体は、ぶっちゃけ内容的にはあまり見どころがないスコアレスドロー。チェルシーのチャンスと呼べるものは、後半9分に相手のマークからスルッと抜け出したロフタスチークが、GKを交わすチップキックのシュートをするもニアに外れたシーン、17分にジョルジーニョのスルーパスにカンテがDFライン裏へ抜け出し、シュートもGKにセーブされる。31分、FKの折返しからバークリーが合わせた場面ぐらいか。
ナポリでは、単にボールの位置だけでなく、ボールと自陣ゴールとの位置関係から全選手のポジションを決める「トータル・ゾーン・ディフェンス」という、革命的な組織戦術を駆使していたサッリだが、就任して間もないチェルシーではまだまだ戦術を浸透させきれてないようだ。
ビルドアップはアンカーのドリンクウォーターだけがもらいに下がり、そこから単純にSBへ回すような形が多く、ナポリで見られたインサイドハーフがビルドアップに参加し、中盤が前向きでボールを受けた瞬間に全員のスイッチが入ってダイレクトパスを回すようなシーンは、前半23分ぐらいに1度あったぐらいで、ほとんどの時間は足元へとパスを回すだけだった。
守備でも、守備陣が左右を見ながらバランスを取るのに苦心している光景が多く、ハイラインを保とうとする意識は見えるのだが、全体的に攻撃から守備への切り替えが遅く、ファーストプレスが効かずにっさりと突破され、自陣のゾーンが揃わないうちにドリブルでバイタルエリアまで侵入されるパターンが目立っていた。
ただ興味深かったのは、インシーニエ、グラム、ハムシクが強力なコンビネーションを組む左サイドにボールを集めていたナポリと同様に、この試合では左ウイングに入ったウィリアンが終始高い位置を取っていた事で、おそらくベストメンバーではウィリアンの位置にアザールが入り、インサイドハーフはレンタルが決まったコバチッチかバークリー、SBはアロンソあたりになるのだろうか。
後半途中から、カンテが右インサイドハーフ、ナポリから移籍したジョルジーニョがアンカーの位置に入ったが、カンテみたいな選手はあまりインサイドハーフのような狭いエリアに閉じ込めても良さが活きないので、サッリの精緻な戦術の中でどうフィットさせて行くのか興味深いポイントである。
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